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「吊るし」のスーツって何?オーダースーツとの違いを詳しく教えます!

スーツは大まかに、「吊るし」と呼ばれる既製品とオーダーメイド品の2種類に分けられます。しかし、社会人になったタイミングなどで初めてスーツを購入する場合は、何を選んだら良いのか迷ってしまうかもしれません。

この記事では、吊るしのスーツのメリット・デメリットやオーダースーツとの比較、自分に合ったスーツの選び方などを詳しく解説します。

スーツの「吊るし」とは?

「吊るし」のスーツとは、店頭でスーツがハンガーに吊られて販売されている姿から、既製品のスーツのことを指します。

スーツはイギリス発祥の文化ですが、19世紀には主に貴族が着用するものであり、職人の手によるオーダーメイドで製作されることが基本でした。そのため、既製品のスーツという概念そのものが当時は存在しなかったのです。

現代のようにビジネスマンが着用し始めたのは、1920年代にスーツの文化がアメリカに渡ってからといわれています。縫製やオートメーション化の技術が進み、大量生産が可能になったことで、職人による手作業の服からお店で気軽に購入できる既製服へと形を変えていきました。

これがきっかけで世界中にスーツの文化が広まると、身分や年代にかかわらず幅広い層の人々がスーツを着用する文化が定着していきます。戦後、日本においても吊るしのスーツが人気を博すと、ビジネスマンの象徴ともいえるポジションにまで広く普及するようになりました。

吊るしのスーツのメリット・デメリット

現代では広く普及している吊るしのスーツですが、メリット・デメリットとしては何が挙げられるでしょうか。それぞれについて解説します。

吊るしのスーツのメリット

吊るしのスーツにおける大きなメリットは、時間をかけずにお店で購入できるという点です。既に決められたサイズの中から採寸をして選ぶため、一般的な洋服と同じ感覚で気軽に試すことができます。スーツだけでなくハンカチやネクタイなどとセット売りになって販売されていることもあり、急ぎでスーツを用意しなければならない場合に重宝するといえるでしょう。

大量生産が可能なため、安価で購入できる点もメリットの一つです。毎日スーツを着用する方にとって、スーツは消耗品の一種に入るかもしれません。頻繁に利用するものだからこそ、価格を抑えたい方にとっては適切な選択肢といえます。

また、スーツのシルエットや裾の長さ、カラーリングなどにはトレンドがあります。必ずしもトレンドの着こなしを押さえる必要はありませんが、着こなし方が分からない場合、トレンドを押さえた既製品が用意されているのは嬉しいポイントといえるでしょう。

吊るしのスーツのデメリット

大量生産の性質上、スーツのサイズはある程度絞る必要があります。日本で売られている吊るしのスーツは、日本人の標準体型に沿って販売されていることが基本です。つまり、極端に小さいサイズや大きいサイズには対応しておらず、上半身と下半身のサイズが標準とは異なる場合にも対応できないという問題があります。

また、サイズだけではなくデザインやパターン、カラーリングなども大衆に合わせた作りになっています。そのため、着こなしで個性を出したい方にとっては物足りなさを感じる要因となり得るかもしれません。

そして、安く販売されている以上、生地やパーツの原価は低いことがほとんどです。コスト削減のため、耐久性のない素材が利用されていたり、機械による画一的な縫製がなされていたりすることが考えられます。

吊るしのスーツとオーダースーツの違い

吊るしのスーツとオーダースーツとでは、製作方法やスーツの仕上がりなどさまざまな違いが存在します。では、具体的にどのような点が異なるのでしょうか。3点に分けて紹介します。

フィット感の差が大きい

例え同じ身長体重の方であったとしても、手足の長さや背中と腰のカーブ具合など、細かい部分で人それぞれ異なる身体的特徴があります。そのため、吊るしのスーツのラインナップに自分の体型が当てはまりそうだからといって、必ずしもしっくり来るとは限りません。

