黒いスーツと礼服の違いとは?ビジネススーツを代用できない理由のアイキャッチ画像
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黒いスーツと礼服の違いとは?ビジネススーツを代用できない理由

ブラックスーツって黒無地のスーツのことじゃないの?礼服とスーツの違いは見て分かるものなの?今回は、黒無地スーツと礼服の違いについて解説します。

礼服とは?

礼服とは、主に冠婚葬祭の慶事に着用される準礼装を指します。準礼装は、朱子織の黒無地生地を使用しており、艷やかで高級感があります。
冠婚葬祭などのフォーマルシーンでは、場面にふさわしい格式のスーツを着用するというルール(ドレスコード)があります。慶事のスーツの格式は3つあり、日本独自に普及した準礼装が礼服です。

格式は3つ

・正礼装
昼の正礼装はモーニングコートを指します。もっとも格式が高く、新郎新婦の父親、公式行事などで着用されます。着丈の長いジャケットに、共生地のベスト、縞柄のコールパンツを合わせます。
正礼装は着用する時間によって変わります。
夜の正礼装は燕尾服です。ジャケットは前ボタンを留めずに着用します。オーケストラの指揮者、演奏者などが着用します。日本では、夜だけでなく昼の演奏会でも着用される傾向があります。モーニングと似ていますが、シルエットがシャープで、裾は2分割されています。


・準礼装
昼の準礼装はディレクターズスーツです。夜の準礼装はタキシードとなります。
タキシードは格式高めのパーティーシーンなどで着用される蝶ネクタイが華やかなスタイルです。ディレクターズスーツは、礼服のような着丈の短いジャケットに、グレーのベストと縞柄のコールパンツを合わせるスタイルです。
日本では、ディレクターズスーツよりも礼服を着用するケースが多いため、礼服が準礼装として扱われています。これは日本独自のルールです。
礼服とは礼装用の生地を使用した、ビジネススーツよりも染色濃度が高い黒無地のスーツです。


・略礼装
ダークカラーのスーツが略礼装です。
昼はチャコールグレー(濃灰)無地、夜はミッドナイトブルー(濃紺)無地が正式な略礼装です。この昼と夜で色を分けるという着こなしも現在はそれほど厳密ではなくなりました。昼にネイビー無地を着ることも一般的になっています。ダークスーツに黒のビジネススーツを着用するのも日本では一般的です。日本の礼服は、以前は略礼装の扱いでしたが、現在は準礼装としても着用されるようになっています。


ブラックスーツとは


冠婚葬祭の話題でブラックスーツという言葉が使われる場合は、準礼装の礼服を指します。ブラックのビジネススーツという意味ではないため注意しましょう。また、ブラックフォーマルと呼ぶ場合も礼服を意味しています。


ここまでのまとめ


礼服=準礼装=ブラックスーツ=ブラックフォーマル
略礼装=ダークスーツ=ミッドナイトブルー・チャコールグレー(日本ではブラックのビジネススーツを含む)


喪服とは?

喪服とは、葬儀に着用される準礼装と同格の衣服で、正確には準喪服と呼ばれます。

喪服の種類

・正喪服

モーニングコートのベストにある白襟を取り外して葬儀に使用します。
シャツはレギュラーカラーを着用し、ネクタイと靴下を黒にします。ポケットチーフは使用しませんが、入れる場合は黒のポケットチーフを使用します。モーニングは昼の正喪服のため、通夜には着用しません。
近年、斎場での葬儀が増え、簡略化の傾向があり喪主がモーニングを着用するケースは少なくなってきました。喪主が2ピースの準喪服の場合も多いため、参列する側の場合は、喪主よりも格式が高くなる3ピースの喪服は避けましょう。


・準喪服

喪服を着用します。喪服の形状は礼服と同じですが、光沢のない喪服用生地が使用されています。喪服の場合に着用できるシャツは、白無地のレギュラーカラーシャツのみです。

・略喪服

通夜が亡くなった当日の夜の場合は、準喪服を避け略喪服(ダークスーツ)を着用します。正式ではない略喪服を着ることで、突然の不幸に対する弔意を表します。濃紺の無地スーツか濃灰の無地スーツ、または、黒のビジネススーツが着用可能です。現在は、翌日以降に通夜が行われるケースが多いため、その場合は喪服でも失礼にはなりません。
略喪服は、通夜や平服指定の一周忌、法事で着用されます。


