スーツは後ろ姿も重要!着目すべきポイントって何?

スーツは後ろ姿も重要!着目すべきポイントって何?

自分の前姿は鏡で確認しても、後ろ姿までは気が回らないという人は多いでしょう。スーツをおしゃれに着こなしたい場合は、前から見た姿だけでなく、後ろから見た姿についても気をつかうことが重要です。スーツの後ろ姿で印象は大きく変わります。そこで、スーツの後ろ姿の印象を決める大きな要素であるベントや着丈などについて解説します。

スーツの後ろ姿にこだわるべき理由

スーツをうまく着こなすことができれば、その姿を見ている相手に対してよい印象を与えることができます。その結果、その相手と良好な関係が築ける可能性が広がるでしょう。ビジネスなどで着用することが多いスーツは、会っている相手に対して不快な印象を与えないことはもちろん、ビジネス成功のためにも好印象を与えられるように着こなしたいものです。商談を行う場合は、着ているスーツの印象から、「この人は信用できる」「だらしない格好の営業マンとはビジネスしたくない」と判断され、ビジネスが成功するかしないかを左右することになる場合もあります。スーツの着こなしというと、どうしても前面について目が行きがちです。ネクタイの柄やボタンなどは前面からの姿に影響を与える要素になります。
しかし、取引相手との別れ際やパーティー会場、街中を歩いている姿など、後ろ姿を見られる機会は意外に多いことを認識しておく必要があります。特に、取引先との別れ際に見せることになる後ろ姿は、その日の取引の最後に見せるスーツ姿です。相手に強い印象を残すことになります。そのため、前だけでなく後ろ姿についてもこだわっておくことが必要です。前から見るとしっかりとしているのに、後ろから見るとだらしなく見える状態では、相手に良い印象を持ってもらうことは難しいです。スーツの後ろ姿を決める主な要素は2つあります。1つは、ベントと呼ばれる切れ込み、もう1つは着丈です。この2つの要素をついて理解することで、スーツの後ろ姿の印象を良いものに変えられるでしょう。

ベントは何のためについている?

後ろから見たスーツ姿の印象に大きな影響を与えるものの1つがベントです。ベントは、「穴」や「通気孔」と訳すのが一般的ですが、スーツに関する用語としてのベントとは、スーツの後ろ身頃に縦に入っている切り込みのことです。布の切れ目の種類としては、スリットと呼ばれるものもあります。スリットは、同じ切り込みでも布の重なりがないことが特徴です。一方、ベントと呼ばれる切り込みは、布の重なりがあります。そのため、動くことによって切り込みが開いても、内側がすぐに見えてしまう状態にはなりません。
スーツにベントが入れられるようになった主な理由は2つあります。1つは、動きやすくするためです。ベントが入っていないスーツを着て動こうとすると窮屈に感じますが、ベントが入ることで動きやすい状態を確保できます。「馬乗り」のこともベントといいますが、馬乗りを行う際、馬にまたがるときにスーツに切り込みがあった方がまたがりやすいということで生まれたため、ベントと呼ばれるようになったといわれています。もう1つは、スーツのシルエットを守るためです。ベントが入ることによって、椅子に座ったときについてしまうシワやツッパリを抑えられます。きれいなシルエットを保つ効果がベントの役割です。

【スーツにあるベントの種類1】センターベント

スーツのベントにはさまざまな種類があります。1つ目は、センターベントです。センターベントは、上着の裾の中央に切り込みが入ったデザインになっています。スーツはイギリスで生まれたものですが、誕生した当初はベントは入っていませんでした。しかし、切り込みが入っていないと乗馬をするときにきっちりしたスーツの形が邪魔になって馬に乗りにくいという弊害がありました。また、馬にまたがるときにスーツが引っかかって落ちるなどの事故につながることも見受けられたため、改善する方法が検討されたのです。その結果、裾に切り込みを入れるようになったのがセンターベントの誕生経緯だといわれています。
センターベントが入っているスーツは最も標準的なスーツの形です。販売されているスーツの多くにセンターベントが入っています。動きやすいというメリットがあるだけでなく、後ろ姿の見た目の印象も良くなるという特徴もあります。さらに、長時間座っていても、切り込み部分が開くことによって、スーツに可動部分が生まれてシワがつきにくい点もメリットです。動きやすさを追求しながら、後ろ姿の印象も良いスタンダードなスーツを選びたいという場合は、センターベントが施されたスーツを選ぶことをおすすめします。センターベントが入ったスーツの選択肢は多いですので、自分に合ったものを選ぶのは難しくないでしょう。

