フラワーホールとは?スーツの左襟にある穴についてわかりやすく解説のアイキャッチ画像
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フラワーホールとは?スーツの左襟にある穴についてわかりやすく解説

皆さんはスーツの左襟に開いているボタン穴を気にかけたことはあるでしょうか。このボタン穴は「フラワーホール」と呼ばれ、現在売られている多くのスーツやジャケットの襟に開けられているものです。この記事では、フラワーホールの歴史や現代における活用方法などを分かりやすく解説します。また、フラワーホールに取り付ける「ラペルピン」について、ビジネスや結婚式といったシーン別の選び方も紹介しますので、フラワーホールに関する興味や疑問をお持ちの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

スーツの左襟にあるボタン穴、フラワーホールの歴史と由来

お店で売られているほとんどのスーツやジャケットの左襟には、「フラワーホール」というボタン穴が開けられています。フラワーホールは昔からさまざまな場面で活用されており、現在でもアクセントやお洒落の一環として活躍しているのです。ここでははじめに、フラワーホールの歴史や由来を解説します。

元は第一ボタン穴の名残

フラワーホールは、直訳すると「花を挿すための穴」という意味になります。しかし、もともとは花を挿す用途で生まれた穴ではありませんでした。

フラワーホールの歴史を解説するためには、スーツができるまでの歴史を辿る必要があります。実は、スーツのルーツは軍服であり、初めのうちは学ランのように襟を立てて着用していました。その際、第一ボタンのボタン穴として使われていたのがフラワーホールです。後に、第一ボタンを外して襟を折り返した状態の「狩猟用コート」が登場します。狩猟用コートの影響で、始めから襟が折り返されているコートやジャケットが増えていったのです。時代と共に襟を開いて着用するスーツが一般的になったことで、第一ボタン穴の名残としてフラワーホールが残ったと言われています。

フラワーホールと呼ばれるようになったきっかけ

このボタン穴が「フラワーホール」と呼ばれるようになったきっかけは、イギリスのエドワード皇太がボタン穴に花を挿したことであるとされています。その後、人々の間でフラワーホールに花を挿すファッションが流行しました。

現代において、普段着用しているスーツに本物の花を挿すのは難しいでしょう。しかし、フラワーホールに「ブートニエール」という飾り花を取り付けるファッションは今でも人気があります。

プロポーズでも活躍

フラワーホールは、主に19世紀頃のヨーロッパ貴族の間で流行したプロポーズの習わしで活躍しました。男性がプロポーズの際に花束を渡し、女性側は返事がOKであれば、渡された花束の中から花を一輪を取り、男性のフラワーホールに挿すという、とても上品で素敵な習わしです。現代の結婚式でも、新郎がフラワーホールに花(ブートニア)を挿している姿を見ることがあります。このような演出も、ヨーロッパのプロポーズにおける風習から来ていると言われています。

フラワーホールの位置に違いはある?

フラワーホールの位置は、スーツの形状によって多少変わることがありますが、ラペル(下襟)に開いていることに違いはありません。ここでは、「シングルブレスト」と「ダブルブレスト」の違いを解説します。

・シングルブレスト

シングルブレストは、ボタンが一列に並んでいるスーツのことです。シングルブレストの場合、左襟にフラワーホールが開いています。ただし、テーラードジャケットなど尖ったラペルデザインの場合は、左右両方にフラワーホールが開いていることもあります。

・ダブルブレスト

ダブルブレストは、ボタンが二列に並んでいるスーツのことです。ダブルブレストの場合、左右両方にフラワーホールが開いているのが一般的でしたが、現在は左襟だけに開いているものも増えてきています。

現代におけるフラワーホールの活用法

続いて、現代におけるフラワーホールの活用方法を紹介します。普段、フラワーホールをあまり気に留めずにスーツを着用している方が多い傾向ですが、現代においてもフラワーホールには多くの活用方法があるのです。ほんの少しのアクセントを加えるだけで、見た目の印象を変え、華やかにできます。ぜひ、気分転換やおしゃれの一環として取り入れてみてください。

