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[アーカイブ] スーツのディテール【ラペル編】

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最終更新日
この記事の内容は、
2023年1月18日当時のものです。
公開から2年以上経過しています。
(834日)

こんにちは!オーダースーツSADA熊本店です。



オーダースーツをご注文いただく際、生地だけでなくスーツのデザインも一つ一つお選びいただきます。

細かな部分まで選べますので中には「そんなとこまで選べるの?」「気にしたこともなかった」と驚かれるお客様もいらっしゃいます。

細かいディテールを理解し、拘って選べるようになるとオーダースーツ作りが格段に面白くなります。


そんなスーツの細かいディテールを今回から何度かに分けてご紹介していきたいと思います。

まずはラペル編です。








 

目次


1.ラペルの形

1-1.ノッチドラペル


1-2.セミノッチドラペル


1-3.ピークドラペル


1-4.セミピークドラペル


2.ゴージラインの位置による印象の違い


3.ラペル幅による印象の違い


4.あとがき



 





      1.ラペルの形



      スーツの襟は上襟と下襟に分かれており、その下襟部分をラペルと呼びます。

      (ちなみに上襟はカラーと言います。)

      ラペルには様々な形があり、シーンによって向き不向き等があったりします。

      まずはスーツのラペルの代表的な形をご紹介します。





      ノッチドラペル




      シングルスーツにおける定番のラペルの形がこのノッチドラペルです。

      ノッチドラペルは上襟と下襟の繋ぎ目の線(ゴージライン)が斜め下に向かって直線を描く形です。

      既成のシングルスーツはほぼこのノッチドラペルになっているのでスーツの襟と言えばこの形を連想される方が多いのではないでしょうか。

      どんなシーンでも着用可能な形なので、迷ったらこのノッチドラペルを選ばれるのをお勧めいたします。







      セミノッチドラペル





      正直、写真だとノッチドラペルとの違いがほとんど伝わらないのですが、セミノッチドラペルはノッチドラペルに比べてゴージラインの先が少しだけ上向きになっている形です。


      上がノッチ、下がセミノッチです。

      やはり写真だと中々伝わりにくいですね。

      微妙な違いにはなるのですが、ノッチドラペルより少しだけ個性を出したいときはこちらのセミノッチドラペルをお試しいただくのも良いかと思います。

      ちなみにこちらの形もシーン問わず着用していただけます。







      ピークドラペル




      ラペルの剣先が尖った形のピークドラペルは主にダブルスーツに用いられる形です。

      もちろんシングルスーツにピークドラペルを合わせることも可能で、ノッチドラペルと比べて華やかな印象に仕上がります。

      フォーマル度の高い衿型とされており、タキシードにもよく採用されます。

      反対に、日本のビジネスシーンにおいては華やかでインパクトの強い形なので不向きであると言えます。

      近年はビジネススタイルもカジュアル化してきているので服装が自由な職場であればピークドラペルでも問題ないかと思いますが、ある程度服装に決まりがあったり畏まった職場の場合はノッチドラペルを選ばれる方が良いでしょう。







      セミピークドラペル





      ピークドラペルよりも突き出た剣先の角度が少し大人しくなっているのがセミピークドラペルです。

      ピークドラペルに比べて主張も控えめになるので、ビジネスシーンでも取り入れていただきやすい形かと思います。

      個性を出したいけどピークドラペルは派手過ぎる、という方にお勧めです。




       



      上記のもの以外にも様々な形が存在します。

      また、レディーススーツの場合襟無しのノーカラータイプも大変人気があります。

      好みやスーツを着用するシーン、どのような印象を与えたいか等で選んで頂くと良いかと思います。







      2.ゴージラインの位置による印象の違い



      先程ご説明した上襟と下襟の繋ぎ目、ゴージラインですがこの位置の高低も時代によって変化しています。ゴージ位置次第でスーツの印象は大きく変わってきます。


      この赤線の部分がゴージラインです。

      この位置が高いと全体の印象はシャープでスタイリッシュに、低いとクラシカルで落ち着いた雰囲気になります。


      日本ではバブル期にゆったりとしたソフトスーツが大流行しましたがその時代はかなり低めのローゴージが主流でした。

      その後クラシコイタリアスタイルの流行もありハイゴージのスーツが主流となりました。

      そして現代のトレンドとしてはややゴージラインは下がったものが多くなっている印象です。

      クラシックスタイル回帰の流れとともにスーツのサイズもややリラックスしたゆとりのあるサイズにシフトしていく中でゴージラインも少し下がり気味になっています。

      とは言えソフトスーツのような極端なローゴージではなく00年代のハイゴージのものから1cm程下がるくらいかと思います。


      あまり気にされたことのない方が多いかもしれませんが、極端に流行から外れたゴージのスーツを着ていると、古臭い印象を与えかねませんので注意が必要です。

      ゴージラインも意識してスーツを選ぶと、より着こなしを楽しめるようになりますよ。







      3.ラペル幅による印象の違い



      ゴージラインの高低だけでなくラペルの太い、細いの違いでも印象に差が出てきます。

      細めのものを「ナローラペル」太めのものを「ワイドラペル」と呼びます。




      上の写真は6.5cmのナローラペルです。

      モード、スタイリッシュな印象になります。

      タイトスーツとの相性が良く、2000年代辺りはエディ・スリマン期のディオールオムを代表するモードブランドの大流行もありナローラペルが主流でしたが、最近は極端なナローラペルは既製服ではあまり見かけなくなっています。





      こちらは幅9cmのややワイド気味のラペル。

      クラシックで貫禄のある印象を与えます。

      ソフトスーツ全盛時に多くみられ、その後ナローラペルにトレンドはシフトしていきましたが、ゴージラインと同じくここ数年のクラシック回帰に伴い、再び太めが主流になってきています。



      現在はシングルスーツの場合8cm前後の太さがベーシックかと思います。

      (ダブルスーツの場合、もう少し太目で10cm前後)

      8cm前後であればあまり流行に左右されず使いやすいので、迷ったら8cm辺りを選択されると良いのではないでしょうか。

      また、ラペル幅に関しては合わせるネクタイの幅や着る人の体型、肩幅によっても合いやすい、合いにくい等があります。

      細身体型の人が極端なワイドラペルにしたり、反対に恰幅の良い方が極端なナローラペルを着るとアンバランスに見えてしまいがちです。

      同様にワイドラペルに細いネクタイ、ナローラペルに太いネクタイもバランスが悪くなりやすいです。

      トレンドだけで選ぶのではなく、自身の体型や合わせるアイテムにマッチしたラペル幅を選んでいただくことの方が大切かと思います。







      4.あとがき



      いかがでしたか?スーツにおいてラペルは顔に近く目線が集まりやすい部分です。

      それ故にラペルの形、ゴージラインの高さ、ラペル幅等によって着こなしの印象を大きく左右します。

      今まであまり気にされていなかった方は是非、次回オーダースーツを作る際に拘ってみて下さい。

      自分に合う形や太さ等がわからないという方もフィッターにご相談いただければ着用シーンや体型等に合わせたご提案をさせていただきますので、お気軽にお申し付けください。


      皆様のご来店、心よりお待ちしております。