スリーピーススーツとは?かっこいい着こなし方、タイミング、マナーについても紹介-オーダースーツSADAのアイキャッチ画像
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スリーピーススーツとは?かっこいい着こなし方、タイミング、マナーについても紹介-オーダースーツSADA

日本では、長らく「ジャケット×パンツ」のスーツスタイルが一般的でした。近年では、ここにベストを加えたスリーピーススーツに注目が集まっており、英国紳士風のおしゃれを演出できるとして人気です。

この記事では、スリーピーススーツをかっこよく着こなすためのコツやベストのボタンの留め方、着用のタイミング、マナーなどについて解説しています。コーディネートのポイントもご紹介しますので、さっそく実践してみてください。

スリーピーススーツ(三つ揃い)とは?

スリーピーススーツ(三つ揃い)は、一般的なツーピースと比べると馴染みがない人も多いのではないでしょうか。ここでは、スリーピーススーツの特徴や誕生した背景、ジレやチョッキとの違いなどの基礎知識を解説します。

スリーピーススーツの特徴

スリーピーススーツとは、ジャケット・パンツ・ベストの3点で構成されるスタイルで、スーツと同素材のベストをシングルスーツの下に着たスーツスタイルのことを指します。

すべて同じ生地でセットになっていることがポイントです。日本では「三つ揃え(みつぞろえ)」とも呼ばれています。

スリーピーススーツは、英国スーツの伝統的なスタイルで、いわゆる「クラシックスタイル」と呼ばれています。従来の日本におけるビジネスシーンなどでは、ジャケットとパンツの2点の構成が定番でした。

しかし、現代では見た目をおしゃれにするため、スリーピーススーツを着用する方が増えています。

最近では、このクラシックに回帰したスタイルが流行しているので、ぜひスリーピーススーツの魅力は押さえておくようにしましょう。

スリーピーススーツが誕生した歴史的背景

スリーピーススーツは、イギリス国王チャールズ2世が1666年に発表した「衣服改革宣言」により誕生したとされています。この宣言では、レースや羽飾りなどのある華美な服装の代わりに、ジャケット・ベスト・パンツの実用的なスタイルが推奨されました。

このスタイルが広がり、イギリスでは「スリーピース」、イタリアでは「アビト・コンプレート」、日本では「三つ揃い(みつぞろい)」などと呼ばれ、世界中でフォーマルな服装として認められています。

日本でスリーピーススーツが着られるようになったのは、西欧文化を積極的に取り入れ始めた明治時代(1868年)ごろからです。しかし、和服から洋服への転換には時間がかかり、明治初期でスリーピースを着ているのは政府高官や富裕層に限られました。一般的に着用されるようになったのは明治20年(1887年)ごろからです。

スリーピースと「ベスト」「ジレ」「チョッキ」の違い

ベストとは、袖がなく、胸・腹・背を覆う丈の短い胴着を意味するアメリカ英語の「vest」を指します。ベストはインナーシャツとアウタージャケットの間に着る中衣ですが、アウターとしても着用されるため、背面まで上質な生地が使用されるのが一般的です。

日本語の「チョッキ」は、上記のベストと基本的には変わりません。由来については諸説あり、「直着」から来たという説や、ポルトガル語で「jaqueta(ジャケットの意味)」あるいはフランス語の「jaque(体にぴったりした男性用上着の意味)」がなまったという説があります。

一方、ジレはフランス語で中衣、または袖のない上着を意味する言葉です。ベストと比べて、ジレは中衣としての意味合いが強く、基本的にジャケットの下に着ます。このため前面のみに上質な生地を使い、背面は簡素な仕上がりであるのが特徴です。

ただし、ベストやチョッキとベレが同じ意味合いで使われるケースも多いため、あまり厳密に区別する必要はないでしょう。

スリーピーススーツのベストは主に4種類

スーツに合わせるベストには主に4つの種類があります。ベストの種類によって相手に与える印象も異なります。ここでは代表的な4種類について詳しく解説します。

1.シングル襟なし

シングル襟なしのベストは、スリーピーススーツの中でもスタンダードなタイプです。クセがなくすっきりとした印象で、シャツやネクタイも合わせやすいため、スリーピーススーツの着こなしに自信がない人にも向いています。

