ハリスツイードジャケットを使った冬の着こなしで暖かく大人な印象に。のアイキャッチ画像
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ハリスツイードジャケットを使った冬の着こなしで暖かく大人な印象に。

「ハリスツイード」ってご存じですか?具体的には説明できなくても、「Harris Tweed」と書いてあるのをどこかで見かけて、なんとなく知っている方は多いのでは。よくブランド名と勘違いされていますが、ハリスツイードは生地の名称です。独特な柄とノスタルジックな風合いが特徴で、特に男性に人気があるハリスツイード。保温性にも優れているので、冬のスーツやジャケットにしばしば用いられています。今や世界的に価値のある生地で、「ハリス&ルイス島」で手織りされた、品質基準を満たした生地だけがハリスツイードとして流通しています。なぜこんなに限られたものだけがハリスツイードとして名を馳せているのかというと、実はスコットランドの特定の場所で飼育された羊の、生まれて初めて刈り取られた毛だけが原料として使われているからです。ここまで読んで、「もしかしてとんでもない価格がするのでは…」と思った方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。もともとハリスツイードは、現地の漁師が寒さを凌ぐために使っていたもの。ツイード生地の中では高級品ですが、十分に手が届く価格ですよ。今回はそんなハリスツイード生地について解説します。

ビジネスパーソンにとって、欠かせない「スーツ」のおしゃれ。季節ごとに合ったジャケットの素材や柄を選び、コーディネートを楽しんでいる人も多いのではないでしょうか。生地のなかでもツイードはやさしい風合いが魅力で、高い人気を集めています。なかでも、仕上がりの美しさからハリスツイードの生地は、多くの人に愛されているブランドです。ここでは、ハリスツイードに関する基礎知識や、冬のコーデのポイントについて紹介します。

「ハリスツイード」の基礎知識

 

スーツ専門店やファッション雑誌などで、「ハリスツイード」の商品を目にしたことがあるのではないでしょうか。

あるいは赤い文字で「Harris Tweed」と書かれたタグが服に付いているのを見たことがあるかもしれません。

ハリスツイードはその独特な柄やノスタルジックな風合いで、また保温性にも優れるなど機能性の面も良いことから、特に男性から人気があります。

「ハリスツイード」というブランドだとよく誤解されますが、実はハリスツイードはブランドではなく、生地の名称です。

「ハリスツイード」の「ハリス」はハリス&ルイス島のことで、「ツイード」はアイルランドの伝統的な漁師の作業着のことを指します。

ハリスツイードは1846年にスコットランド北西部・アウターヘブリディーズ諸島のハリス&ルイス島でレディダンモアが島の職人にマレイ・タータン柄のツイードを織らせたことに端を発します。

その後ロンドンなどでも売られるようになり、今では世界的に価値のある生地の一つとなっています。

1993年にはハリスツイードの伝統を保護するため、イギリスの国会でハリス・ツイード条例が定められ、ハリスツイードは世界で唯一国会の制定法で守られた生地となりました。

そのため、現在でもハリス&ルイス島で島民が手織りし、厳しい品質基準を満たしたものしかハリスツイードとして認められていません。

 

ハリスツイードの素材は羊の毛?

ハリスツイードの生地は羊の毛によって作られています。しかしただの羊の毛ではなく、スコットランド内のある特定の場所で飼育された有機栽培の草を飼料としたバージン・ウールのみとされています。

バージン・ウールは、二つの特徴があり、一つは生まれてからまだ刈り取られたことがない羊の毛であるということ、もう一つは再生ウールを使用せず、100%純粋な羊毛であるといった特徴です。

そうした羊毛をハリス&ルイス島の島民たちが、自分の家で手紡ぎし、その糸を用いて手織り織機で織り上げるといった製法によって作り上げられます。

こうしたホームスパンによって完成させられた生地は「ハリスツイード協会」という団体を通して世界の市場に向けて送り出されます。

厳しい品質基準をクリアした生地には、英国王室からの使用許可の証である「オーブマーク」と呼ばれる王冠のマークが与えられます。

 

ハリスツイードは高級品?

