
スーツのタックとは?パンツを選ぶときに重要な種類と選ぶポイントを紹介-オーダースーツSADA
「スーツのパンツ、なんだかしっくりこない…」そんな悩みを感じたことがある方は、もしかすると“タック”が関係しているかもしれません。意外と知られていないこのディテールが、スタイル全体の印象を大きく左右します。
この記事では、タックの基本から種類ごとの特徴、パンツ選びのコツまでをわかりやすく紹介します。
タックとは一体?
タックとは、パンツの前面に施された「生地のひだ(折り込み)」のことを指します。タックは、立体的なシルエットを作り出すだけでなく、動きやすさや快適な履き心地にもつながるのが特徴です。
また、タックは単なる機能性だけでなく、見た目の印象にも影響を与えるデザイン要素でもあります。パンツのシルエットや装い全体のバランスを整える意味でも、タックはパンツ選びでぜひ意識したいディテールです。
タックの種類は3つ
タックと一口にいってもさまざまな種類があり、それぞれ着心地やシルエットも大きく異なります。きちんとタックの特徴を把握しておくことが、ワンランク上の着こなしを目指すうえで大切です。
主なタックの種類としては、以下の3タイプが挙げられます。
1.ノータック
ノータックとは、その名の通りタックが入っていないパンツを指します。
タックがないぶん裾幅が細くなり、シンプルですっきりとした印象を与えられます。ノータックのパンツは、ヒップから太ももにかけてのシルエットが細く、比較的ウエスト位置が低いのが特徴です。
細身の人やスマートな着こなしを目指す人、デスクワーク中心であまり動き回らない人などに向いています。
タックありのものと比べるとややカジュアルな印象になることから、ビジネスカジュアルスタイルやプライベートシーンに取り入れやすいスタイルです。
2.ワンタック
ワンタックはパンツの左右に1本ずつ、タックが入っているデザインです。
クラシカルなスーツに多く用いられるデザインで、上品で落ち着いた印象を演出できます。タックによってヒップまわりに適度なゆとりが生まれるため、動きやすく快適な着用感があることも魅力です。
ヒップや太ももがしっかりしている方や、歩いたり座ったりなどの動作が多い方に、特におすすめのデザインです。
3.ツータック
ツータックは、パンツの左右に2本ずつタックが入ったデザインです。
ノータックやワンタックと比べて腰まわりにゆとりがあり、動きやすく、着用時の窮屈さを感じにくい特徴があります。体型ががっちりしている方や、動作の多いシーンでも快適に過ごしたいときにおすすめのデザインです。
このように、タックの有無や本数によって印象や機能性が変わるため、自分の体型や用途に合ったデザインを選ぶことが、快適でスタイリッシュな着こなしのポイントになります。
タックパンツのメリット
人によっては、「パンツなんてどれを履いても同じ」と考える人もいるかもしれません。
しかし、タック入りのパンツには、見た目の印象を変えるだけでなく、動きやすさや体型カバーといった機能面でのメリットもあります。
ここからは、タック入りパンツの具体的な魅力を詳しくご紹介します。
メリット1.動きやすい
タック入りパンツは、ウエストや太ももまわりに生地のゆとりがあるため、座ったり歩いたりする動作がスムーズにできるのが大きな魅力です。
特に、スーツのようなかっちりした装いでは、動作による窮屈さを感じやすいですが、タックが入っていることで快適な着心地を保てます。
さらに、タックは動きに応じて自然に広がるため、生地が余ってだらしなく見えることもありません。
すっきりとした立ち姿を演出しながら、体の動きには柔軟に対応できるタック入りパンツは、見た目と機能性を両立した優秀なアイテムなのです。
メリット2.クラシックで上品な印象
タック入りパンツは、クラシカルで洗練された印象を与えるため、ビジネスシーンはもちろん、きれいめカジュアルにもぴったりです。ゆったりとしたシルエットで上品さを醸し出しつつ、さりげないおしゃれ感を演出できるのも魅力の一つ。