社章を取り付ける

フラワーホールは社章を取り付ける際によく利用されています。社章とは、フラワーホールに付ける企業バッジのことです。主に会社のイメージアピールや社員の身分証明、顧客に安心感を与える目的があります。また、会社の一員としての自覚を持たせ、団結力を上げるために社章を活用する企業もあります。

社章の留め具にはネジや針が使われるのが一般的ですが、社章をフラワーホールに取り付ければスーツが傷みません。また、最近では元からフラワーホールの穴や切り込みを小さく作り、バッジを固定しやすくしたスーツもあります。

ラペルピンやブートニエールを取り付ける

ラペルピンはブローチのようなもので、取り付けることで襟元や顔周りが華やかな印象となります。安全ピンのようにピンを通して付けるオーソドックスなタイプの他、最近ではチェーンが付いているタイプなども多く見られるようになりました。着用する場面やスーツに合わせたコーディネートができます。特にパーティーのような社交的な場所におすすめです。

また、近年ラペルピンの中で人気を高めているのが「ブートニエール」です。ブートニエールはフランス語で「ボタン穴」を意味し、左襟に付ける飾り花のアクセサリーを指します。

男性が付けることが多く、冠婚葬祭や式典といったシーンで活用する方が増えてきました。フォーマルでありながら華やかさも演出でき、スーツにアクセントを加えたい時にぴったりなアイテムです。

生花や造花を挿す

襟の裏側を見ると、フラワーホールの下に糸が通っているケースがあります。これは「チーループ」または「フラワーループ」と呼び、花の茎を留めるために付けられたものです。本物の花を挿す場合以外に活用方法がないため、現代では必要性が低いとされていますが、造花を挿す時にも適しています。パーティーや式典などの場面では、スーツの歴史を感じつつ、フラワーホールに生花や造花を挿してみてはいかがでしょうか。

フラワーホール自体がアクセントになる

フラワーホールに無理にバッジや花を取り付ける必要はありません。たとえフラワーホールに何も付けていなかったとしても、それ自体が「スーツの目」としてワンポイントのアクセントになっています。例えば、一般的に売られているスーツにフラワーホールがないと、なんとなく寂しく物足りない印象を受けるでしょう。デザインが全く同じスーツでも、フラワーホールの有無で見た目の印象が異なるのです。

フラワーホールでワンランク上の着こなし方を楽しもう

フラワーホールは、その活用方法によってバリエーション豊富なお洒落を楽しめます。ここでは、オーダースーツを作る際のアレンジ例を紹介します。

・色の糸を変える

オーダースーツのオプションとして、フラワーホールの糸色を変更できる場合があります。一般的にフラワーホールは表生地と同じ色の糸で縫われていますが、あえて違う色の糸にすることで、スーツのアクセントになるでしょう。個性を出したい時にもおすすめです。裏生地と色を合わせたり、色をガラリと変えてワンポイントにしたりと、いろいろな楽しみ方ができます。加えて、袖口のボタンホールもフラワーホールに併せて色を変えると統一感が出ます。

・フラワーホールを2つ開ける

フラワーホールで個性を演出したいなら、「縦に2つ並べる」「両側のラペルに開ける」といったオーダーがおすすめです。シングルスーツの場合、両側の襟にフラワーホールが開いているケースは珍しいため、個性的で人の目を引くスーツになるでしょう。

ラペルピンで更にお洒落に

ラペルピンはフラワーホールに取り付けるアクセサリーです。付けるだけで簡単に襟元や顔周りの印象を華やかにできます。ここでは、ラペルピンの種類やシーンごとの選び方について紹介します。

ラペルピンの種類

ラペルピンには、以下の3種類があります。

・スティックタイプ

飾りの部分に長い針が付いており、フラワーホールから針を通し、針先を生地の表側に出して留めます。角度を好きなようにアレンジできるので、用途に合わせたお洒落を楽しめるでしょう。

・ピンズタイプ

針が短く、フラワーホールに挿して留めるタイプです。針を通さないため、スーツの生地を傷める心配がありません。モチーフの種類が豊富なので、自分の好みやコーディネートに合ったものを選べます。

