ツイードの柄って一体?特徴や魅力を紹介!のアイキャッチ画像
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ツイードの柄って一体?特徴や魅力を紹介!

あなたの持っているスーツの素材は何ですか?スーツデビューしたての方は、ポリエステルなどのお手入れしやすい素材、ちょっと慣れてきた方は、ウールなど定番素材のスーツを着ている方が多いのではないでしょうか。これらの素材で作られたスーツは、どうしても着ている人が多く似たり寄ったりの見た目や風合いになりがちです。個性的な着こなしをしたい場合は、ぜひ他の素材を使ったスーツに挑戦したいところですね。そんな人におすすめなのが「ツイード」という素材。ツイードはスコットランドとイングランドの境にある「ボーダー地方」と呼ばれる地域が発祥の素材で、ウールをベースにしながらも通常とは異なり起毛し、表面が粗く厚い仕上がりとなっているのが特徴です。保温性が高いので、秋冬スーツにおすすめの素材ですよ。秋冬スーツの素材と言えば「フランネル」が有名ですが、ツイードはフランネルと異なり毛羽立ちがないので「高級感」を感じさせます。今回はそんな「ツイード」素材で作るスーツのメリットや着こなし方、色柄の種類について、スーツのプロ集団「オーダースーツSADA」のスタッフが解説します。このコラムを読めば、ツイード素材の基本はバッチリです!

定番のウールのスーツは何着か持っているけど、人と似たり寄ったりの着こなしに少々飽きてしまった…という人は少なくありませんね。せっかくなら、自分らしいおしゃれな着こなしで毎日を楽しく過ごしてみましょう。

そんな人におすすめしたいのがツイード素材です。ざっくりとした風合いが特徴のツイードは、どのように着こなすことができるのでしょうか。

ここでは、ツイードの特徴や定番の柄、ツイードスーツの着こなし方などを紹介します。

ツイードって何?

ツイードの発祥の地とされているのは、スコットランドとイングランドの境にあるボーダー地方と呼ばれる地域です。伝統的に、それぞれの家庭でウールの糸を紡いで織られる織物は、起毛タイプで生地の表面が粗く、厚い仕上がりとなるのが特徴です。

もともとは、綾織りを意味する「ツイル(twill)」という言葉が使われていましたが、スコットランド地方の言葉「tweel」が用いられるようになります。また、tweelが生産される地域にはツイード川が流れていたため、これらが混ざり合って「ツイード」と呼ばれるようになったと言います。

ツイードに使用されるのは、太くて短い羊の毛を使った「紡毛糸」と呼ばれる糸です。
紡毛糸とは、繊維が粗いため表面にツヤはありませんが、繊維の中に空気がたくさん入るためとても軽く、保温性に優れているのが特徴です。そのため、秋冬物の衣服の代表的な素材として知られています。さらに、生地が厚いため、とても丈夫で長持ちするのも見逃せません。

秋冬用の素材にフランネルがありますが、ツイードはフランネルのような生地の毛羽立ちがないので、織り目がよく見えて高級感のある服やジャケットに仕上がります。

スコットランドやイングランドでは、もともとフライフィッシングや狩猟などのアウトドアアクティビティの際に、ツイードの生地の衣服を着用していたそうです。保温性があり丈夫なツイードは、外で動き回る際にはぴったりだったのですね。

ツイードのスーツを着用するメリット

防寒性と保温性

ツイードのスーツは、ツイード生地の特徴を兼ね備えたスーツとなります。まず注目したいのは防寒性や保温性に優れている点でしょう。

春夏・秋冬でスーツの衣替えをする人も多いですが、秋冬もののスーツとしてツイードは代表的な存在と言えますね。羊毛を使用した粗めの織りは空気をたっぷりと含み、体の熱を外へ逃がさない効果があります。

耐久性

また、とても丈夫な生地なので、耐久性があるのもメリットです。

特に、頻繁に着用するスーツの場合傷みやすのが特徴ですが、しっかりとしたツイードのスーツなら、きちんとお手入れすることで長年使用することができるでしょう。

高級感

ツイードスーツの魅力のひとつに高級感があります。

かつて英国紳士が愛用していたというだけあり、カジュアルな印象と上品さを兼ね備えたスーツは、いろいろなシーンで活躍すること間違いなしでしょう。

ツイード生地は、織り上げたあとに染めるのではなく、あらかじめ糸を染めたものを何色も使用して織り上げるため、織り目をはっきりと出すことができます。そのため、ツイード特有の細かな模様を出すことができ、洗練されたスーツに仕上がるのです。