襟が付いているベストに比べてどんなシーンにでも対応できる汎用性の高さが特徴です。例えば、ツーピーススーツだと少し肌寒い季節や、ベストで襟元の表情を引き締めたいときなど、さまざまな着こなしに対応できるでしょう。

どんなベストを選んだらいいのか迷ったら、シングル襟なしのベストを選ぶと良いでしょう。

2.シングル襟付き

シングル襟付きのベストは、シングル襟なしと比べてフォーマル度が高まったベストです。襟がつくことできっちり感が増すため、フォーマルな雰囲気を演出したい時に着用したいベストといえるでしょう。

また、Vゾーンに立体感が出るのも特徴です。襟付きのベストによって胸元が厚くたくましい印象のシルエットになることから、シングル襟付きを好む人もいます。また、色や柄によってはクラシカルな印象にすることも可能です。

1着持っておくとフォーマルシーンでも重宝するでしょう。襟なしのベストに慣れてきたときの次の1着としておすすめです。

3.ダブル襟なし

ダブル襟なしのベストは、ボタンが2列になっており、シングルベストよりもクラシックな雰囲気があります。多くの人がシングルを選ぶなかでダブルを選べば、個性やこだわりを表現できるでしょう。

後ほど紹介するダブル襟付きのベストと比べると重厚感や上役感が出にくいため、若い人でも着やすい面があります。単に「シングルのベストには飽きた」という方も、着こなしやすいダブル襟なしがおすすめです。

また、ダブル襟なしのベストはシングルのベストよりも裾が短くカットされていることから、脚が長く見えるようなつくりになっています。シルエット全体をすらりと細身に見せたいときも、ダブル襟なしを検討してはいかがでしょうか。

4.ダブル襟付き

胸の立体感をさらに強調できるのがダブル襟付きです。胸まわりのボリュームによって、威厳のある力強さを演出できます。男らしい雰囲気や力強さを演出したい場合や、胸板が薄いのでスーツでカバーしたいという人におすすめです。

ダブル襟付きのベストは最もクラシカルな印象であるものの、着こなしが難しく社会的な地位が高い年長者でないと様にならないという意見もあります。初めからダブル襟付きのベストを選ぶのはハードルが高いかもしれません。とはいえ、上手に着こなせれば個性的なおしゃれを演出できるでしょう。

スリーピーススーツのベストボタンはどう留める?

スリーピーススーツのベストには、ジャケットと同様に一番下のボタンを外す「アンボタンマナー」というルールがあります。ベストを着用したときにシルエットをきれいに見せるほか、窮屈な印象を与えないためといった側面もあるようです。

「たかがボタンくらい」と思う方もいるかもしれませんが、商談などの勝負どころでは、ボタンの留め方ひとつで相手からの印象が変わります。いざというときに恥をかかないためにも、ベストのボタンの留め方を知っておきましょう。

【ダブルベスト】ボタンの留め方

ダブルベストは、ボタンの数が左右合わせて6~8個ついているパターンが一般的です。ボタンの数が多いため、どこを開ければいいか迷う方もいるでしょう。時と場合にもよりますが、どのパターンのダブルベストでも、基本的には一番右下のボタンを開けておくのがマナーです。

ただし、結婚式などのかしこまったシーンやきちんとした印象を演出したいシーンでは、ボタンをすべて閉じてもかまわないとされています。場面や状況に合わせて判断しましょう。

なお、ダブルベストのなかには、一番上のボタンがほかのボタンよりも離れたところに配置されているデザインもあります。こちらのボタンは飾りとして付けられているものなので、留める必要はありません。

【礼服のベスト】ボタンの留め方

礼服を装うシーンでは「きちんと感」が大切なため、ベストの着用が推奨されています。ベストの素材は、スーツやパンツと同様の生地で揃えましょう。

シングルでも問題ありませんが、ダブルにすると、より重厚感が増します。いずれを着用するにしても、フォーマルなシーンではベストのボタンをすべて閉じるのがマナーです。そうすることで、その場の雰囲気にふさわしい装いを演出できます。ジャケットを脱いだときのスタイルをキープしつつ上品にキマるのも、ベストを着用する魅力の一つです。