・チェーンタイプ

スティックタイプにチェーンが付いているタイプや、ピンズタイプがチェーンで繋がっているタイプがあります。チェーンがあることでより華やかな印象となり、パーティーシーンなどでも人気です。

ビジネスでのラペルピンの選び方

最近ではビジネスカジュアルな装いが許されている職場も多くなり、ファッションアイテムとしてラペルピンを活用する方も増えています。意識すべきなのは、TPOや職場の雰囲気に合わせたラペルピンを選ぶことです。華美になりすぎないよう、なるべくシンプルなデザインのものを選ぶと良いでしょう。

ビジネスシーンにおすすめなのが、ピンズタイプのラペルピンです。華美になりにくく、ジャケットにも馴染むので、普段使いとしても楽しめるでしょう。一方で、チェーンタイプのラペルピンは華やかさが強く出るため、ビジネスシーンではあまりおすすめできません。

結婚式でのラペルピンの選び方

結婚式でのラペルピンを付ける際は、「主役である新郎よりも目立たない」というマナーを守る必要があります。結婚式の雰囲気や格式にもよりますが、おしゃれに制限があると考えておきましょう。厳格な雰囲気の結婚式の場合、フォーマルで落ち着きのあるデザインのラペルピンがおすすめです。カジュアルな結婚式や二次会の場合は、華やかなものや個性的なものでお洒落を演出できます。

また、結婚式ではラペルピンに加えて「カフスボタン」「ネクタイピン」「ポケットチーフ」といったアクセサリーを付けることもおすすめです。ラペルピンと色を合わせたり、ラペルピンをアクセントに使ったりするのも良いでしょう。

スーツにフラワーホールがない時は?

売られているスーツの中には、元からフラワーホールが開いていないものがあります。ここでは、フラワーホールが開いていないスーツがある理由と、自分でフラワーホールを開ける方法を紹介します。

フラワーホールがないスーツがある理由

フラワーホールがないスーツは、「実際の穴はなく、ボタン穴の糸がかりだけがあるもの」と「ボタン穴そのものがないもの」の2種類に分けられます。

フラワーホールがない理由はいくつかあり、一つ目は「コスト削減のため」です。仕立てる工程でコストを削減するため、穴が開いていないスーツがあります。

もう一つの理由は「個性的なスーツであるため」です。カジュアルジャケットなどの場合、元々のデザインや生地が既におしゃれなため、装飾する必要がなく、穴が開いていないケースが多くあります。

自分でフラワーホールを開ける方法

まずは、実際の穴がなくフラワーホールに見立てた糸がかりだけがあるスーツの場合から解説しましょう。糸がかりはあるものの穴が貫通していない場合、よく観察する必要があります。一見穴がないように見えても、3mmほどの小さい穴が開けられていることがあるのです。よく観察した結果、やはり穴が空いていない時は、自分でフラワーホールを開けられます。糸がかりを切らないように注意しながら、ボタン穴の外側から中心にかけて3mmほど切り込みを入れましょう。

少しでも不安な場合や、糸がかり自体がない場合は、スーツのリメイク業者や仕立て屋さんに依頼することをおすすめします。

オーダースーツ専門店「オーダースーツSADA」とは?

オーダースーツSADAは、オーダースーツを取り扱っている専門店です。全国にチェーン展開しており、その店舗数は日本一を誇ります。オーダースーツSADAは、創業95年を迎える老舗企業です。長い歴史と伝統が培った技術やノウハウを活かし、高品質のオーダースーツをリーズナブルな価格で提供しています。これまでに仕立てたオーダースーツは500万着以上で、タレントやYouTuber、政治家に至るまで多くの方が着用しています。どんな体型にもフィットする「自分だけの1着」をお仕立て可能です。

また、オーダースーツSADAは今回ご紹介した「フラワーホール」にこだわりたい方にもぴったりです。糸色を変更してアクセントを付けたい時や、ボタン穴の数を増やしたい時など、お気軽にご相談ください。オーダースーツSADAで作った1着で、お洒落なコーディネートを楽しみましょう。