ちゃんと革靴をケアしてる?夏に向けた適切な汗の臭い対策や磨き方を紹介 のアイキャッチ画像
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ちゃんと革靴をケアしてる?夏に向けた適切な汗の臭い対策や磨き方を紹介 

毎日履く革靴のお手入れ、ちゃんとやっていますか?

「人は見た目が9割」と言われる世の中、そのうち1割ほどは「足元」の印象に左右されると言っても過言ではありません。仕事において「靴の印象」だけで、いつの間にかビジネスチャンスを逃してしまっているということも考えられます。

革靴の種類は非常にたくさんあり、いくら高級な革靴を履いていても手入れがされていない革靴はみすぼらしく映ってしまうものです。革靴はデリケートなため、手入れをせずに一度でも見た目がみすぼらしいものになってしまうと、見た目が復活しにくい特徴を持っています。できる限り日々の手入れは怠らずに行っていきましょう。

この記事では、

  • 革靴のメンテナンス方法
  • 革靴をメンテナンスする際に必要なアイテム

など、革靴のメンテナンスに関する情報を解説していきます。

メンズの革靴の種類はいろいろ


革靴のお手入れ方法の紹介に入る前に、革靴にはどんな種類があるのか、その豊富な選択肢をご紹介します。

それぞれの種類に通じる前提知識として、革靴のデザインは「つま先(トウ)」と靴紐を通す部分の「羽根」の組み合わせで決まるのが特徴です。

それぞれ見ていきましょう。

トゥによる違い

ここではつま先(トゥ)の違いを紹介します。

①ストレートチップ

メンズの革靴の中で最もオーソドックスな型であるストレートチップは、数ある革靴の種類の中でもフォーマルな形状です

その特徴は、つま先の革の切り替えがストレート、すなわち一文字飾りになったデザインが特徴といえます。切り替え部分にメダリオン(穴飾り)をあしらったものとないものがあり、メダリオンのないものほどフォーマルな場に適しているので履く際には注意しましょう。

内羽根式のストレートチップがもっともフォーマルな靴と言われており、ビジネスから冠婚葬祭、パーティーまで幅広い環境で使用することができます。

②プレーントゥ

トウに装飾のないプレーンなデザインのシューズです。

過剰な装飾を入れていないので、場面を選ばずに使える汎用性がとても便利で、フォーマルな場にもカジュアルな場にも使えます。

③モンクストラップ

修道士(モンク)が履いていた靴にヒントを得て、大きめのストラップをあしらったシューズをモンクストラップと呼びます。

ストラップが飾りに見られることもあり、少しカジュアルな印象を与えるので、フォーマルな場面で使用する際には気をつけましょう。

2つのストラップが施されたダブルモンクというタイプもあり、こちらは金具が2つあることでよりエレガントな印象を与えます。

④ローファー

靴のヒモを締める必要が無い形状から、怠け者の意味のローファーと名付けられたのがその名前の由来です。

甲の部分にコインを挟めるストラップが付いていることから、ペニー・ローファーとも呼ばれています。その他にも房がついたデザインの「タッセル・ローファー」、馬具の形をした金具が付いている「ビットローファー」、飾りがないプレーンなデザインの「ヴァンプ・ローファー」など豊富な種類があるのが特徴です。

⑤ホールカット

革のつなぎ目がかかとにしか見えない、1枚革でできているデザインのシューズです。

無駄な装飾が一切なく、革質の良し悪しや製造技術が製品の出来に左右されるタイプといえます。靴メーカーにとっても非常に製造が難しいタイプの革靴です。

ミニマルでドレッシーなデザインなので、着用の際には洗練された着こなしが求められます。

⑥ウイングチップ

つま先の革の切り替えに使われる革片に、メダリオンと呼ばれるデザインが翼のような形をしていることからウイングチップの名前がつけられました。

クラシックな雰囲気を演出するのに適したシューズですが、よりカジュアルなデザインの印象なのでファーマルな場での着用は控えたほうが無難です。

⑦デッキシューズ

ヨットやボートなど船のデッキ(甲板)で使用する目的でデザインされた靴です。

デッキを歩くために生み出された靴なので、滑らないように靴底にしっかり滑り止めが施されており、防水性も強いです。非常にカジュアルなデザインなので、フォーマルな場での着用は避けて、休日に楽しみましょう。