近年では、タック入りのパンツがファッションシーンで再び注目されており、トレンドのアイテムとしても人気が高まっています。モダンなデザインとクラシカルな要素が融合し、幅広いスタイルに合わせやすいのが特徴です。
さらに、タックの種類や深さによっても印象が変わるため、シーンや気分に合わせて選ぶことで、より個性的で上品な着こなしが楽しめます。
メリット3.体型カバーに役立つ
タック入りパンツは、体型のラインを自然に整え、シルエットを美しく見せる効果があります。特にお腹周りにゆとりを持たせるため、気になる部分をさりげなくカバーしつつ、全体のバランスを良くしてくれます。
サイズ感が窮屈だとスマートな印象から遠ざかってしまいますが、タックが入っていることで適度なゆとりが生まれ、洗練された着こなしが叶います。自信を持ってスタイルアップできるのも、タック入りパンツの大きな魅力の一つです。
メリット4.座りジワがつきにくい
タック入りパンツは、座ったときにできるシワ(座りジワ)がつきにくいのが特徴です。
これは、タックによってパンツにゆとりが生まれ、動きに柔軟に対応できるためです。
スーツを長くきれいに保ちたい方にとって、タック入りパンツはとても役立つデザインといえるでしょう。
タックパンツはダサい?
「タックパンツはなんとなくダサい」と感じている方もいるかもしれません。
古臭い、おじさんっぽいという印象は、昔ながらのシルエットを思い浮かべていることが原因の一つでしょう。
しかし近年では、裾口に向かって細くなっているデザインのものが主流となっており、スマートな着こなしが叶うスタイリッシュなアイテムへと進化しています。
さらに、メンズだけでなくレディースファッションにおいても、タック入りパンツを用いたコーディネートが取り入れられており、もはや「ダサい」というイメージは過去のものです。
タック入りパンツをおしゃれに着こなすうえで、もっとも重視したいのが「サイズ感」です。
体型に合わないパンツは、生地が余ってだらしない印象を与えてしまったり、反対にきつすぎて動きづらくなったりと、印象や機能性を大きく左右します。適切なサイズを選ぶことで、スタイリッシュな着こなしと動きやすさの両立を叶えられます。
パンツ選びのポイント
タック入りパンツを選ぶ際は、いくつかのポイントを意識することが重要です。
きちんとポイントを把握したうえでパンツ選びをすれば、自分の魅力を最大限に引き出す一着に出会いやすくなります。タック入りパンツを選ぶときに意識したいポイントを紹介します。
①自分の体型に合わせて選ぶ
体型は人それぞれ異なり、似合うタック入りパンツは変わってきます。
基本の選び方は以下の通りです。
・ノータック:細身の人向け。腰まわりがすっきりし、シャープな印象に。
・ワンタック:標準体型向け。ほどよいゆとりで動きやすく、きちんと感も◎
・ツータック:がっちり体型向け。腰まわりに余裕があり、快適な履き心地。
②ウエストに合わせて選ぶ
タック入りパンツを選ぶ際は、ウエストの位置を意識することがポイントです。
ハイウエストで着用する場合は、タック入りを選ぶことで上品でエレガントな印象に仕上がり、ローライズならノータックですっきり見せることができます。
また、サイズ選びにも注意しましょう。ベルトをした状態でウエストに手のひら1枚分の余裕がある程度が理想的。ゆるすぎるとシワが寄ってシルエットが崩れ、きつすぎると動きにくさを感じたり、生地が伸びたりしてしまいます。
ウエスト位置とサイズを意識することで、快適さと見た目の美しさを両立したスタイリングが叶います。
③ヒップ周りを確認する
タック入りパンツを選ぶ際は、ヒップまわりのサイズ感も重要なチェックポイントです。
タイトすぎるとヒップラインが強調されて不自然に見え、反対にゆるすぎると生地が余ってシワが寄り、だらしない印象になります。
きれいなシルエットを出すために、体型を程よくカバーしつつ、動きやすさも確保できるサイズ選びを心がけましょう。
特に細身のシルエットが好みの方は、1サイズ上げてウエストを後から調整するのがおすすめです。