なお、ベストはおしゃれ感が強いアイテムのため、葬式や告別式といった場面での着用はふさわしくありません。TPOに配慮し、周囲に不快感を与えない装いを守りましょう。

ベスト着用時ジャケットのボタンの留め方

ベストを着用する際、「ジャケットのボタンはどうすればいいか」と迷ってしまう方もいるでしょう。基本的には、ベスト着用時はジャケットのボタンをすべて開けておくことが推奨されています。

というのも、ベストを着用している上からジャケットのボタンを閉めると着膨れして見え、窮屈な印象を与えてしまうためです。また、スーツのシルエットも崩れてしまい、かっこよく見えなくなってしまいます。

しかしながら、厳密にルールとして決められているわけではありません。ジャケットのボタンを開けることでだらしなく見えてしまうようなら、閉じたほうが好印象につながります。目上の人がボタンを留めている場合は相手に合わせるなど、周囲の状況を見て判断しましょう。

ベストの一番上のボタンを外すケースも

ベスト着用時は、一番下のボタンを開けるのが基本的なマナーであることは、説明してきた通りです。しかし、これとは別に、あえて一番上のボタンを外すケースもあります。

たとえば、カジュアルなパーティーやイベント、内勤時、プライベートシーンなどでの着こなしが挙げられるでしょう。ベストの一番上のボタンを開けるとファッション性が高まり、程よいこなれ感やおしゃれ上級者の雰囲気を演出できます。

もちろん、商談や会議などの大事なシーンでは、一番上のボタンを開けることは失礼に当たりますので、避けてください。あくまでもカジュアルなシーンでのみ通用するファッションであることを忘れず、TPOにふさわしい着こなしを心がけましょう。

スリーピーススーツを着る3つのメリット

スリーピーススーツこそが正統的なスタイルとされていた時代もありました。伝統あるスリーピーススタイルには、多くのメリットがあります。メリットをしっかりと理解すれば、活用の場を広げられるでしょう。そこでスリーピースを着るメリットを紹介します。

1.ジャケットを脱いでもおしゃれに着こなせる

デスクワークが中心の方は、休憩の際にジャケットを脱ぐこともあるでしょう。ツーピースの場合はジャケットを脱ぐとワイシャツのみの状態になりますが、スリーピーススーツにはベストが加わるので、常にスマートさを演出できます。ベストは自身の身体にフィットさせて着用するものなので、多少ふくよかな方でも引き締まった体型に見せる効果も期待できるのです。

ベストによって、コーディネートを立体的に見せることができるのもスリーピーススーツの大きなメリットといえます。

2.防寒対策になる

冬は防寒対策としてコートを着用する方も多いでしょう。しかし、コートを着用する程でもない春先や秋の季節には、ベスト一枚で程よい防寒対策になります。また、シャツだけでは冷房が冷たく感じる夏場の室内でもベストがあると便利です。

スリーピーススーツは、必ず3点着用しなければならない決まりはありません。暖かい日はベストを脱いでもかまいませんし、逆に肌寒さを感じればベストを着用できます。このような体温調整のしやすさは、ツーピーススーツにはないメリットです。

3.ネクタイの色柄を選ばない

ツーピースの場合、ジャケットを着用した際にVゾーンから見えるワイシャツの範囲が広くなり、スリーピースの場合はベストによってVゾーンの範囲が狭まります。Vゾーンはネクタイの選び方によって相手に与える印象が大きく変わるのが特徴です。

ツーピースの場合、ネクタイの見える範囲が広いため派手な柄のネクタイを着用してしまうと、過剰に主張している印象を与えてしまうでしょう。

しかし、スリーピーススーツの場合は部分的にしかネクタイが見えないので、派手なデザインのネクタイとも相性が良く、普段は選ばないようなデザインでも問題なくコーディネートすることが可能です。

【シーン別】スリーピーススーツの着用マナー

ここではスリーピーススーツを着る際のマナーについて紹介します。着用マナーを理解してスリーピーススーツをスマートに着こなしましょう。

【ビジネスシーン】TPOに合わせて着用する

スリーピーススーツは、フォーマルで落ち着いた印象のスーツです。しかし、スーツのなかでは個性的な部類に入るため、TPOに合わせて着用することが必要です。

例えば、初対面の人や年上の人などに会う際は「偉そうに見える」「服装にクセがある」などと思われる恐れがあるため避けた方が無難といえるでしょう。また、商談やプレゼンの場では目立ちすぎる可能性があるので避ける方が良いかもしれません。