ハリスツイードはスコットランドのごく限られた地域でしか生産されないため、他の素材に比べると、高級なものです。

しかし元々はスコットランドの漁師たちが寒さを凌ぐために着用していたもので、それほど高価なものではなく、牛革などに比べれば手頃な価格で手に入れることができます。

とは言っても、同じツイード生地の中でハリスツイードは「キングツイード」と呼ばれるほど品質が最も良く、ツイード生地の中では高級品としての位置付けです。

また、ハリスツイード商品の中でも、ハリスツイードを何%使用しているか、どの職人によって作られたかによってハリスツイードの価格は異なってきます。

 

ハリスツイードの代表的な柄

ハリスツイードはノスタルジックさが溢れる古典柄のものが多いです。

まず定番な柄として、ヘリンボーンが挙げられます。ヘリンボーンはニシンの骨という意味で、魚の骨のようなV字模様が縦横に連続して連なる模様です。グレーやブラウンといったダークトーン系の色が多く、高級感があり、大人らしさをプラスしてくれます。

また、チェック柄、格子柄や杉綾のハリスツイードも多く見られます。赤や黄色といった明るい色のものも多く、ヘリンボーンよりはカジュアルな雰囲気を演出するのに向いています。

どの柄や色にするか迷った時は、着用する場面に応じてハリスツイードの柄や色を選ぶと良いでしょう。

ハリスツイードの知名度はなぜ高いのか、その理由は以下の3つがポイントとして挙げられます。 

製法のこだわり

1つ目は、「製法にこだわりを持っている」ことです。ハリスツイードは人力織機を使って生地を織っており、昔とほぼ同じ製法を守っています。

昔ながらの製法で作られた生地は独特のノスタルジックな雰囲気が漂い、幅広い層のファンを獲得しています。

また製法が機械化されていないことから、自然志向が高まっている現在さらに注目を集めています。 

日本での人気が高い

また特に日本での人気が高いことも理由の一つとして挙げられます。

2015年現在、スコットランドでつくられたハリスツイードのうち、実は全体の60%が日本に輸出されています。

(参考記事:https://www.fashionsnap.com/article/2017-02-26/harristweed/)

ハリスツイードが日本で広まった背景として、2010年にハリスツイード協会が創設100周年を迎え、その際に行われたイベントをきっかけに日本でのハリスツイードの人気が急速に高まったとされています。

また100周年記念として、シリアルナンバーが入ったハリスツイードのブラックラベルが特別に作られ、大きな話題となりました。

生地の大量生産

3つ目は「生地の大量生産」という理由です。

いっとき、生地の大量生産が行われて世界各地に名を知らしめることになりました。

日本でもガイドラインを遵守しない、商品の一部だけに生地を用いてハリスツイードのラベルだけを貼り付けたものが大量生産されるといった時期がありました。

(参考記事: https://www.gqjapan.jp/life/business/20170111/brand-management-the-case-of-harris-tweed)

現在では、協会によって厳重な管理がなされ、ハリスツイード生地が商品外部表面面積の50%以上を占めていなければラベルを付けることが認められないようになっています。

 

ハリスツイード協会ラベルポリシー

 

ツイード素材の特徴は?

 

独特の風合いが魅力のツイード素材には、一体どのような特徴があるのでしょうか。特徴を知ったうえでツイード素材をコーディネートに取り入れることで、よりおしゃれな印象に近づけます。ツイード素材の主な特徴には、以下の4点が挙げられます。 

厚手であること

まず、1つ目の特徴は「厚手」であることです。ツイード素材は太く短い羊の「紡毛糸」を用いて織られたもので、生地が厚く保温性に優れているという特徴があります。ツイード素材は見た目の温もり感と防寒性の高さから、寒い季節の素材としてポピュラーな存在になっています。  

頑丈という点

2つ目の特徴は「頑丈」という点です。紡毛糸は耐久性に優れ、頑丈な作りをしています。また、起毛感が少なく織り目がはっきりと見えるのも特徴です。 

撥水性にも優れており、長年着用することが可能です。 

ストレッチ性があまりないこと

3つ目に「ストレッチ性があまりない」ことが挙げられます。ツイード生地に用いられる紡毛糸には伸縮性があまりないため、スーツやジャケットを購入する際は、自分の体に合ったサイズであるかどうかをよく確認する必要があります。  

上品な印象に仕上がる

4つ目に「上品な印象に仕上がる」のも特徴です。ツイード生地は見た目にも高級感があり、コーディネートに取り入れると、上品で洗練された印象を与えられます。やわらかな風合いは大人の余裕を感じさせ、周りと差をつけたおしゃれを楽しめます。 

