意外と知られていない!?スラックスと、スーツパンツや他のパンツとの違いは何か?のアイキャッチ画像
意外と知られていない!?スラックスと、スーツパンツや他のパンツとの違いは何か?のアイキャッチ画像

意外と知られていない!?スラックスと、スーツパンツや他のパンツとの違いは何か?

スラックス、パンツ、ズボン。スーツの世界では同じようなものが、別の名称で呼ばれることがあります。

この記事ではスラックスとパンツ・ズボンの言葉の違いや、メンズスーツのスラックスと他のスラックスの違い、そしてスラックスのコーディネートについて説明いたします。

そもそもスラックスとは?

スラックスとはジャケットなどに合わせられるフォーマルなズボン全般のことを指します。言葉の語源は「ゆるい、ゆるんだ」という意味の「slack」。はじめはタックのある筒(足をいれる部分)が広いズボンのことを指していましたが、今では意味が拡大してセットアップのズボン全体を指すようになりました。

パンツはスラックスより広義な言葉として使われ、下半身に履く二股の衣類全般(肌着を除く)を指します。また、日本で一般的にズボン、イギリスでは一般的にトラウザーズと呼ばれますが、意味はパンツと同じです。

スラックスとスーツのズボンの違い

スラックスは前述の通り「ジャケットなどに合わせられるフォーマルなズボン全般」のことです。「ジャケットに合わせられる」というのがポイントであり、セットアップで販売されているものを指すわけではありません。

一方、スーツのズボンは基本的にはセットアップでの販売。ですので、スーツのズボンは正確にはスラックスではなく「スーツパンツ」なのです。

スラックスとチノパンやジーンズとの違い

言葉の定義だけをとらえると、スラックスは「ジャケットなどに合わせられるフォーマルなズボン全般」。一方、ジーンズはともかくチノパンはテーラードジャケットとあわせることもあるので、一応スラックスとも言えます。しかし、通常はスラックスとチノパンやジーンズはわけて考えられます。

着用シーンは?

まずは履くシーンが異なります。スラックスはテーラードジャケットなどとあわせてビジネスカジュアルのシーンで履くことが多いもの。ビジネスカジュアルの中でもフォーマルよりのコーデとなるので、スーツを着る必要はないがお客様対応があるときなどに適したスタイルです。

一方、チノパンもビジネスカジュアルで履きますが、その中でもカジュアルより。オフィスの中で社内の人間としか合わない職種など、カジュアルさが許される立場なら問題ないでしょう。また、プライベートでも履けるレンジの広さがチノパンの特徴。1本あれば、ビジネスカジュアルからカジュアルまで幅広く対応できます。

デニムはプライベートでしか履けません。テーラードジャケットにデニムをあわせるコーデもありますが、あくまでもプライベートでの着用のみ許されています。

生地の織り方は?

衣服全般の生地の織り方は三つあり、三原組織(さんげんそしき)と呼ばれています。三原組織を一覧にしたものが下の表です。

表1 三原組織

平織り綾織り繻子織り
(しゅすおり)
織り方経糸(たていと)と
緯糸(よこいと)を交互に交差させる
経糸を2〜3本浮かせて緯糸をくぐらせる糸を4本浮かせて、組織点
(経糸と緯糸の交差点)が上下左右で隣接しないように織る
メリット摩擦に強い光沢がある厚い生地が
織れる
光沢がある肌触りが滑らか
デメリット厚い生地は織れない摩擦に弱い引っ張りや摩擦に弱い

スラックスは基本的に平織りや綾織りが多いのが特徴です。一方、チノパンやジーンズは綾織り。チノパンに使われる生地「チノ・クロス」や、ジーンズに使われる生地「デニム」がそもそも綾織りですので、作られるパンツも必然的に同様になります。

スラックスはどんな風に着用するの?