⑧U(V)チップ

靴の甲の部分にU字(V字)の形のステッチが施されているのがU(V)チップです。

もともと靴底から革を持ち上げて袋状にして蓋をするモカシンと呼ばれる靴から派生したデザインなので、カジュアル寄りのデザインです。しかし、シンプルなデザインなのでビジネスの場面で用いても違和感はありません。

V字になるとつま先の形状がよりシャープになり、ドレッシーな印象を与えます。

羽根による違い

羽根には、内羽根式と外羽根式の2種類のタイプがあり、それぞれ解説していきます。

●内羽根式

「内羽根式」は靴の履き口がV字に開き紐で締めるタイプです。羽根部分が「甲の部分と一体」もしくは「甲の前部分の革に入り込んでいる」デザインとなっています。

内羽根式は外羽根式よりもフォーマルのため、冠婚葬祭などのフォーマルシーンに適した革靴です。

「上品さ」「落ち着き」といった華やかでエレガントな印象を演出できるデザインとなっています

●外羽根式

「外羽根式」は吐き口が外に開き紐で締めるタイプです。羽根部分が「甲の上に乗っている」デザインとなっています。外羽根式は羽根の部分が全開になるため、簡単に靴の脱ぎ履きを行うことができるのが特徴です。

「軽快感」「スポーティさ」など、カジュアルな印象を与えることができるデザインとなっています。

革靴磨きの基本とは

革靴を磨いたことがない方は靴磨きの基本がわからないという方も多いです。

ここでは革靴磨きの基本についてご紹介します。

大前提として靴磨きとは、革靴の汚れを取り、クリームなどで革に栄養を与えることです。これが、あなたの大切な革靴を長持ちさせるために重要かつ、基本のお手入れ方法といえます。

靴磨きは、例えるならば女性のスキンケアのようなもので、普段からコツコツと靴磨きを継続して行うことで、革靴を良い状態に保ち、長持ちさせることが可能です。

一方、靴磨きのテクニックとして、革をワックスと水で磨き、鏡面のように仕上げる鏡面磨きというものがあります。これは、革にツヤが出るものの油性ワックスで皮膜することになるので、革が呼吸しにくくなり栄養が行き渡らなくなります。


鏡面磨きは、女性のメイクアップのようなものなのでやり過ぎには注意が必要です。

革靴を磨くために揃えるアイテム

ここでは、革靴のケアに必要なアイテムを紹介していきます。

クリーニングに使う道具

革靴のクリーニングに使用する道具を紹介します。

●シューキーパー

革靴の中に入れて革靴のシワを伸ばすことができる道具です。クリームを満遍なく塗る際にも使用することも多いですが、普段の収納の際に型崩れを防ぐために使用されることが多いアイテムです。

シューキーパーを入れて保管した場合と入れていない場合では、革靴の寿命に大きな違いがあります。シューキーパーの素材には、主に「プラスチック製」と「木製」がありますが、木製の方が靴の中の湿気をしっかりと取ってくれるのでおすすめです。

更に、シューキーパーには「ネジ式」と「バネ式」の2つのタイプがありますが、バネ式ではバネの強さが調整できずに靴を痛めてしまう可能性があるので、靴の大きさによって調整できるネジ式を選ぶようにしましょう。

●クロス

靴のクリームを塗ったり、磨き込んだりするのに必要なのがクロスです。素材は、綿100%のものが柔らかく、デリケートな革靴の表面を磨くのに最適といえます。

●クリーナー

革靴を磨く時に、ブラッシングだけでは落とせない汚れや表面に堆積した古いクリームやワックスなどを取り除くのに便利なのがクリーナーです。

クリーナーを使うことで、革靴に付着した余分な油分や汚れ、カビなどを取ることができます。

●馬毛ブラシ

革靴にクリームを塗る前にホコリを払うのには、毛が柔らかくよくしなる馬毛ブラシが最適です。また、仕上げにツヤを出すためのブラッシングにも効果的です。

馬毛ブラシには、馬の尻尾の毛を利用した「尾毛」と馬のたてがみの毛を利用した「たてがみ」の2種類があります。「尾毛」はより弾力があり、「たてがみ」はより柔らかくしなやかであるという特徴を持っているため、ご自身の触った感触で選ぶのがおすすめです。