これには、スーツの基となる型紙の引き方が違うという理由があります。吊るしのスーツをはじめとする既製服は、一般的に「平面裁断」と呼ばれる、紙の上で計算式に基づいて型紙を作る方法が一般的です。一方で、オーダー品は「立体裁断」という人体模型に対して実際に布を充てながら型を作る方法が採用される傾向にあり、細かな形の調整が効くという特徴があります。

また、立体裁断では人それぞれ異なる体の凹凸をはじめ、呼吸や体を伸び縮みさせた際のわずかな「ゆるみ」まで考慮されているのです。そのため、伸縮性のある素材や体にフィットさせて着用したい服と非常に相性が良いというメリットがあります。

吊るしのスーツでも裾上げ程度のサイズ調整は可能ですが、「体にしっかりフィットする」という感覚を得るには、やはりオーダーメイドでの製作が必要になるでしょう。

納期はオーダースーツのほうが長め

オーダースーツの場合、既製品のように試着してその日に持ち帰ることはできません。オーダースーツの種類については後述しますが、フィット感やデザインなどにどこまでこだわりを持つかによって、出来上がりまでの時間が異なります。短い納期のもので10日~2週間程度、長い場合は2ヶ月~半年程度要することもあるようです。

同じ製作方法であっても、国内工場か国外工場なのか、生地は海外から取り寄せるのか国内産のものなのか、といったさまざまな要素によってスケジュールが決定されます。そのため、オーダースーツの納期については注文するタイミングでないとはっきりとは分かりません。

近年では「オーダースーツは時間がかかる」というイメージを払拭すべく、短い納期を設定しているセレクトショップなどもあるようです。ただし、納期が短いほどそれだけ生地やデザインを選ぶ範囲が狭まってしまったり、カスタマイズ性が損なわれてしまったりということも考えられます。「せっかくオーダースーツを注文するのならこだわって作りたい!」と考えている方は、早いうちからお店に足を運ぶと良いでしょう。

オーダースーツはプロの意見を取り入れられる

オーダースーツを注文すると、最初のプロセスとしてテーラーとのヒアリングの場が設けられます。ここでスーツのシルエットやデザイン、カラー、オプションの設定など具体的な方向性を煮詰める作業が行われるのです。

しかし、初めてスーツをオーダーする際には、具体的にどのように注文すればよいか分からないこともあるでしょう。そのような場合は、テーラーからアドバイスを受けながら決めていくとスムーズです。テーラーは人それぞれ異なる体型の採寸・オーダーを担ってきたプロなので、最適なシルエットやデザインを提案してくれるでしょう。

仮に、ヒアリングの段階で完成形のスーツをイメージすることが難しい場合は、「こういう姿に見られたい」「こういう場で着用したい」というニーズを伝えておくことをおすすめします。

吊るしよりオーダースーツをおすすめしたい理由

ここからは、オーダースーツをまだ試したことがない方に向けてオーダースーツの一押しポイントをご紹介します。「オーダーメイドはハードルが高い」と思われている方も、ぜひ参考にしてみてください。

オーダースーツにも種類がある

オーダースーツは「高い」というイメージが先行しているかもしれませんが、全てのオーダースーツが非常に高級とは限りません。オーダースーツの製作方法は大まかに分類すると3つあり、それぞれ採寸や型取り、生地選びや縫製の方法などが異なります。

・パターンオーダー

オーダースーツの中では最も手軽に行える方法で、既に用意されているパターン(サンプル)から好みのものを組み合わせて製作します。一からスーツを作り上げるというよりは、既製品をより細かく採寸・修正しながらサイズを合わせていく、というイメージです。

カスタマイズ性はやや劣るものの、仕上がりまであまり時間がかからないことが大きなメリットといえます。そのため、オーダースーツのなかでも納期が短いことを売りにしている商品は、パターンオーダーであることが多いでしょう。

また価格帯によっては、吊るしの既製品とそれほど変わらない値段で購入することもできます。ただし、パターンは既製品を基に作られており、標準体型に近い体型の方でないとフィットさせることが難しくなる場合もあるため注意が必要です。

