革靴のお手入れ方法5つのステップ 月に1度はクリーミングをのアイキャッチ画像
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革靴のお手入れ方法5つのステップ 月に1度はクリーミングを

この記事では革靴のお手入れ方法について解説しています。これから就職活動をはじめる学生や新社会人となる方が、新しく革靴を買うとワクワクしますよね。まだ汚れておらず、光沢を放つ革靴を前に、これからの人生を思い描いて希望にあふれることもあるかもしれません。ただ、希望はいつまでも続くかもしれませんが、革靴がキレイなのは新品のうちだけです。就職活動でも新入社員として仕事をするときでも、革靴は毎日酷使されます。暑い時期も雨の降る時期も革靴は汚れや湿気と戦うことになるのです。そのようなときに、大切なのがお手入れです。革靴表面についたチリやホコリを取ることはもちろんのこと、クリームを塗って水分を与えたり、栄養を与えたりする必要があるのです。また、クリームを塗ったあとの仕上げをしたり、湿気を溜め込みすぎないようにする対策も必要です。革靴を長い間履き続けるには、これらのお手入れを定期的にする必要があるのです。また、革靴は1日履いたら休ませる必要があります。そのため、複数の革靴を持っておく必要もあるのです。このように聞くと革靴のお手入れが面倒だと思う方もいるかもしれません。しかし、お手入れにかかる時間はそれほど長くありません。また、作業に慣れてくると、自分の革靴に愛着を持てるようになるでしょう。

スーツやシャツ、ネクタイなどを購入するとき、自分なりのこだわりを持っているビジネスパーソンは多いものです。しかし、定期的にしっかりメンテナンスしなくては、せっかく選んだアイテムの魅力も半減してしまいます。 

特に、革靴はなかなか手がまわらず後回しになりがちなもの。また、「どうやってお手入れするのかわからない」という理由から、メンテナンスしないで履きつぶしてしまう人もいるようです。とてももったいないですよね。革靴は1ヶ月に1度フルメンテナンスすることで、ビジネスパーソンの足元を輝かせ続けることができるアイテムです。

この記事では革靴のお手入れ方法やお手入れの頻度について解説しています。新しく革靴を買う就職活動中の学生や新社会人だけでなく、これまで革靴のお手入れについてあまり勉強してこなかった社会人の方も、ぜひ最後まで読んでみてください。これまで自分のために頑張ってきてくれた革靴に、感謝したくなるかもしれません。

クリーミング 5つのステップ

①ステインリムーバーを使う

ステインリムーバー(クリーナー)は、文字通り「汚れ(ステイン)」を「取り除く(リムーブ)」ためのアイテムです。人にたとえるなら、クレンジング剤で古いメイクを落とさないまま、新しく化粧をすることはできませんよね。これと同じように、革靴も汚れや古いクリームを落とす必要があるのです。また、革にとって非常に重要な通気性を確保することにつながるので、大切なシューズを長持ちさせることにもつながります。ステインリムーバーは水性で、革靴についた汚れや以前塗った古いクリームを拭き取ります。そのため、通気性が向上するのです。

ステインリムーバーの使い方

ステインリムーバーは、普通の水のような液体です。やわらかい布に染み込ませ、革靴に軽く当てて拭いてください。このときゴシゴシこすると革の痛みや色落ちにつながるので注意しましょう。革がしっとりと湿ったら終了です。

②デリケートクリームを使う

デリケートクリームは、革を保湿するとともに栄養を与えるものです。人のメイクにたとえれば、化粧水や乳液で肌を整えるのに似ています。革靴にすり傷や細かな傷がつくのを防ぐためにも、この作業は大切です。

デリケートクリームの使い方

デリケートクリームは、少しだけ粘度のあるクリームです。布やブラシを使って全体に薄く塗っていきます。ここで下地をつくっておくことで、シミや変色が起きがちなこの後のクリームを安心して使えるようになります。手のひらでなじませることもできますが、有機成分が入っているので避けるほうが無難です。