ツイードスーツの柄の種類

ツイードにはさまざまな種類があり、どれもが異なる風合いを持っています。

ヘリンボーン

なかでも、定番とされているのが「ヘリンボーン柄」ではないでしょうか。ヘリンボーンの名前の由来は、「herring(ニシン)」と「bone(骨)」から来ており、その柄がニシンの骨のように見えることから名付けられたそうです。

別名杉綾織りとも呼ばれ、落ち着いた印象を与えるツイードの定番柄として定評があります。

ハウンドトゥース

また、猟犬(ハウンド)の牙(トゥース)の模様を連続させた柄として知られる「ハウンドトゥース」もツイードスーツに用いられます。

イギリスでは定番のクラシカルな柄ですが、日本では千鳥が飛ぶ姿に見えることから「千鳥格子」と呼ばれるようになりました。千鳥格子は黒と白の配色が最も多く見られますが、なかには茶色と白をはじめ、白とほかの色の組み合わせもあります。

どの柄にも共通して言えることですが、全体的に柄が小さめだと上品でクラシカルな印象を、柄が大きめだと比較的カジュアルな印象に仕上がります。ビジネスシーンでツイードスーツを着用したい場合には柄が小さめのものを選ぶと、ほかのアイテムとも合わせやすく使いこなしやすいでしょう。

チェック

続いてよく見る柄が「チェック」です。

チェック柄と言っても、その柄の豊富さは無限大ですね。縦と横の模様の組み合わせによっていろいろな柄を生み出すことができるチェックは、比較的カジュアルな趣を持つツイードスーツに仕上がるのが特徴です。

一口にチェックと言ってもいろいろな種類がありますので、以下で紹介します。

ウィンドウペーン

ウィンドウペーンの名前の由来は窓枠。「window」(窓)と「pane」(格子)から作られた言葉で「windowpane」と書きます。イギリスの伝統的なチェック柄であるウィンドウペーン。窓枠のように縦と横にラインが入る比較的カジュアルな柄です。イギリスの家屋では細い窓枠が使われることが多いとのことで、そこからデザインのヒントを得たのではないか、といわれています。

ウィンドウペーンの特徴はカジュアルとクラシックを両立したデザイン。落ち着いているような色でありながら、カジュアルな側面も見せるのが面白いところです。また、カジュアル度合いはラインの太さによっても、印象が変わります。細いラインだと落ち着き感が強調され、太いラインだとカジュアル感が強調されるのです。

スーツは細身の方が似合うと思われることもあるでしょう。しかし、ウィンドウペーンは大らかなデザインのため、ふくよかな方や筋肉質の方も体型を気にせずスーツを楽しめます。

グレンチェック

グレンチェックはヘアピンストライプとハウンドトゥースを組み合わせて細かいチェック柄のこと。正式名称をグレナカートチェックといいます。名前の由来はさまざまなで、スコットランドのアーカートの谷(グレン)で織られたことや、グレナカート家の柄として使われてたことなどがあります。クラシックな雰囲気を持ちつつ温かみもあるため、やや遊び心を出したいコーデに用いると良いでしょう。

ガンクラブチェック

ガンクラブチェックの特徴は、ライン(格子)の太さと格子幅。通常のチェック柄ではラインの太さより格子の幅(空白部分)の方が広いもの。しかし、ガンクラブチェックは両者の幅(太さ)がほぼ同じなのです。そのため、遠目だと一見チェック柄とは分からず、複数の色で作られたドット柄のように見えるかもしれません。しかし、近づくと非常に細かいチェック柄であることが分かるのです。

ハウンドトゥースもこのガンクラブチェックも、細やかな大人のおしゃれを楽しみたい人向き。ちなみにガンクラブチェックは特徴的な柄ですが、イギリスの伝統的なチェック柄の一つです。

タータンチェック

タータンチェックとは太さの異なる複数のラインが重なり、チェックを作っている柄。日本語では基盤縞とも呼ばれています。正式なタータンチェックは「スコットランド・タータン登記所」に登録されたものだけだそう。取り入れる色や線の太さの加減一つでデザインの印象が変わるのが特徴のため、さまざまなコーデに活かせるでしょう。生地の密度が高く毛足は短めのため、コーデに高級感を取り入れたいときにおすすめです。

ツイードの生地の種類

ハリスツイード

ハリスツイードの「ハリス」とは地名に由来した名前。スコットランド西方にあるハリス島を中心とするアウター・ヘブリディーズ諸島で生産されているツイードのことを「ハリスツイード」といいます。ツイードにはケンプ(死毛)と呼ばれる粗い毛をあえて入れることがあります。