礼服と喪服の違い

礼服と喪服の大きな違いは光沢です。
慶事用の礼服では、お祝い事として華やかさが必要なため、生地に光沢感を出します。
弔事用の喪服では、悲しみを表すため光沢を抑えた生地が使用されます。
生地の光沢以外は、礼服と喪服に大きな違いはありません。
スーツと同様に、メーカーによっては着用時のシルエットを標準タイプか細身タイプに分けている場合があります。


礼服と喪服の素朴な疑問

礼服と喪服は、ジャケットの前ボタンの形状でシングルブレステッドと、ダブルブレステッドに分かれます。
このシングルとダブルの格式の違いや良くある疑問について解説します。

・シングルかダブルか

日本で誕生した礼服と喪服は、海外のスーツのダブルブレステッドとシングルブレステッドを手本としています。
シングルとダブルの格式は同格です。
以前は未婚がシングル、既婚がダブルなどの着用傾向がありました。
これは、特にルールがある訳ではなく、貴族の服が起源のスーツがシングル、軍服が起源のスーツがダブルというルーツの違いからくる印象と関係があります。
20代30代の体型では、すっきりとしたシングルが合い、恰幅の良くなる40代から50代ではダブルが似合うことから、世代別のイメージが定着したものと考えられています。
現在も地域によっては、50代以上にこのイメージが強く残っています。
しかし、近年は既婚者のシングルへの買い替え需要がかなり高まっており、シングルが主流になりつつあります。
理由としては、シングルの方が前合わせが少なく着心地が軽い、シャープな印象になる、Vゾーンが広く若々しく見える、などが挙げられます。

・ダブルブレステッドの礼服、喪服は裾もダブルにする。

これは、間違ったルールが浸透したケースです。
裾を折り返すダブルの裾仕上げは、カジュアルになってしまうため、格式が高い着用シーンではNGです。
礼服と喪服はシングルブレステッド、ダブルブレステッドどちらであっても、裾はシングル仕上げが正式になります。

ベントは無いものが正式

礼服・喪服はベントが無いものが正式です。
本来格式の高い礼装にベントはありません。
フォーマルシーンのカジュアル化や実用性重視の影響もあり、市場ではベントありのフォーマルも一般的になっています。
フォーマル感を高めたい場合は、ベント無しでのオーダーがおすすめです。

・襟のステッチ

襟の縁に入っているステッチが気になる方も多いのではないでしょうか?
襟ステッチの本来の目的は、補強です。
ステッチは高い技術を必要とする手間のかかる工程のため、上質なスーツの証です。日本の礼服、喪服は着用年数が比較的長いため、強度重視の場合はステッチを入れます。
一方、日常使いするものではない、モーニングやタキシードにはステッチが入っていません。ステッチ無しの礼服もあるため、タキシードのような雰囲気でスッキリと着こなしたい場合はステッチ無しがおすすめです。

礼服とビジネススーツの違い

礼服とビジネススーツは全くの別物です。
一般的に色の違いは知っている方も多いですが、生地の織り方や素材などにも違いがあります。

・素材・・・礼服は高級感のある繊維の細いウールが使用されます。スーツはポリエステルとの混紡素材やある程度の強度がある通常ウールの生地です。

・生地の織り・・・礼服は朱子織、スーツは平織か綾織です。見た目の高級感が異なります。

・光沢・・・礼服には華やかな光沢があります。一般的なビジネススーツは光沢が控えめです。

・染色・・・礼服は布を染める後染めで染色濃度が高い生地です。ビジネススーツは糸で染める先染めで、染色が薄く黒でもグレーに近くなります。

・スタイル・・・礼服は体型がはっきりと分かるようなタイトな着こなしを避けます。

標準的なスーツの着こなしが目安になります。結婚式など式典で着用されるため、裾丈もハーフクッションがマナー上安心です。
スーツと礼服の違いは素人にも分かるの?と思われるかもしれませんが、思いのほか違いが分かります。スーツの黒は一般的なカジュアルウェアと同等の濃度の黒ですが、礼服の染色濃度はかなり黒いため並んだ時や着席時などにハッキリと分かります。
ただ、結婚式に略礼装のスーツとして、お洒落に着こなす場合には特に問題はありません。
注意しなければならないのは、新郎新婦の兄弟、甥、伯父など3親等以内になる場合です。
親族側としてお迎えする立場の場合は、礼服を着用する必要があります。
ビジネススーツを礼服の代用とすることは失礼になるため避けましょう。


葬儀に黒いスーツがダメな理由

葬儀は最後のお別れという大切な場面です。
ビジネススーツは略喪服であり、準喪服よりも格式が低くなります。
見ただけで違いが分かるため、弔問の挨拶の際や、お焼香で遺族に不快な印象を与えてしまう可能性もあります。
葬儀という格式高い場所に正式な喪服以外で参列することは、故人や遺族に失礼になってしまうため避けましょう。

ブラックスーツとは?