③乳化性クリームを使う

乳化性クリームは革に適度な水分と栄養を与えるとともに、補色するものです。ロウソクのロウと同じ成分が入っているため、ツヤを出すこともできます。

乳化性クリームの使い方

乳化性クリームはつい塗り過ぎてしまいがちなものですが、ごく少量で問題ありません。1円玉1/3程度の量を革靴全体に塗っていきます。これで片側が完成です。肌が強い人は、指で塗っていくのもOK。体温でクリームが温まり、革への浸透力が増すといわれています。

クリームは塗りすぎてもいけません。塗り重ねすぎると通気性のある革もクリームで覆って蓋をしてしまいます。また、クリームが硬化するとひび割れに原因にもなります。クリームの厚塗りや塗り重ねには注意しましょう。

乳化性クリームの色

乳化性クリームには、色つきのものと色なしのものがあります。どちらを選べばいいのかわからないときは、靴の状態によって決めるといいでしょう。まだ新しく色抜けやキズが少ないときは無色のものを使い、履き込んだあとは補色できるクリームを使います。色つきのものを選ぶときは、靴よりやや薄めのものを選ぶと無難にまとまりますよ。

④ブラシを使う

乳化性クリームを塗ったら、ブラッシングの作業に入ります。これによって、クリームを革に浸透させるのと同時に余分なクリームを除去することができます。なお、クリームを塗ったあとのブラッシングには豚毛や山羊毛のブラシを用います。一方、表面のホコリを落とすブラッシングには馬毛のブラシを用います。間違えないように気を付けましょう。

ブラッシングの方法

必ず専用のブラシを使ってください。ブラックやブラウンなど複数のカラーを使う場合は、色の数だけ用意しましょう。丁寧にブラッシングすることでツヤが増していきます。最低でも、片足につき5分程度はおこないたいですね。

⑤クロスを使う

最後にクロスで革靴の表面を乾拭きします。これにより革表面に残っているクリームを馴染ませます。余分なクリームが残っていると、革表面にホコリが付きやすくなるので注意が必要です。クロスには通常のものと、グローブクロスといって中に手を入れて使えるクロスがあります。グローブクロスなら手で革表面を拭く感覚に近く、また手も汚れづらいためおすすめです。

防水スプレーで保護する

最後に軽く乾拭きしたら、防水スプレーで保護します。スプレーの成分であるフッ素樹脂が靴表面を覆い、雨や雪などの水分だけでなく、キズや汚れからも靴を守る効果が期待できます。気になる部分だけでなく、全体的にかけるようにしましょう。

湿気の除去

革靴は普通に履いているつもりでも、1日履くと意外に湿気が溜まるものです。毎日履いていると雨や雪の日もあるでしょう。また、あなたの足から出た汗を吸うこともあります。このようにして1日履いた革靴には、意外に湿気が溜まるものなのです。

靴の内部の湿気除去に役立つのが新聞紙。新聞紙を丸めて靴の中に入れ、その一部(端)を革靴の外に出すようにしましょう。そうすることで靴内部の湿気を新聞紙が吸い取り、革靴の外(大気中)に放出してくれます。

1日履いた革靴の湿気を取るために、たしかに新聞紙が有効です。しかし、そもそも革靴に湿気が溜まらないようにする対策も必要です。革靴に湿気を溜めたくない方は、通気性や除湿性のあるインソールを試してみてよいかもしれません。革靴の傷みが緩和されるだけでなく、ニオイ対策としても役立つでしょう。

革靴のお手入れのタイミング

靴のお手入れは上記のように複数あります。作業によって頻度は異なります。

  • ブラッシング:毎日(革靴を履く度に)
  • クリーミング:1か月に1回程度
  • 防水処理:適宜、ただし梅雨や冬など降水量にもよる
  • 休息:1日履いたら1日休ませる