ハリスツイードの特徴は、まさにこのケンプが含まれていること。ケンプがあることにより、高級生地というよりは素朴な色合いやラフさが魅力の暖かい生地となるのです。しかし、すべてのツイードにヘンプが含まれる訳ではありません。後述のチェヴィオットツイードにヘンプは含まれません(ヘンプの含有が禁止されている)。

ハリスツイードのトレードマークとなっているオープ&クロスラベルは「ハリスツイード協会」の品質認定の証。このラベルを使用するにはさまざまな条件をクリアしなければなりません。

  • カーディング工程(繊維を一方向に揃える)のあと、すべての工程を人の手で行うこと
  • アウター・へブリディーズ諸島の住民によって手織りされていること

上記のような厳しい基準をクリアしたハリスツイードだからこそ、世界の中でも品質の高さを誇るツイードの最上位に位置するのです。

ドニゴールツイード

「ドニゴールツイード」の名前の由来は、アイルランド北西部のドニゴール地方という地名。ドニゴールツイードは、ドネガルツイードと呼ばれることもあります。

ドニゴール地方で織られるツイードの特徴は、緯糸にカラーネップを使用すること。カラーネップとは色が入っている飾り糸のことで、赤や青、そして黄色などの色が斑点状に入っています。このような糸を使って生地を織ることで、生地全体にカラフルな斑点が入ったカジュアルな生地ができあがるのです。そして、できあがった生地はゴワゴワした、寒い季節にピッタリの素材となります。

シェットランドツイード

「シェットランドツイード」の名前の由来は、スコットランド北端にあるシェトランド島。シェットランドツイードは他のツイードと異なり、肌に寄り添うようなふんやりと柔らかい感触が特徴。セーターとして使われることの多いシェットランドツイードですが、もちろんスーツにも使用されます。

生地の原料に使うのはノルウェーの山岳地帯に生息する羊の毛。ノルウェーの山岳地帯は非常に過酷な環境のため、その中で生息できる羊の毛は、非常に軽量で保温性に優れているもの。そのため、寒い季節に着るスーツの生地として最適なのです。羊の毛の色を生地に活かすのも特徴。染色しないため、ありのままの羊の毛の良さが出ています。

ちなみに、前述のハリスツイードとドニゴールツイード、そしてこのシェットランドツイードは世界三大ツイードと呼ばれています。

チェヴィオットツイード

「チェヴィオットツイード」の名前の由来は、イングランドとスコットランドの堺にある、チェヴィオット・ヒルという地名。ここで生産されるチェヴィオット・シープ・ウールを原料として作られるのが、チェヴィオットツイードなのです。

生地の原料となる毛を持つ羊は、丘陵地帯に生息するたくましく活発な性格。その性格のためなのか、強い毛質によってハリと光沢のある高級感漂う生地ができあがるのです。また、ほかのツイードと異なる特徴として次の点が挙げられます。

  • 色彩がはっきりしている
  • 大胆な柄が多い

そのため、他のスーツにはない色鮮やかな雰囲気を演出したい場合には、チェヴィオットツイードがおすすめです。

ツイードスーツの着こなし方

ツイードスーツ × プリーツパンツ

ツイードスーツのおしゃれな着こなしとしておすすめなのが、クラシカルなスタイルのプリーツパンツを合わせるスタイルです。

プリーツパンツとは、ウエスト部分にプリーツ(ひだ)が入っているもので、腰回りにゆとりができ華やかな印象を与えてくれるスタイルのパンツのことを指します。

プリーツの数や大きさによって印象がガラッと変わり、洗練された着こなしを実現させてくれるでしょう。伝統的なチェック柄のツイードジャケットに、ベストとプリーツパンツを合わせる着こなしは、こなれ感を演出してくれるはずです。

定番のブラックパンツには、あえて色味を効かせたグリーンのツイードジャケットはいかがでしょうか。ボリューム感のあるツイードジャケットにスリムパンツを合わせると、バランス的にもスタイリッシュな着こなしができますね。また、ネクタイにもモスグリーンを使用すれば、美しいグラデーションが完成します。

ツイードスーツ × コート

秋冬には、ツイードジャケットとコートの組み合わせも楽しみましょう。チェック柄のツイードジャケットに、シンプルなキャメルのダブルコートを合わせる着こなしは、落ち着いた大人の男性という印象を与えます。

コートの胸ポケットにジャケットと同系柄のチーフを指せば、おしゃれ上級者の着こなしが完成です。

また、カジュアルなツイードジャケットを、チェスターコートと合わせてみましょう。柄物のタイやフードアイテム、スニーカーなどと合わせれば、ワンランク上のオフスタイルに仕上がります。