クリーム塗りに使う道具

革靴のクリーニングでクリームを塗る際に使用する道具を紹介します。

●豚毛ブラシ

革靴の表面の隅々までクリームを行き渡らせるのに使用するのが豚毛ブラシです。

馬毛ブラシと比較して、硬さとコシのある豚毛ブラシはクリームを塗るだけでなく、革靴の縫い目やコバなどの細かい部分まで入り込んで、ホコリをかき出す際にも便利です。

ただし、コシがあるものを選ぶのが基本ですが、毛が固すぎてしまうと、自身の大切な革靴を傷つけてしまう恐れがあるので、ブラシ選びの際には注意しましょう。

●乳化性クリーム

革に栄養を与え、保湿・保護をし、さらに紫外線による劣化を防ぐ効果を靴に与えるのが、靴クリームです。

靴クリームには使用用途に応じて、

  • 乳化性
  • 油性
  • カラー
  • 無色


の4タイプに分かれます。その中でも、水、油、蝋で作られた「乳化性クリーム」は万能クリームと呼ばれており、革に栄養を与え、自然なツヤを出してくれるので、まずは乳化性クリームを手に入れましょう。

また、乳化性クリームには水分が含まれているので、クリームが革に素早く浸透します。

●ペネトレイトブラシ

靴にクリームを塗りこむのに便利なのが、ペネトレイトブラシです。

先端がコンパクトなペネトレイトブラシは、クリームを伸ばしやすく隅々にまで行き渡らせることができます。

布を使ってクリームを塗るのと比較して、クリームの塗りすぎを避けることができます。また、指が入らない革の縫い目やコバなどの細部までクリームを塗ることができ、満遍なく均一に塗りこむことが可能です。

●グローブクロス

革靴にクリームを塗り終えた後に、ブラッシングだけでは取り除けなかった余分なクリームを落とすために必要なのがグローブクロスです。

グローブ型なので手にはめて使用することで、綺麗にクリームを拭き取ることができます。

革靴磨きの流れをご紹介


実際に行っている革靴磨きの基本的な手順をご紹介します。

この手順に従えば、適切に革靴の汚れを落とし、革に栄養を与えることができますので、まずここから始めましょう。

1.靴にシューキーパーを入れて準備をします

革靴表面のシワが綺麗に伸びた状態で手入れをすればクリームの塗りムラを防げるので、シューキーパーを靴に入れましょう。

また、靴に履きジワがついてしまうのを防ぐためにも、普段から革靴の使用後にシューキーパーを入れておくのがおすすめです。

2.馬毛ブラシでホコリを落とします

革靴を履いて外出すると、大量の細かいホコリが靴の表面に付着します。そこで、靴を磨く前にはブラシを使ってホコリを落とすことが重要です。柔らかい馬毛ブラシが、表面のホコリを払うのに適しているので、こちらを使用しましょう。

革の縫い目や重なっている隙間、シワやコバ(革の切断面)の部分まで念入りにブラシをかけるのがポイントです。

3.リムーバーで古いクリーム・ワックスを取り除きます

日頃からお手入れをしていると、革靴の表面には古いクリームやワックスが蓄積しています。それらが残ったまま革靴を着用し続けると、ホコリが付着し続け、汚れとなってしまいます。

そこで、リムーバーを使ってそれらを除去する必要があります。これは、女性のスキンケアに例えるとメイク落としのようなもので、革靴表面のメイクを落とし、新しいクリームの浸透性やのりを良くする効果があります。

4.新しいクリームを靴に塗ります

革靴に付着した汚れを取り除いた後で、いよいよ新しいクリームを靴に塗っていきましょう。

無色のクリームと革靴の色に合わせた有色のクリームを使用しますが、普段のお手入れでは無色のクリームのみで十分です。色付きのクリームは、革に擦れが目立つようになってきた時に使うようにしましょう。ペネトレイトブラシに少量のクリームを取り、革靴に塗り込みます。


ムラなく均等に塗るには、ブラシを円状にくるくると回転させるように塗るのがポイントです。コバの部分なども忘れずに塗るようにしましょう。

5.豚毛ブラシでクリームを伸ばします

クリームを革靴に塗り終わったら、次に全体にクリームを満遍なく伸ばすために、材質の硬い豚毛ブラシを使用します。

コバ、穴飾り、履きシワなど革靴の隅々までクリームを行き渡らせ、全体に薄く均一にクリームを馴染ませることが重要です。

この工程でしっかりとブラッシングすることにより、自然なツヤを出すことができます。ただし、強くブラッシングすると革の表面を傷つけてしまうので、優しくするようにしましょう。