 

ツイードとフランネルとの違い

同じ秋冬に着用するウール素材を使った生地に「フランネル」があります。

フランネルはツイードと同じイギリス生まれで、元々はスポーツウェアの生地として使用されてきましたが、1970年代からファッションアイテムとしても広く使用されるようになりました。

ツイードもフランネルもどちらも太く短い毛を使用した「紡毛糸」で織るという点で共通していますが、両者にははっきりとした違いがあり、フランネルが織る際に片面あるいは両面を織り、起毛を行うのに対し、ツイードは起毛を行わず、フランネルに比べて織り目が見えやすいという点で異なります。

どちらも保温性に優れ、寒い秋冬の季節にとても重宝するアイテムです。

 

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ツイード素材のお手入れ方法

ツイード生地ならではの味わいや質感を長く維持するには、こまめなお手入れを行うのがポイントです。お気に入りのアイテムを長く使用できるように、日ごろからお手入れをしっかり行いましょう。 以下に具体的なお手入れ方法をご紹介します。

ホコリを落とす

まずツイード素材のお手入れの基本となるのが、使用後に「ホコリを落とす」ことです。ツイード生地は繊維の目が粗く、糸と糸の間にホコリが入り込みやすいという特徴があります。そのため、ツイード素材のアイテムを着用したら全体を手でたたき、ホコリを落としておくのが重要です。 

こまめなブラッシング

さらに、手でたたいてホコリを落とすだけではなく、こまめに「ブラッシング」を行うと美しい風合いを保ちやすくなります。袖などの立体的な部分は、手をなかに入れてブラッシングをすると良いでしょう。ブラッシング後は立体的なハンガーにかけて、不織布などでカバーをしておくのがおすすめです。

 

冬のツイードジャケットコーデ5選

 

 

肌寒い冬は、暖かみを感じさせるツイード素材がぴったりの季節です。ツイード素材を取り入れた大人らしいスタイルで、冬らしさを感じさせる格好良い着こなしを目指しましょう。

コーデ例1 ヘリンボーン地のネイビーツイードジャケット×黒orキャメルやライトグレーのパンツ

ヘリンボーン地のネイビーツイードジャケットは、1枚持っておくと着回しがしやすい万能性の高いアイテムです。かっちりした着こなしに仕上げたいときはブラックのパンツを、カジュアル要素を取り入れたいときはキャメルやライトグレーのパンツを合わせると、抜け感のあるスタイルが完成します。 

コーデ例2 ツイードジャケット×デニムパンツ

ツイードジャケットとデニムパンツの相性は抜群です。

ツイードジャケットの味のある風合いはデニムパンツによく馴染みます。少しキレイめな印象があるツイードジャケットにデニムを取り入れることにより、決まり過ぎず、またカジュアル過ぎないコーデが完成します。ややタイト目なデニムパンツと合わせることによって、よりスマートな着こなしができるでしょう。

コーデ例3 ツイードジャケット×白or青シャツ

ツイードジャケットはシャツともよく合います。

ツイードジャケットの下からシャツを覗かせると上品な印象を与えることができ、フォーマルな場面でもカジュアルな場面でもどちらでも活用できます。

白シャツと合わせてコントラストの効いたスッキリとしたコーデに仕上げても良いですし、青シャツをインサートし、ネイビーパンツと合わせて統一感のあるコーデに仕上げるのもおすすめです。

コーデ例4 ツイードジャケット×タートルネックニット

冬にツイードジャケットをカジュアルに着こなすには、タートルネックのニットを合わせるのも良い手です。タートルネックが程よい抜け感を演出し、デートにもぴったりな大人の魅力を醸し出すコーディネートに仕上がります。またビビッドカラーのタートルネックを取り入れると、メリハリの効いたコーデに仕上がるので、おすすめです。 

コーデ例5 コート×ツイードジャケット

冬の寒い時期にアウターはマストですが、ツイードジャケットの上にコートを羽織っても問題ありません。むしろツイードジャケットの素材とは異なるコートを羽織ることで、こなれ感が生まれ、おしゃれな印象に仕上がります。

 

ツイートジャケットは夏でも着れる? 