スラックスが他のパンツとどうのように区別されているのか、わかりました。次はスラックスの選び方やコーディネートについて説明いたします。

スラックスの選び方

ジャケットとの合わせ方

スラックスを選ぶときはジャケットにあわせるのが基本。色柄でメリハリをつけると、きれいに履けます。また、同系色で濃淡を変えるコーデもありです。

たとえば、ネイビーのジャケットに明るめのグレーのスラックス。フォーマルほどかっちりしないものの、ビジネスの場にふさわしい爽やかな印象になります。社外の人と会うときも違和感がないでしょう。

反対にグレーのジャケットに濃いめのネイビーのスラックスという組み合わせもOK!ジャケットの広がり感と、スラックスの引き締め感でメリハリがきくので、存在感はバッチリです。

季節感

春夏は通気性のいい素材、秋冬は温かそうに見せる素材(実際に温かい素材)を選びましょう。夏の厚い生地ならスラックスの裾を折り返して、くるぶしを見せると涼しい印象になります。

サイズ感

スラックスもスーツと同様にサイズ感がいのちです。緩すぎるとシルエットが引き締まらず、タイトすぎるとパツパツになり動きづらかったりします。適正なウエストサイズの目安は、ベルトを締めずにスラックスを履いたときに拳一つがウエストに入る程度。タイトなシルエットのスラックスを履くときは、伸縮性のある素材を選ぶと履きやすいのです。

スラックスのコーディネート〜ビジネスカジュアル編〜

濃いネイビーのジャケット×チャコールグレーのスラックス

濃いネイビーとチャコールグレー。どちらも引き締まるような色のため、全体的にかっちりまとまりフォーマルな印象になります。フラップポケットがついたジャケットだと、なおさらフォーマルに。しかし、スラックスの裾を一段まくってくるぶしを見せれば、力みすぎないフォーマル感が演出できます。

シャツは薄いブルーなど明るい色だとバランスがいいでしょう。水色と白のストライプシャツと組みあわせるのもGOODです!

このコーデの特徴はスラックスの履き方やあわせるシャツで、フォーマル感を絶妙に調整できるところ。オフィスの雰囲気にあわせて、コーディネートを楽しみましょう。

ウィンドウペーンのグレーのジャケット×ネイビーのスラックス

ウィンドウペーンはジャケットの中でもカジュアルよりの柄。グレーは広がりを持つ色ですので、よりカジュアルな印象になります。そこで登場するのが、ネイビーのスラックス。下半身を引き締めてくれるので、色彩の重心が下がり見ていて安心できるコーディネートに。

このコーディネートではスラックスをまくり上げずに履くほうが無難です。引き締まった印象を大切にしましょう。シャツは白など明るい色にすると、全体のバランスが取れます。

薄いグレーのシアサッカーのジャケット×ネイビーのスラックス

シアサッカーとは張った経糸に緩めた緯糸をくぐらせて織る生地で、独特のシボ感があるのが特徴。肌への接地面積が少ないため、暑い時期でもベタつかずに着られます。

夏はこのような特徴を持つシアサッカーのジャケットがおすすめです。薄いグレーの涼しそうなジャケットにあわせるのは濃いネイビーのスラックス。軽い印象になりそうな全体のバランスに、スラックスの重さと堂々とした雰囲気をプラスしてくれます。

シャツはジャケットと同じように明るい色がいいでしょう。ただし、白のシャツだと味がないので、薄めでも色がついたシャツがGOODです!ただし、シアサッカーのジャケットはカジュアルな印象が強くなるので、ビジネスシーンでは注意です。

濃いネイビーのウィンドウペーン×濃いベージュのスラックス

はじめて登場するベージュのスラックス。しかも、登場するのはよくある薄いベージュではなく、存在感のある濃いベージュです。このようなスラックスにあわせるのは濃いネイビーのウィンドウペーンのジャケット。

柄がある分だけ、スラックスよりジャケットの方がさらに存在感が強いのが特徴。しかし、白のシャツをあわせるとギリギリのところで「くどい印象」を避けられるのです。細身の方がスタイリッシュに着ると、華やかに見えるコーデかもしれません。

濃いブラウンのウィンドウペーンのジャケット×ベージュのベスト×チャコールグレーのスラックス

ビジネスカジュアルの最後を飾るのはベストをあわせたスタイル。濃いブラウンのウィンドウペーンのジャケットに、チャコールグレーのスラックス、そしてベージュのベストをあわせます。オフィスカジュアルですので、他のコーディネートではネクタイをしませんが、このコーディネートではネクタイを締めてフォーマルよりにするのがおすすめ。