6.余分なクリームを落として、完了

全体を塗り終えたら、再び馬毛ブラシに取り替えて、クリームを塗った状態の革靴を素早くブラッシングします。

力を入れて強くブラッシングするのではなく、ササっと靴の表面の余分なクリームを取り払います。そして、グローブクロスに待ち変えて、余計な油分を全部拭き取ったら、靴磨きは完了です。

革靴磨きの詳細(前編)|汚れの付着を落としてケアしよう


革靴磨きの全体のプロセスについてざっくりとご紹介しましたが、ここでは靴のクリーニングのプロセスについてより細かく説明します。

1.革靴にシューキーパーを入れる

まず準備段階として、革靴にシューキーパーを入れます。革靴についたシワを綺麗に伸ばした状態で、クリームを塗ることで、シワのついた部分まで満遍なくクリームを行き渡らせることができます。

また、靴磨きを行う際には靴紐を外して行うのがおすすめです。一度紐を外して、靴を磨いた後に紐を結び直すのは手間ですが、靴紐部分は人目によくつく部分なので、綺麗に磨くためには手間を惜しまず行いましょう。

2.馬毛ブラシでホコリを取り除く

次に、ブラシを使って靴の表面についたホコリを取り除く工程です。ここでは、柔らかい馬毛ブラシで靴全体をブラッシングします。

縫い目や革の重なっている隙間、シューキーパーで伸ばしたシワ、コバの部分も忘れずにブラシをかけましょう。

3.リムーバーで革靴についた汚れを落とす

革靴についたホコリをブラシで落としたら、次にリムーバーを用いて更に細かく汚れを落としていきます。

革靴のお手入れを普段から行っていると、古いクリームやワックスが靴の表面に堆積し、そこにホコリが付着していくのが汚れの原因です。

また、古いクリームが残ったままだと、クリームがバリアになって湿気を放出できずに靴の中が蒸れてしまい、悪臭やカビの発生につながってしまいます。そのため、ホコリとともに古いクリームやワックスを取り除いてあげることが大切です。

指に巻いたクロスに少量のリムーバーを付けて、革靴の表面に優しく押し当てていきます。革はとてもデリケートなので、強くこすったりせずに優しく塗り当てていきましょう。

4.手順3の汚れ落としを2回繰り返す

1回目のリムーバーによる汚れ落としで、革の表面の汚れが取れて革の毛穴が開くので、2回目で革の内側の汚れを取り除きます。

より効果的に革靴を手入れするために、リムーバーの汚れ落としは2回行うようにしましょう。

革靴磨きの詳細(後編)|クリームで革に栄養補給


続いて、クリームで革に栄養補給するプロセスを詳述していきます。

1.クリームをブラシにとる

まず乳化性クリームをペネトレイトブラシに取ります。クリームの量は、米粒2〜3粒程度使用します。量が多くても、革に染み込まないので少量で十分です。

この時、革にクリームを塗り過ぎてしまうとシミになってしまうことがあるのでぶりすぎには注意しましょう。

クリームの塗布は、布で行うこともできますが、革の継ぎ目やコバなどの隙間にまで指を入れることは難しいので、ペネトレイトブラシがおすすめです。

2.クリームを靴全体につける

クリームをペネトレイトブラシにつけたら、つま先やかかとなどの革の硬い部分から、履きジワのついた柔らかい部分といった順序で、クリームを革靴全体につけていきます。

円を描くように、少しずつクリームを伸ばしながら塗っていくのが、ムラなく均一に塗るためのポイントです。

また、靴とソールの隙間や飾り穴などの細かい部分も忘れずにつけていきましょう。

3.豚毛ブラシでクリームをのばす

クリームを革靴の表面につけ終わったら、今度は豚毛ブラシを手にとって、クリームを靴全体に伸ばしていきます。

この工程は、伸ばすと同時に余分なクリームを取り除く役割も担っています。硬さとコシのある豚毛ブラシにより、ベタつきのあるクリームに力負けしないで伸ばすことができるでしょう。

塗ったクリームが乾かないうちにブラッシングを行うことが重要です。豚毛ブラシでクリームを伸ばす際、ブラシを大きく動かすことにより、クリームだけで革の表面にツヤを出すことができます。

4.グローブクロスで余分なクリームを取る

ブラシでクリームを伸ばし終わったら、最後にグローブクロスを使って、余分なクリームを取り除きましょう。

靴全体を拭き、余分なクリームを取り除いて表面を磨き上げれば終了です。

靴磨きの頻度や注意点


続いて、靴磨きの頻度と注意点についてご紹介します。

鏡面磨きでシューズにツヤを!