【スーツにあるベントの種類2】サイドベンツ

ベントの2つ目の種類はサイドベンツです。裾の両サイドにベンツが入っています。2つの切り込みがあるため、「サイドベント」ではなく複数形の「サイドベンツ」と呼ぶのが正しい呼び方です。切り込みが入ることによって動きやすくなるという点では、センターベントと同じ効果が期待できます。しかし、誕生の経緯はセンターベントとは異なります。誕生は、剣が持たれていた時代にさかのぼります。剣は腰に差して携帯するのが一般的でした。ただ、腰に差した剣はスーツの裾をめくりあげてしまうため、スーツの美しいシルエットが出せないことがデメリットです。また、剣を腰に差したり取り出したりする動作を行う場合にもスーツが邪魔になってしまいます。そこで、両サイドに切込みを入れてデメリットを解消したというのが誕生の経緯です。サイドベンツは、別名「剣吊り」ともいわれており、イギリスでは多くのスーツに採用されています。
剣を携帯しない現代におけるサイドベンツのメリットは、ポケットに手を入れやすいことです。両サイドの切り込みがちょうどポケットに手を入れるときにぴったりの位置になっています。また、足を長く見せる効果もあるといわれています。サイドに切れ込みがあることで、動くと足の付け根のあたりまで見えるようになり、足が長く見えます。スタイルをよく見せたいという人は、サイドベンツのスーツを購入するのも選択肢の1つといえます。

【スーツにあるベントの種類3】ノーベント

スーツには、後ろ身頃にベントが入っていないものもあります。ベントがないということで、ノーベントといいます。切り込みを入れる目的は、動きやすさにあります。ノーベントは、動きやすさよりも見た目を強く意識したデザインです。また、切り込みを入れないことで、お尻を見せなくなりますので、上品さを保つことが可能です。そのため、動きやすさという機能性を排除したノーベントのスーツは、スマートな印象を与えることができ、最もフォーマルなデザインのスーツだといわれています。
歴史が古く、クラシックでドレッシーというのがノーベントスーツの特徴です。社交パーティーなど公式の場ではノーベントが適しているといえます。タキシードなどではノーベントが採用されることが多いです。ただし、ベントがないため、後ろ姿が少し寂しく目立たない印象になると感じる人もいるでしょう。ダブル仕立てのスーツの場合は、ノーベントが映えます。そのため、ダブル仕立てを好んで着用するという人は、ノーベントのスーツを選ぶことをおすすめします。スーツに施されているベント1つで印象は大きく変わります。フォーマルな場に出席する場合は、ノーベントのスーツを着用すると、その場にふさわしい着こなしができるでしょう。

【スーツにあるベントの種類4】フックベント

ベントのタイプには、フックベントと呼ばれるものもあります。フックベントとは、スーツの上着の裾の中央部分に切り込みが入っており、その切り込みの始まり部分がカギ状になっているベントのことです。カギ状になっているものを英語で「フック」といいますので、フックベントという名称になっています。裾の中央部分からベントが入っているという点ではセンターベントと同じですが、切り込みの始まり部分が違います。ビジネススーツなどにはあまり見られませんが、アイビースタイルやモーニングなどに多く見られるベントです。
フックベントが施されているスーツは、センターベントが持っている機能性を損なうことなく、おしゃれな印象を出すことができます。また、オーダー感が増しますので、よりハイセンスなイメージになる点がフックベントの魅力です。さらに、フックベントは遊び心を感じさせるともいわれています。ほかの人とは少し違う印象を相手に与えたいという場合には、フックベントのスーツを着用するとよいでしょう。ビジネススーツにあえてオーダーでフックベントを入れるというのも選択肢の1つだといえます。