現在ブラックスーツやブラックフォーマルという言葉が慶弔両用礼服を指す場合が増えてきました。慶弔両用タイプは生地の光沢を抑えることで、慶事にも弔事にも着用できるようにしたものです。
結婚式には華やかなシルバーのネクタイとチーフ、葬儀は黒無地ネクタイで、雰囲気を変えて着用します。
年間の着用回数が少ない場合は、慶弔両用タイプを用意しておきましょう。
着用後は、クリーニングに出しメンテナンスしておきます。
年間4回程度までは、ブラックスーツの劣化を気にせずクリーニングが可能です。
既製服市場では、慶弔両用を前提として販売しているものも多くなっています。これは、冠婚葬祭の簡略化や、礼服、喪服と立て分けて着用する割合の減少などの影響があります。時代とともに冠婚葬祭の儀式的な部分が、現代のライフスタイルに合わせた着こなしへと変化しているためです。
ただ、メーカーによってブラックスーツの定義が異なる場合があるため、購入時に必ず慶事用か弔事用か、それとも慶弔両用なのかを確認しておきましょう。


着用回数が増えてきたら

年齢と共に年間の着用回数が増えてきた場合は、礼服と喪服を別に用意しておくと安心です。
例えば、葬儀や結婚式が連日になった場合、前日の葬儀で着た、線香の残り香がある喪服を結婚式に着ることは避ける必要があるためです。
20代、30代前半までは慶事が多く葬儀が重なるような事は少ない傾向ですが、年齢を重ねると予定が重なる可能性が高くなります。
交友関係や会社関係で必要になる回数も変わるため、年間の着用回数を考慮して必要性を感じた時に買い足しましょう。
ブラックスーツは、本来の着こなしとして慶事用の礼服、弔事用の喪服、盛夏用(お盆や法事、夏の結婚式用)が必要になります。
まとめて作る場合には、慶弔と夏の3着を目安に用意しましょう。

ブラックスーツの着用シーン

慶弔両用のブラックスーツは、どのような場面で着用が可能なのでしょうか。

・結婚式
伯父、甥までに当たる親族の結婚式はお迎えする側であるため、ブラックスーツを着用します。
友人代表のスピーチを担当する場合もブラックスーツがおすすめです。
上司として部下の結婚式に参列する場合もブラックスーツです。
都心の高級ホテルなど、結婚式場の格式が高い場合にはドレスコードがあるため、ブラックスーツを着用します。
結婚式では、立場や役割がある場合はブラックスーツを着用します。

・葬儀
故人と親族に対する敬意の現れとして、ブラックスーツを着用します。

・結納
現在は結納も簡略化しており、ブラックスーツが一般的です。

・お宮参り
現在はスーツを着用するケースも増えましたが、神社の格式が高い場合などはブラックスーツが安心です。

・子供の卒業式
基本はダークスーツで問題ありませんが、地域によってはブラックスーツが指定される場合があります。

・卒業式の来賓
スピーチがある場合はブラックスーツになります。

・祝賀会
ドレスコードがセミフォーマルの場合は、ブラックスーツです。

・記念式典
ブラックスーツが一般的です。


オーダースーツ専門店「オーダースーツSADA」とは?

オーダースーツSADAでは丁寧な採寸で型紙を作成し、美しいシルエットのブラックスーツをフルオーダーできます。

体型に合わせてブラックスーツを作る事によって無駄な余裕は削り、必要な余裕は十分に取る、という設計が可能です。体型に合わせて仕立てたブラックスーツは、着用時の負担が生地にかかりにくく、長く着用することが可能になります。

オーダースーツSADAのフルオーダーは、徹底した機械化とシステムの効率化で、コストパフォーマンスにも優れています。

ぜひ、お気軽にお立ち寄りください。

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