ツイードスーツの寿命やお手入れ方法

ツイードスーツ の寿命

お手入れの状況にもよりますが、ツイードの寿命は他のスーツに比べて圧倒的に長いのが特徴。たとえば、スコットランドでは親子孫三代で同じツイードスーツを受け継ぐこともあるそうです。20年ほどしてようやく体に馴染んでくるという話もありますので、お気に入りのスーツを長期間にわたって使用したい方に向いているでしょう。

ツイードスーツ のお手入れ方法

ツイードはウールを使用しているため、水洗いできません。稀に水洗い可能なツイードもあるかもしれませんが、心配な場合はクリーニングに出す方がよいでしょう(通常のツイードは必ずクリーニングに出す)。

その他の手入れ方法は、基本的に他のスーツと変わりません。1日着たあとはブラシで表面の汚れを落とし、ジャケット用のハンガーにかけて生地を休ませましょう。スーツは1度着ると2〜3日休ませるのが基本ですので、最低でも3着ほどスーツを持ち、毎日着回しできるようにしましょう。

ツイードスーツは1年中着るものではありません。シーズンの終わりには必ずクリーニングに出してから保管しましょう。保管の際、クリーニング屋の袋を外し風通しの良い場所で保管するのがおすすめです。湿気があるとスーツが傷んでカビの原因になることもありますので、注意してください。

ツイードは女性にもおすすめ!

ツイードは男性のものだけではありません。もちろん女性にもおすすめです。女性のオフィスでの装いといえば、ブラウスやワンピース、それにスカートといったところでしょう。中にはセットアップのスーツを着る方もいるかもしれません。そして寒い時期にはトップスの下にニットのセーターなどを着て、さらに保温性のあるインナーを着ることもあるでしょう。これほど寒い時期にはツイードのジャケットがおすすめです。ツイードのジャケットは季節感があり、小物やバッグとの相性もよいでしょう。

ツイードはオーダースーツSADA!

オーダースーツのSADAでは、英国ツイードのジャケットを豊富に取り扱っています。ジャケットの色や柄など、お好みに合わせて選ぶことができるので、オリジナルのツイードジャケットを作ることができます。

なかでも人気なのが、英国王室にも認められた高品質のハリスツイードです。もともとは、スコットランド北部の群島アウター・ヘブリディーズで生きる漁師たちの、冬の防寒着として愛用されていた生地です。

保温性についてはカシミアにも劣らないといわれ、ざっくりと粗めに織られた風合いのあるジャケットに仕上がるでしょう。ヘリンボーンやオーバープレイド、ガンクラブチェックなどのクラシカルな柄が多く、長年愛用できる耐久性も特徴です。ハリスツイード協会の厳しい検査に通過した生地のみがエリザベス女王の認定を受けることができるという特別な生地で、ぜひあなただけのジャケットを仕立ててみませんか。

お気に入りのツイード柄を選ぼう!

防寒性・耐久性に優れた秋冬物の定番素材ツイード。粗めの織りが特徴のツイードジャケットは、クラシカルからカジュアルなシーンまで、幅広く使いこなすことができます。合わせるアイテムによって表情をガラッと変えるツイードジャケットに、根強いファンも多いはずです。また、ツイードの柄は実に豊富で、色の組み合わせも考慮するとその種類は無限大です。秋冬にはぜひツイード素材で、自分だけの特別なジャケットを作りましょう。

ツイードはかつて英国紳士が愛用していた、高級感を感じさせるスーツが作れる素材です。通常の素材と異なり、あらかじめ染めた糸を使って織り上げているため、鮮やかで細かい模様を作り出せます。若干のカジュアル感を与えながらも、上品な印象を与えられるのがツイードの魅力です。ツイードは身体の熱を逃がさない作りをしており、防寒性や保温性が高いので秋冬スーツに取り入れるのがおすすめ。非常に丈夫な素材なので、きちんとお手入れすれば長年使用できるのも大きなメリットでしょう。ツイードスーツは、ゆとりを感じさせる「プリーツパンツ」と合わせるのがおすすめです。華やかな印象で、洗練されたオシャレ感をアピールできます。グリーンのツイードジャケット×ブラックパンツの組み合わせもスタイリッシュです。チェック柄のツイードジャケットにキャメルコートを合わせると、落ち着いた大人のオシャレ感を醸し出せるので、秋冬にはぜひ取り入れてみてください。プライベートシーンなどオフの場では、派手柄ネクタイやスニーカーなどを合わせてもカジュアルでオシャレにまとまります。パーカーやチェスターコートと合わせても良し。ツイードスーツを作って、今までにない彩りのあるファッションに挑戦してみてくださいね。

大久保一雄