クリームを靴に塗り終えたら、最後にシューズにツヤを与えていきましょう。

シューズにツヤを与えるためのテクニックとして、鏡面磨きというものがあります。靴磨きの仕上げとして、油性のワックスを使い鏡面磨きにより、つま先やかかと部分をピカピカに磨き上げて行くことが可能です。

このテクニックを施すことにより、靴の光沢のトーンが変化し、革の色に深みが出ます。手順は以下の通りです。

  1. 油性ワックスを少量布に取り、つま先部分に円を描く要領で塗ります。
  2. 柔らかい馬毛ブラシを利用して、革の毛穴にワックスを埋め込んでいくようなイメージで、優しくブラシをかけていきます。
  3. 水を1滴、ワックスを塗った部分に垂らし、布でワックスをならしていきます。この工程は、水分を用いてワックスを平らにするために必要で、ここでも円を描くように行うのがポイントです。
  4. この作業を5〜6回繰り返す

上記の工程を行うことで指に引っかかるような感じが出てきて、磨いている部分にロウがのり、ピカピカのつま先になります。

ただし、この鏡面磨きには革の通気性を損なうというデメリットもありますので、やり過ぎには注意しましょう。

靴磨きの頻度

靴磨きの頻度についてですが、どのような革靴でも紹介したようなお手入れを毎日行う必要はありません。

お手入れをしすぎは革に含まれる油分が多くなりすぎてしまって、靴が型崩れを起こしたり、クリーナーなどによって革の表面に過度な負担がかかってしまったりします。従って、目安として8〜10回程度履いたら、1回靴を磨くのがおすすめです。

ただし、その間革靴を履いた後はほったらかしにしておいていいという訳ではありません。必ず革靴を履いた後は、靴に付着した土やホコリを軽くブラッシングしたり、シューキーパーを入れて保管しましょう。お気に入りの革靴を長く使用するためにもシューキーパーは欠かせません。

また、革靴は履き始めたその日からホコリや細かい傷がつくので、新しいうちから手入れを始めて継続していくことが非常に大切です。

夏の汗染みや臭いの対応策

春夏シーズンは暑い日が続き、気温も上がるため、汗をかくことが多くなります。そうなると避けられないのが汗や暑さによる臭いです。

スーツを着こなしていると、スーツやワイシャツなどのアイテムばかりに気を配りがちですが、靴の中もチェックしましょう。

ここでは夏場に気になる臭い対策を紹介していきます。

そもそも足の臭いの原因とは?

靴の中は足の体温によって熱がこもり、内部は440度以上の温度、湿度は90%以上になり、湿気と共に汗のかく量も多くなります。夏は特に足の臭いが気になる方も多いのではないでしょうか。

衛生面も気になるところですが、足の裏にかく汗は、実は無臭です。

なぜ臭くなってしまうのか。一日中、靴を履いていると靴の中でかく汗の量は、200cc以上と言われており、コップ1杯分の水を、靴の中で蒸している状態となります。


この環境が靴の中で保たれているため、空中浮遊菌や、肌の上にいる常在菌が繁殖してしまい、あの独特の臭いの元となるのです。

暑さによって流す汗は、実は臭いをあまり発しておらず、汗で濡れた靴を一日中履き続けたり、何日も履き続けることによって、独特の臭いを放ってしまうのです。

この臭いから解放されるためにも、簡単な汗染みや臭いの対策を行うことが重要です。

臭い対策にはローテーションが肝

仕事でスーツを着用する機会の多い方は、当然のことながら毎日の出勤に革靴を履くことが多くなります。そのような環境において、毎日同じ革靴を履いてしまうと、靴に過剰な負担がかかってしまい、すぐに傷んでしまうでしょう。

革靴を長持ちさせるためには、適度な休息が必要となります。そこで、最低3足の革靴を所有し、それらを交互に履いて靴の傷みを軽減するのがおすすめです。それによって、それぞれの靴の寿命も延び、経済的にもメリットが生まれます。