④裾の長さ
パンツの裾丈は3種類あります。裾丈によって与える印象が左右されるので、着用シーンに合わせて決めるのがポイントです。
定番が「ハーフクッション」で、靴を履いた状態でパンツの裾が靴の甲につくくらいの長さ。シーンを問わず着用でき、スマートな印象を与えます。
やや長めな丈が「ワンクッション」。ハーフクッションよりもやや長く、靴の甲に裾がのり、ひと折り分のたるみが出る長さです。ビジネスシーンのほかフォーマルシーンにもピッタリで、重厚な雰囲気が醸し出されます。
もう1つが「ノークッション」。裾が靴にほとんど触れず、足元がすっきり見える丈感です。軽快な印象に仕上がります。
落ち着きやきちんと感を重視するならハーフ〜ワンクッション、動きやすさや軽やかさを求めるならノークッションが適しています。
⑤悩んだときは「ノータック」か「ワンタック」
ノータックやワンタックはシルエットがすっきりしていて、どんなコーディネートにも合わせやすい万能なデザインが魅力です。
一方、ツータックはゆとりがあるぶん、シルエットが広がって見えることがあり、コーディネートのバランスを取るのが難しくなる場合があります。
そのため、どのタック入りパンツにするか迷った場合、特に体型の悩みがなければ、ノータックもしくはワンタックを選ぶのが無難でしょう。
太って見えるときの対処法
タック入りパンツは立体感があるぶん、選び方によっては太って見えることもあります。
対策としてまず意識したいのが、自分の体型に合ったサイズを選ぶこと。特に細身の方がツータックを選ぶと、腰まわりが強調されて膨らんで見えることがあります。
色選びも重要なポイントです。ネイビーやブラックなど暗めの色は引き締め効果があり、すっきりとした印象に。さらに、センターライン入りのパンツを選べば、縦のラインが強調されて脚長効果も期待できます。
気になる腰まわりは、ジャケットや長めのトップスでカバーするのもおすすめ。これらの工夫で、タック入りパンツでもバランスの取れた着こなしが叶います。
似合わないと思う人向けの選び方
「タック入りパンツはなんだか似合わない気がする…」と感じる人は、自分の体型に合ったデザインを選べていない可能性があります。
まずは、自分の体型とタック数がマッチしているかを確認しましょう。
・細身の人:ノータック
・標準体型:ワンタック
・がっちり体型:ツータック
さらに、素材選びも印象を左右するポイント。ウールやツイルなど上品な生地はフォーマル寄り、コットンやリネンならカジュアルで軽やかな印象になります。
また、センターライン(プリーツ)の入ったパンツを選べば、縦のラインが強調されてスタイルアップ効果も期待できます。
タックパンツを用いたコーディネート
続いては、タックの種類別におすすめのコーディネートをご紹介していきましょう。
1,ノータックパンツを用いたコーデ
ノータックパンツは、ビジネスシーンのほかオフィスカジュアルスタイルまで幅広く活躍するデザインです。
ネイビーテーラードジャケット×黒タートルネック×ベージュノータックパンツ
足を細く見せてくれる効果があるため、スタイリッシュでスマートな着こなしができます。オフィスカジュアルスタイルでは、ジャケットとパンツの色味や明暗を変えるコーディネートがおすすめです。セットアップのスーツでは味わえないおしゃれな着こなしができます。
グレーダブルスーツ×白シャツ×ネイビーストライプネクタイ
細身のノータックパンツスーツとダブルのジャケットの組み合わせは、上下でメリハリのあるシルエットが生まれ、ダブルスーツ特有の重たく見えがちな印象を軽減できます。
野暮ったさを感じさせず、スマートに着こなしたい人におすすめのスタイリングです。
特に、初めてダブルスーツに挑戦する方や、体の線が細い方などの場合は、すっきりとしたノータックパンツを合わせることで、バランスの取れた印象に仕上がります。
2,ワンタックパンツを用いたコーデ
ワンタックパンツは、裾にかけて細くなるテーパードシルエットのタイプが今の主流です。