ネクタイは赤みがかったブラウンなど光沢の少ない落ち着いた色がいいでしょう。熟練者が持つ安心感、ファッションに敏感な人が持つオシャレ感が同居する、とても奥の深いコーディネートです。やや着る人を選ぶかもしれませんが、バッチリきめれば周りとの差をつけられます。

薄いブルーのシャツ×グレーのスラックス

クールビズなどジャケットを着ない場合もあるでしょう。このようなときはシャツを基本としてスラックスを選ぶといいかもしれません。薄いブルーのシャツには少し濃いめのグレーのスラックスを。シャツの広がりをスラックスが引き締めてくれます。クールビズは夏の暑い時期にするもの。涼しそうに着たい場合はシャツをロールアップしてもいいでしょう。

スラックスのコーディネート〜カジュアル編〜

濃いワインレッドのジャケット×薄いグレーのスラックス

華やかでオシャレな印象を与えるワインレッドのジャケット。色が濃い場合は芯がありながら情熱的な印象となるので、爽やかな薄いグレーのスラックスでバランスを取りましょう。

ジャケットの存在感が強いので、シャツは白がいいでしょう。間違えると重くなりがちな上半身の印象を、白いシャツで開放してあげるとGOODです!また、スラックスの裾をまくってくるぶしを出せば、ややカジュアルよりにできます。

濃いネイビーのウィンドウペーンのジャケット×薄いグレーのスラックス

冷静さとカジュアル感が同居する濃いネイビーのウィンドウペーンのジャケット。さきほどと同様に爽やかな薄いグレーのスラックスを履くとバランスが取れます。シャツも同様に白がおすすめ。

存在感のあるジャケットには、薄いグレーのスラックス×白のシャツが合います。胸元に白のシーフをあしらえば、視点があがって見た目の重心があがる効果も。このコーディネートでもくるぶしを出せばカジュアルに、あるいはハーフクッションにすればフォーマルに着られます。

薄いブラウンのウィンドウペーンのジャケット×薄いベージュのスラックス

最後に紹介するのは薄いブラウンのウィンドウペーンのジャケット。柄の差し色に白が入っているため、ウィンドウペーンでありながら軽やかな印象になります。薄いベージュのスラックスをあわせることで、全体的に広がり感のある雰囲気に。カフェラテのような苦みと甘みが絶妙に共存する世界観を演出できます。

このコーディネートでもシャツは白がいいでしょう。色がついたシャツだと、全体的にある広がり感をうすめてしまいます。

スラックスのお手入れ方法は?

スラックスは履けば履くほどダメージを受けるもの。お手入れをしっかりして、長く履けるように心がけましょう。ここではお手入れに必要な情報を紹介いたします。

ハンガーにかける場合は二つ折りにするのではなく、クリップでとめるスラックス専用ハンガーを使いましょう。スラックスを伸ばした状態でハンガーにとめられるのでシワを伸ばせるうえ、湿気がたまるのを防いでくれます。

雨に濡れた場合は追加のお手入れも必要です。ハンガーに吊るしてから乾いたタオルで水分を取り、風通しのいい場所で乾燥させましょう。また、スラックスはダメージの度合いによらず、最低1日は寝かせられる頻度で履きましょう。

オーダースーツ専門店「オーダースーツSADA」とは?

「オーダースーツSADA」はあなたの体にピッタリ合ったフルオーダースーツを作ります。採寸するのは専門的な訓練を受けたスタイリストが、30分という時間をかけて丁寧に採寸します。未経験から採寸ができるようになるには3年ほどかかるとのこと。「オーダースーツSADA」がいかにあなたのオーダースーツを大切に考えているか、わかっていただけると思います。

「オーダースーツSADA」では次のどちらのご要望にもお答えできます。

・今持っているジャケットにあう「スラックス」を作りたい

・今持っているスラックスにあう「ジャケット」を作りたい

来店予約をされる際に、予約フォームの「ご相談内容」欄に「スラックスのみ作りたい/ジャケットのみ作りたい」旨を記載していただくとスムーズに対応できます。また、来店される際にはあわせるジャケット、あるいはスラックスをお持ちになってください。スタイリストがあなたにピッタリのご提案をさせていただきます。

「オーダースーツSADA」はオーダースーツ作りを通して、スラックスを大切にするあなたを応援いたします。