ブラッシングは表面のチリやホコリを落とす基本的な作業です。ブラシだけあれば1分〜2分もあれば簡単にできるため、日常的に行うようにしましょう。毎日革靴を磨いて入れば、細かい変化に気づくようになります。そうすれば、より革靴に愛着を持てるほか、大きな修理が必要になる状況を未然に防ぐこともできるのです。洗車していると自動車の異常やボディの傷に気付くことがあります。それと同様に毎日革靴をブラッシングして眺めることで、革靴の異常を早めに発見できるのです。

クリーミング(クリームを使った手入れ)は1か月1回程度は行いましょう。履く頻度が高い場合は2週間に1回でも構いません。準備するものが多く、ブラッシングよりも時間のかかる作業になります。しかし、クリームは革靴に細かいキズが付くのを防止したり、革に水分と栄養を与えたりする大切な作業です。クリームを塗らないと乾燥して色が抜けたり、擦れやぶつけによる傷が放置されてひどくなったりします。はじめは煩雑だと思っていても、慣れてくれば楽しくなるでしょう。

防水処理(防水スプレー)は適宜行いましょう。防水スプレーは革靴の表面にフッ素樹脂を吹き付けるもの。革靴表面に吹き付けられて硬化してフッ素樹脂が革を水分から守ってくれるのです。効き目の長さは状況や商品にもよりますが、1日〜2日も経つと効果が半減するともいわれています。そのため、毎日、あるいは少なくとも2日に1回は防水スプレーを塗布するくらいでもよいかもしれません。

また、防水スプレーは塗布してから革表面に定着するまで30分程度かかるといわれています。そのため、塗布してすぐに雨が降っているような環境に革靴を履いていくと、フッ素樹脂が定着しにくくなりますので、必ずスプレー塗布から30分程度は水のかからない場所において定着させてください。

革靴もスーツと同様に1日使ったら、休息が必要です。ただし、スーツは1日から2日休息が必要なのに対して、革靴は1日で構いません。そのため、週5日革靴を履くとすると2足用意しておけば問題ないでしょう。1足しかない場合、急にその靴が履けなくなったときに代えがありません。しかし、2足以上あれば、そのような事態になっても柔軟に対応できるのです。

革靴の保存方法

革靴によっては一定期間履かないというものもあるでしょう。そのようなときはシューキーパーという足形を使用しましょう。これは革靴の型崩れを防止するためのものであり、保存するときに革靴の中に入れて使用します。そのため、長期間保存する時でも、元の形状を維持できるのです。

最後に

日本では昔から「足元を見る」といわれます。江戸時代の駕籠屋が旅人の足元の様子から疲れ具体を判断し、運賃を要求していたことに由来する言葉です。現在でも、足元に気を配れない人をネガティブに判断するケースはあります。これは、信頼度を高めたいビジネスパーソンにとっては致命傷になりかねません。あなたの魅力を半減させないためにも、定期的に革靴をメンテナンスしてください。そのため、革靴をはじめて購入する時はお手入れ道具がセットになったものも一緒に購入されることをおすすめします。

この記事では革靴のお手入れ方法について解説しました。革靴はそのままでは新品の状態をキープできるものではありません。人間の肌と同様に、適切なお手入れを定期的に行うからこそ、よい革の状態をキープできるのです。まずブラッシングは基本的に毎日行いましょう。1分〜2分程度で終わる作業なので、無理なく毎日できるでしょう。次にクリームを使ったお手入れは、履く頻度にもよりますが2週間〜1か月に1回はやるようにしましょう。まずステインリムーバーで汚れや古いクリームを落とし、デリケートクリームで下地を作ります。デリケートクリームは布やブラシを使って全体に薄く塗っていきましょう。次に乳化製クリームを塗ります。乳化製クリームを塗る目的は栄養と色を入れること。新しい状態の革靴なら無色のものを、比較的長く履いている革靴なら補足できる色付きのものを使いましょう。ブラッシングでツヤを出したら、最後にクロスで全体を乾拭きして完成です。革靴は湿気に弱いという特性があります。そのため、履く前に防水スプレーをかけてフッ素樹脂を革表面に付着させましょう。そして、1日革靴を履いたら1日休ませる必要があるため、革靴は最低2足持つようにしましょう。

大久保一雄