ハリスツイードジャケットに関しては羊の毛を使用しているため、基本的には秋冬用になりますが、同じツイードジャケットの中には、サマーツイードジャケットと呼ばれる夏用のツイードジャケットが存在します。サマーツイードジャケットはリネンやコットンの生地で作られ、薄い生地であるため、夏でも涼しく羽織ることができます。

またサマーツイードはさまざまな素材を混ぜ合わせて作られるため、発色が控えめで、派手にみえないといった利点があり、暑い時期のビジネスカジュアルスタイルにぴったりです。

 

ジャケットはオーダーメイドがおすすめ

コーディネートにこだわりを持ちたいのなら、オーダースーツのお店でスーツやジャケットを作るのがおすすめです。オーダーメイドを利用することで、さまざまなメリットが得られます。  

自分の体型に合うスーツが手に入る

まず、オーダーメイドの大きなメリットとして挙げられるのが「自分の体型にぴったり合うスーツやジャケットが手に入るという点です。人によって肩幅やウエスト、ヒップなど、体型はそれぞれに異なります。既成のスーツは用意された号数体型のなかから自分に近いものを選ぶことになり、「肩幅は合っていてもウエスト周りが余ってしまう」など、自分の体にフィットするものを見つけにくい傾向です。 

 スーツの傷みを軽減、寿命をのばす

また、購入した既成のスーツが体に合わず、ウエストや肩周りなどのサイズ直しを行うと、スーツが傷みやすくなったり寿命が短くなったりする可能性があります。その点、オーダーメイドなら自分の体にぴったりのスーツを作れるため、美しく格好良い着こなしを実現可能です。それに、体型に合わせてスーツを作るため、後でサイズ直しをする手間もかかりません。 

 

ジャケットをオーダーするならオーダースーツSADA 

スーツやジャケットをオーダーするのなら、「オーダースーツSADA」を選ぶのも良い手です。SADAは自動設計システムのCAD上でパターンを起こし、抜群の着心地が叶うスーツやジャケット作りを実現させています。パターンの起こし方は、まず採寸結果よりジャケット300通り、スラックス250通りの基本パターンから最適なものを選択し、その20数カ所を縮小させて体に合わせるというものです。こうして仕上がったスーツやジャケットは自分の魅力を最大限に引き出し、ワンランク上の着こなしを叶えてくれます。

ハリスツイードのまとめ

今回はハリスツイードについてご紹介しました。

ハリスツイードはスコットランドのハリス&ルイス島の厳しい条件をくぐり抜けた生地だけがその称号を得ることができる貴重な生地です。一時大量生産が行われ、世に知られる一因ともなりましたが、現在はハリスツイード協会によって厳重に管理されています。

徹底したこだわりのもと作られているハリスツイードの美しい生地は、身につけるだけで洗練された大人の風格を演出してくれます。ハリスツイードのジャケットは1枚持っておくと冬のコーディネートの幅が広がりやすく、便利なアイテムです。高い品質と伝統を守り続けているハリスツイードのジャケットで、ハイセンスな装いを楽しんでみてはいかがでしょうか。

ハリスツイードはノスタルジックさを感じさせる人気の生地です。人力織機を使った製法を守り続けているので、自然志向の独特な雰囲気を放っています。柄はヘリンボーンが主流ですが、チェックや格子のカジュアルな雰囲気が強いものも多いのが特徴です。ハリスツイード含むツイード素材は、厚手で保温性に優れ、頑丈であるのが大きなメリット。まさに冬の着用に向いた機能性を備えています。ただしストレッチ性がないため、自分に合ったサイズ選びがより重要です。独特な高級感があるので大人の余裕を感じさせる、周りと差をつけたオシャレコーデに取り入れられます。同じく秋冬用素材の「フランネル」と異なるのは、起毛せず織り目が見えやすい点。どちらも保温性がありますが、生地の見え方が若干異なるのです。またツイード生地はホコリが入りやすいので、なるべく頻繁にホコリを落とし、ブラッシングも行いましょう。おすすめコーデは「ネイビーツイードジャケット×黒orキャメルorライトグレーパンツ」「ツイードジャケット×デニムパンツ」「ツイードジャケット×白or青シャツ」です。コートやタートルネックと合わせてもオシャレ。ぜひ冬のコーデに取り入れて、上品で高級感のある装いにチャレンジしてみてください。