・イージーオーダー

パターンオーダーでは物足りない、もしくは体型のカバーができない場合は、もう少し細かく要望を落とし込めるイージーオーダーがおすすめです。

こちらも型紙は既製品を利用するのですが、採寸した体型に合わせてコンピューター設計システムや手書きで修正を施しつつ、シルエットやデザインを決定していく点が大きな違いです。そのため、「上半身はMサイズだけど下半身はSサイズが合う」といった部位によるサイズ感の違いや肩の形、背中のカーブ具合など、細かな体の特徴に対してより柔軟に対応できるという強みがあります。

・フルオーダー

フルオーダーでは、テーラーの手作業で型紙を一から作り上げていき、製作プロセスに入る前にも、微調整を繰り返しながら仮縫いをしてサイズを合わせていきます。そのため、3種類のオーダー方法の中で最も納期が長く、価格帯も高額です。数十万円単位から受け付けているお店が多いため、特にスーツに対して強いこだわりがある、コストがかかっても良いから自分だけの一着を作ってみたい、という方に向いています。

また、デザインや生地の選択肢が幅広く、オプション設定も豊富なことから、非常に自由度の高いオーダーができることも特徴です。さらに、多くのプロセスでテーラーが手作業で仕立てるため、機械の縫製では対応できない細かな調整も可能となっています。

完成後もサイズ調整が可能

オーダースーツは一度採寸してもらった後でも、既製品とは異なりある程度の調整ができるように仕立てられています。なぜかというと、既製品の衣服の多くはコストカットのために縫い代が目立たなくなるほどに減らしているからです。

「縫い代」とは、生地と生地とを縫い合わせる際に布の端に余裕を持たせた部分のことを指します。服の裏側を見てみると、縫い目の部分に布が少し余った部分が見えると思いますが、それが縫い代です。

縫い代が少ないとほつれや破れやすさにつながり、サイズ調整が利かないというデメリットもあります。オーダースーツではこういったアフターケアに対応できるよう、ある程度縫い代に余裕を持たせた仕立てになっているため、より長く着用できるようになっているのです。

オプションにこだわる

ポケットやボタンなどの細かなパーツは、一見目立たないように見えて、実はスーツの印象を大きく変える重要なパーツです。こういったオプション部分も自分好みにセレクトできるのは大きな魅力といえるでしょう。

・ボタン

プラスチックの素材が一般的ですが、天然素材としてヤシの実や貝殻、水牛の角から作られているものもあります。個数は2つボタンが主流ですが、3つボタンにすると正統派でクラシックな雰囲気をかもし出すことが可能です。

・ラペル

ラペルとはジャケット襟の折り返し部分のことで、この幅を調節することでシルエットに大きな差が生まれるのです。一般的には、大柄な方には太めのラペル幅、小柄でスリムな方には細目のラペル幅がフィットするといわれています。

・ポケット

ポケットは水平に作られているフラップポケットというデザインが一般的です。その他には、斜めに配置することで腰回りがスッキリとして見える効果のある「スラントポケット」や、フラップポケットの上にもうひとつポケットを配置するデザインの「チェンジポケット」などがあります。

オーダースーツ専門店「オーダースーツSADA」とは?

「オーダースーツSADA」は、2022年9月現在、全国に50店舗を展開しているオーダースーツ専門店です。1923年に神田の地で誕生した株式会社オーダースーツSADAは、2023年には創業100年を迎えます。創業以来仕立てたスーツの累計は500万着にも及び、政治家やタレント、YouTuber、プロアスリートなど多彩な職種のお客様からのオーダー実績がございます。

オーダースーツSADAでは、既製品では味わうことのできない高い満足度のスーツを適切な価格でご提供することが可能です。既製品では物足りない、こだわりのオーダースーツを検討している方は、ぜひ一度来店予約のうえ、お近くの店舗にてご相談ください。