一方、オフィスワークではスリーピーススーツはおすすめです。ベストがあれば、社内でジャケットを脱いだときにシャツのたるみが見えず、品のあるイメージになるからです。また、ツイードやフランネル、チェック柄などのスリーピーススーツを選べば、通常のビジネスカジュアルでは出せない大人っぽさを表現できます。

【お葬式】参列者の立場では注意が必要

お葬式の参列者の立場では、スリーピーススーツは基本的に着ません。喪服のスリーピースは正喪服(ジャケットとベストが黒で、パンツは黒またはグレーに黒の細いストライプが入ったもの)とみなされ、格式が上がるためです。正喪服は喪主や遺族の方が着用するものですので、スリーピースの着用は避けることをおすすめします。

一方、お通夜の場合は、グレー、紺色などのスリーピースで参加することはマナー違反ではありません。ただし、ベストはおしゃれのために着る意味合いが強く、場にそぐわない面があります。可能であれば脱いでから参列するのもよいでしょう。

【結婚式】華やかなコーディネートがおすすめ

華やかな結婚式やパーティではスリーピースがおすすめです。ジャケットやパンツと違う素材のベストを合わせれば、上品なカジュアルスタイルにできます。ネクタイやシャツ、小物のコーデも揃えれば、開放感のあるガーデンウエディングやパーティスタイルの結婚式に合うでしょう。

また、普段ツーピーススーツを着ている人は、スリーピーススーツが特別感を表現する服装になります。ツーピースの場合、ネクタイを変えただけでは「普段のスーツを着回しただけで、ドレスコードを意識していない」といった印象も。しかし、スリーピーススーツでベストを着用すると、普段と違う華やかさやフォーマルさを簡単に演出できます。友人や知人の結婚式に備えてスリーピーススーツを持っておくと重宝するでしょう。

【就職活動】基本的に着用しない

就職活動ではスリーピーススーツはおすすめできません。というのも就職活動では、黒か紺色のいわゆるリクルートスーツが一般的だからです。スリーピーススーツは個性やおしゃれ感が強く、また重厚感があるため、採用してもらう立場にそぐわない面があります。服装が目立つ人や、リクルートスーツの慣例に従わない人をよく思わない面接官もいるでしょう。

特に新卒社員の場合は、スリーピーススーツを避けた方が無難です。ただしアパレル業界や個性的な人材を求める企業などでは好ましい印象も与える場合もあります。

入社式では社風や雰囲気に合わせて、スリーピーススーツを着るか検討するとよいでしょう。一般的には、自由な社風や若い社員中心の企業では、スリーピーススーツでも問題ありません。対して保守的で上下関係が厳しい企業では、簡素なスリーピーススーツが好まれる傾向があります。

スリーピーススーツの着こなし術5選

ここではスリーピーススーツの着こなしのポイントを5つ紹介します。着こなし術をマスターしてスリーピーススーツでおしゃれを楽しみましょう。

1.ジャストフィットするサイズを選ぶ

スリーピーススーツはジャストフィットするサイズを選ぶことがポイントです。

スリーピーススーツのベストにはスライド式でサイズを調整できるアジャスターがついているものの、飾りの意味合いもあり簡易的なものです。スーツのジャケットやパンツと同様、ベストもジャストフィットするサイズを選んでください。

スリーピーススーツをかっこよく着こなすためにも、ジャケット、ベスト、パンツそれぞれのサイズが自分にフィットするものを選ぶことが重要です。

2.シャツの襟先を隠す

シャツの襟先はベストのなかに入れて隠すのが一般的な着こなしです。ただし襟の角度によってはベストに入らないことがあります。シャツの襟がベストのなかに入らない場合は、襟の角度が広いセミワイドカラーやワイドカラーなどを選ぶと良いでしょう。