一方で、3足以上の革靴をローテーションして使うことにより、ヒールやソールへの負担も軽くなりますが、それでもヒールやソールがすり減ってしまうのは自然なことです。そういった場合は、修理に出すか靴の買い換えを検討しましょう。ヒールやソールの減り具合は人の目につきやすく、見栄え的にもだらしなく見えるので、特に注意が必要です。

一つの靴を履き続けることがないように、複数の靴を準備して、ローテンションして履くことが重要となります。汗をかいた状態を保ってしまうことが臭いの原因となっているため、靴を休ませて常に乾いた状態の靴を履くことができれば、靴の中で菌が繁殖することを防ぐことができるでしょう。

一般的に、汗を大量に吸い込んだ靴が乾燥し、水分を飛ばすのにかかる時間は48時間と考えられています。この時間を目安に考えると、ローテーションを行うために少なくとも3足が必要です。

何足も靴を持つことに抵抗を覚える方もいるかもしれませんが、スーツ同様に靴も休ませた方が長持ちするというメリットもあります。できる限りダメージを与えず、臭い靴にならないように、汗を飛ばす時間を作ってあげることも重要です。

汗と相性のいい素材を選ぶ

何足も靴を持ちたくない方向けには、靴の素材に注目するようにしましょう。

臭いの原因となるのは、靴に染み込んだ汗による菌の増殖です。靴が乾いた状態であれば、菌が増殖することを避けられるため、春夏の暑い時期に履く靴の素材として、シリカゲルのような乾燥材が適しています。

特徴は、素早く汗を吸い取るだけでなく、短時間で靴を乾かしてくれる機能です。乾燥が早ければ、菌が増殖せずに済むので、気になるニオイで悩まされることもないでしょう。

他には、型崩れ防止にもなる木製のシューズキーパーや中敷きを靴の中にセットするのもおすすめです。汗をかくこと自体を防ぐことはできないため、靴以外に汗を吸い取ってもらうための方法です。

乾燥スピードが早いだけでなく、靴へのダメージを減らすこともできるため、かしこい対策といえます。

湿気対策を試す

一時的な対策として、一般的に知られる湿気対策を試すのもいいでしょう。

例えば、革靴の中に10円玉を入れる方法です。銅が雑菌を分解してくれ、消臭効果が期待できます。丸めた新聞紙を革靴のつま先の方に形を整えて詰め、一晩置いておく方法もおすすめです。詰めた新聞紙が湿気を吸いとってくれるため、出張中や簡易的な対策としてはおすすめといえます。

他にも重曹を使い古した靴下などに入れて口を結び、靴の中に入れて一晩置くことで、重曹が気になる臭いを吸い取る効果が期待できるのでおすすめです。

湿気を取る方法はさまざまあるので、自分が実行しやすいものを試してみましょう。

早めに拭き取り、自然乾燥

暑さにより革靴が汗で濡れてしまったら、乾いた布で早めに拭き取り、日の当たらない日陰で自然乾燥させてください。

一番避けたいのは、汗や水濡れなどの水分をそのままの状態で何も対策しないことです。面倒ではありますが、このひと手間をかけることで、カビの発生などを防ぎ、綺麗で清潔な靴の状態を保つことができます。

特に夏場は汗をかいてしまい、汗への対策が重要となります。スニーカーなどであれば、日が当たっている場所で干した方が早く乾燥させることができますが、革靴はデリケートです。日があたることによって、型崩れや変色を招く可能性があるため、革にこもった湿気を減らしてから通気性の良い袋に入れ、陽の当たらない風通しの良い場所で保管しましょう。

革の劣化を防ぎ、長く履き続けることができます。

専用アイテムも大活躍

革靴に汗染みを見つけた場合、早めの対処が重要です。

革の表面についた汗染みであれば、専用のクリーナーや消しゴムを使うことで、目立たなくさせることができます。汗染みはいつできてしまうかわかりません。できた際にそのまま放置しているとシミになってしまい、落ちなくなってしまいます。

取り返しが付かなくなる前にすぐ対処できるよう、専用アイテムを手に入れておくことがおすすめです。

素足で履かない

最近では、素足で革靴を履いている方も多いです。しかし、素足で革靴を履くことで汗がダイレクトに革靴に触れ、そのまま汗を吸い込んでしまうことが考えられます。

暑い夏ではありますが、靴下やサラサラとしたストッキングなどを履いて、革靴に汗が直接つくのを防ぎましょう。

蒸される感覚が苦手な方は、靴下を何枚かストックに持ち歩いて、汗をかいたらこまめに履き替えるのもおすすめです。少しの工夫で臭いに悩まされず、快適に革靴を履くことができます。