ネイビーストライプスーツ×白シャツ×ボルドーストライプネクタイ
ワンタックパンツをクラシックなイメージでコーディネート。ボルドーのネクタイとの組み合わせがポイントです。
おすすめのストライプ柄は、TPOによって変わってきます。
ビジネスシーンであれば、ピンストライプもしくはシャドーストライプ。パーティーシーンであれば、チョークストライプやペンシルストライプがおすすめです。
ストライプ柄は脚のラインを美しく見せる効果もあり、スタイルアップにもつながります。
ベージュテーラードジャケット×白シャツ×黒ワンタックパンツ
オフィスカジュアルにおすすめのこちらのコーデでは、アンクル丈のパンツを取り入れるのがポイント。
足元がすっきりとして見え、春夏らしい軽やかな印象に仕上がります。
スニーカーがOKの職場やカジュアルシーンであれば、白スニーカーを合わせるのもありです。清潔感と程よい抜け感を演出することができます。
3,ツータックパンツを用いたコーデ
クラシカルな雰囲気が魅力のツータックパンツは、上品に大人っぽいコーディネートを意識するのがポイントです。
グレースリーピーススーツ×白シャツ×ブラウンドットネクタイ
ツータックパンツのクラシカルな雰囲気をより生かしてくれるのがスリーピーススーツです。重厚感、そして大人の男性らしい貫禄を演出できます。
また、ツータックパンツは腰回りやヒップが気になるという方におすすめ。自然なシルエットでスタイルアップを叶えてくれます。
黒カーディガン×白シャツ×グレーツータックパンツ
オフィスカジュアルスタイルにツータックパンツを取り入れる場合には、上着で抜け感を出すのがポイントです。カーディガンやニットカットソーを合わせることで、ほどよくカジュアルダウンし、バランスの良いコーディネートが完成します。
また、TPOに応じて、インナーのシャツを色柄物にしてアクセントを加えるのもおすすめ。コーデに程よい個性が加わり、こなれた印象に仕上がります。
タック入りパンツのお手入れ方法
タック入りパンツは、立体感や上品な印象が魅力ですが、きれいな形を保つには日頃のお手入れが欠かせません。ここでは、洗濯方法・アイロンのかけ方・収納のポイントについてご紹介します。
洗濯方法
タック入りパンツは、洗濯表示を確認し、優しいコースや手洗いモードで洗うのが基本です。
色落ちを防ぐため、同系色の衣類と一緒に洗いましょう。脱水は短時間で済ませ、洗濯後はすぐにハンガーにかけて形を整えて干すことで、シルエットの崩れを防げます。
アイロンのかけ方・収納方法
タック入りパンツをきれいに保つためには、アイロンと収納にもひと工夫が必要です。
アイロンをかける際は、センターライン(折り目)をしっかりと整え、当て布を使いながら中温で丁寧に仕上げましょう。
収納時は、ハンガーに吊るして折り目をキープする方法が理想的です。たたむ場合は、タックやラインが崩れないよう、折り方に注意すると形がきれいに保てます。

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パンツを選ぶときにはタックにこだわろう!
ビジネスマンにとってスーツは毎日着用することの多いアイテムだからこそ、こだわりを持って選びたいものです。
特に、パンツはタック次第で、着心地やフィット感が大きく変わるアイテムといえます。美しいシルエットや着心地の良さを追求するのであれば、パンツを選ぶ際、タックに注目するのがおすすめです。
また、タック入りパンツはスーツスタイルだけでなく、オフィスカジュアルやプライベートシーンでも幅広く活用されています。
タック入りパンツを選ぶ際には、どの種類を選ぶか、自分の体型にしっかりと合ったものを選ぶというのがポイントです。
種類によって特徴が異なるため、きちんと選び方のポイントを押さえておきましょう。
体型に合わないパンツを選ぶと、せっかくのタックの良さが生かされず、だらしなく見えてしまうこともあります。
ぜひ今回お伝えしたことを参考にして、自分にピッタリのタック入りパンツを見つけてみてください。