【スーツにあるベントの種類5】ボックスベンツ

ベントのタイプとしては、ボックスベンツと呼ばれるタイプもあります。裾の中央に切れ込みが入っているという点ではセンターベントやフックベントと似ています。しかし、完全に切り込みが入っているのではなく、センターから生地が開くようなイメージのベントで、開いた状態がボックス状にも見えるため、ボックスベンツと呼ばれています。センターベントなどが持つ歩きやすい、座りやすいという機能性を活かしつつ、お尻を見せることがないエレガントなイメージを出すことができるという特徴があります。立ち姿を後ろから見ると、ノーベントのように見えるため、スマートなシルエットを維持することが可能です。
ボックスベンツが施されているスーツは、ノーベントのように公式な場所で着用するほどフォーマルではありません。しかし、フォーマルな印象を残しつつ、機能性は維持したいという人には適したベントです。アメリカントラディショナルスタイルに採用されていることが多いほか、カジュアルデザインのスーツに採用されています。しかし、あまり多くは見かけません。既製品で見つからない場合は、さまざまなベントに対応しているところを探してオーダーしてみるとよいでしょう。

スーツは着丈も重要!

スーツの後ろ姿の決め手としては、ベントのほかに着丈も重要な要素になります。着丈とは、後ろ側の襟中央の縫い目から上着の裾先端までの直線の長さのことです。着丈には流行もあります。時代によっては、長いものが流行ったり、短めのものが好まれたりしますが、好みは人それぞれです。流行に左右されない標準的な着丈を知っておくことは大切です。標準的な着丈としては、(身長-23cm)÷2になる長さだといわれています。例えば、身長170cmの場合、(170-23)÷2=73.5cmです。この長さをキープしておけば、極端にシルエットが崩れることがなくなります。滑稽に見えたり、サイズが合っていないスーツを着ていると見られたりするリスクを抑えることが可能です。
短めの着丈が好みだという場合は、ベルトからお尻の下部までの距離で3分の1のお尻が見える程度の着丈に抑えるとよいでしょう。長めの着丈にする場合は、お尻の下部よりも長くなります。ただし、短め、長めは好みだけで決めると失敗するおそれがあります。スーツの後ろ姿をきれいに見せたいという場合は、まずは標準的な着丈のものを選ぶことをおすすめします。最終的には、着用して後ろ姿まで鏡を使って確認してから選択することが重要です。

スーツを着るなら後ろ姿にもこだわりを!

スーツを購入する場合、前から見た姿は鏡を使えば簡単に確認できます。しかし、後ろ姿を見られる機会も意外と多いことを忘れてはいけないでしょう。後ろ姿1つで、相手に与える印象は大きく変わる場合があります。特に、スーツを着用して商談をする場合などは、相手に与える影響がビジネスの成否にかかわることも珍しくありません。スーツを選ぶ場合は、後ろ姿がどうみえるかまで気を配るようにしましょう。
背面側のデザインのポイントは、ベントの入り方と着丈です。ベントには真ん中から割れているセンターベントや両サイドに切り込みが入っているサイドベンツ、センターベントの切り込み開始部分がカギ状になっているフックベント、完全な切り込みになっていないボックスベンツ、さらには切り込みがないノーベントなどさまざまな種類があります。それぞれの特徴を把握したうえで、ふさわしいベントが入っているスーツを選ぶことが重要です。また、着丈も後ろ姿の印象に大きな影響を与えます。まずは標準的な着丈の長さがどれぐらいなのかを理解することが大切になります。スーツの選び方によって相手に与える印象が変わるということを強く意識して、スーツ選びを行うようにしましょう。