足を清潔に保つ

革靴への対策ばかりに目がいってしまいますが、もしかしたら、自分自身の足の臭いが原因の可能性も考えられます。

足の臭い対策としては、湯船に浸かるのが一番です。できれば、湯銭に3分以上浸かり、皮膚が柔らかくなった状態になったら、石鹸を泡立て、手で優しく揉み洗いしてください。

足の臭いの原因は汚れが溜まっている可能性が高いです。汚れが溜まりやすい指の間や爪の間など、意識しながら念入りに洗うと、清潔になるので試してみてください。

靴の乾燥方法で注意しておきたい点

靴に汗が染みた状態を保たないようにすることが重要ですが、乾燥させる方法として避けなければいけないことが幾つかあります。

ここでは、靴の乾燥方法で注意しておきたい点を紹介します。

靴に熱を加えてはいけない

まず注意しておきたいのは、汗を飛ばすために革靴に熱を加えることです。

よくやりがちなのが、ドライヤーで靴を乾燥させる方法はNGとなります。理由は、革製品は水分と熱を同時に加える事によって、縮んでしまうことがあるからです。縮んでしまった部分は、スルメのように丸くなってしまい、せっかくの革靴のシルエットが崩れ、とても履ける状態ではなくなってしまいます。乾燥させる方法としておすすめはできないため、注意してください。

もし熱を利用して乾燥させた際に変形してしまったら、オイルケアで革に油分を与えてみるといいでしょう。

消臭スプレーの過度な吹きかけ

靴の臭いを対策するアイテムとして、靴専用の消臭スプレーを試したことがある方も多いのではないでしょうか。こちらも簡単にできる対策ではありますが、注意点として靴への消臭スプレーのかけ過ぎには注意が必要です。

しっかり染み込ませた方が効果がある!とたっぷり振りかけてしまう気持ちもわかります。しかし、ビチャビチャにかけてしまうと、乾燥とは程遠く、反対に靴が乾きにくくなってしまうため、掛け過ぎには注意しましょう。

消臭スプレーの適量としては、1〜2秒シュッシュと軽く吹きかけるだけで、消臭スプレーの効果は期待できます。

ちなみに、消臭スプレーは除菌タイプのものがおすすめです。ぜひ試してみてください。

雨に濡れた革靴の手入れ


もし、革靴が雨に濡れた場合、帰宅したらすぐに汚れてもいいタオルなどで革靴を拭き、タオルドライをします。

タオルドライが済んだら、革靴の中に新聞紙を詰め、革靴の中の水分を吸い取らせましょう。先ほど説明した通り、ドライヤーなどの熱で乾かしてしまうと、一気に水分を乾燥させることになり、革にひびが入ってしまいます。革靴を乾燥させるときは自然乾燥を意識するようにしましょう。

革靴が乾燥したら表面に雨ジミが出来ていないかどうかをチェックし、見つかったら固く絞ったタオルなどを被せてシミを分散させます。

シミが消滅したらクリームなどでコーティングし、革に栄養を与えます。

また、前もって防水・撥水スプレーをふりかけておくのもおすすめです。防水・撥水スプレーをかけておくことで、多少の雨であればしのぐことができます。

濡れた革靴の放置はシミやひび割れの原因となるため、しっかりと水分を拭き取り、風通しの良い場所で陰干しを行いましょう。

革靴はデリケート!ケアを忘れずに

革靴は、非常にデリケートなものですが、普段から適切なメンテナンスを忘れずに行っていれば、購入したてのような綺麗な状態を長期間保つことができ、靴の寿命を延ばすこともできます。

そのために、今回紹介した正しい靴磨きの手順と必要な道具を用いて、日頃から革靴のメンテナンスを行っていきましょう。

靴磨きは、慣れるまでは多少時間がかかってしまいますが、繰り返し行うことで要領をつかみ、短時間で行うことが可能になります。そして、何よりも靴磨きを続けることでお気に入りの革靴により一層の愛着が湧きますのでおすすめです。

毎日の革靴の着用後の簡単なお手入れと適切な保管、定期的な靴磨きを習慣化して、継続的に革靴の手入れを続けることが重要となります。

革靴は使い込むごとに味わいが出ていくものなので、ぜひメンテナンスを忘れないようにしましょう。

藤井 彩生