3.ベスト丈の長さを意識する

スリーピーススーツを着用する際は、ベストの長さも意識してください。具体的には、ベストの丈の長さはベルトの下部分に少しかかる程度にします。ベルト・ループ(ベルト通し)やベルトのバックルが見えてしまうと、パンツを腰で履いているような、だらしのない印象になってしまうからです。

反対にベルトの下部分を越えるサイズを選んでしまうと、メリハリのないシルエットになったり、座ったときにシワができたりして美しくありません。スリーピースの着こなしとしてベスト丈の長さもポイントです。

4.サスペンダーでさらにスマートな印象に

サスペンダーは「ズボン吊り」とも呼ばれ、パンツを固定するベルトの役割を持ちます。サスペンダーによってパンツが上側に引っ張られるため、パンツがずりおちることがなく、センタープレスのラインがキレイに出るのがメリットです。

サスペンダーはベルトの着用と比べて腰回りにふくらみが出ないため、ベストとの相性がぴったりです。ヨーロッパでは、スリーピーススーツにはサスペンダーを使うのが正統的とされているようです。

5.ベストの一番下のボタンは外しておく

ベストの一番下のボタンは外しておきましょう。一番下のボタンは留めないマナーになっているため、一番下のボタンは留めない前提でベストがつくられているからです。一番下のボタンを無理に止めると型崩れの原因になります。一番下のボタンを留めてもマナー違反ではないものの、ファッションの観点からは不自然に思われてしまうでしょう。

なおスリーピーススーツの場合、ベストと同じく、ジャケットの一番下のボタンも外すのがマナーです。一番下のボタンの位置では、左右に開く側に湾曲がつくられています。ボタンを留めるとシルエットが崩れてシワができてしまうため、外しておきましょう。

【シーズン別】スリーピーススーツコーディネートのポイント

スリーピーススーツは選び方やコーディネート次第でオールシーズン楽しめます。春・夏と秋・冬別にコーディネートのポイントを解説します。

【春・夏】清涼感ある素材やカラーを選ぶ

春・夏のスリーピーススーツのカラーは、清涼感のある爽やかなネイビーがおすすめです。ネクタイをブルー系にすれば、さらに涼しげな印象になるでしょう。

こなれ感を出したい場合には、ネクタイやシャツにピンク系のカラーをいれるのもおすすめ。また、シャツの素材にリネンやメッシュを取り入れると、通気性が良いだけでなく、異素材の組み合わせによって面白味も出せるでしょう。

ジャケットの下にベストを着るスリーピーススーツは、熱気や湿気がこもりやすいのがデメリットです。生地は春夏用を選びましょう。

【秋・冬】温かみのある素材やカラーを選ぶ

秋・冬はブラウンやベージュなどの温かみのある色がおすすめです。ダークブラウンとキャメルは落ち着いた印象があり、秋冬の雰囲気に映えます。華やかさを出したい場合には、ブリックやテラコッタといった赤みのあるブラウンを選んでもよいでしょう。

ツイードやフランネルなどの肉厚な素材のグレーも暖かな印象を与えます。また、ベストをニットジレにしたり、ウールや梳毛(そもう)生地などのオッドベスト(スーツ・パンツと違う素材のベスト)にしたりするのも、季節を取り入れたこなれ感を出すのに効果的です。

秋冬のおすすめの柄はチェック柄です。スリーピーススーツに合うチェック柄は、英国伝統のグレンチェックや窓の格子のようなウィンドウ・ペンチェック、華やかな印象があるタータンチェックなどさまざまです。チェック柄が派手に感じるなら、ネクタイにチェック柄を取り入れるのもおすすめです。

シーンや季節に合わせたスリーピーススーツでおしゃれを楽しもう

英国でメジャーなスリーピーススーツは、日本でも注目され始めています。着用のタイミングやマナーについては日本ならではの注意点もありますが、スリーピーススーツを着こなせるようになれば、よりおしゃれの幅が広がるでしょう。ベストにはさまざまな種類がありますので、自分に合うタイプを選ぶのが、着こなしのポイントです。

シーンや季節に合わせたコーディネートを楽しめるのも、スリーピーススーツの大きな魅力といえます。せっかくなら、自分の体型にフィットするオーダースーツを仕立てて、周囲とのスーツスタイルに差をつけてみませんか。

スリーピーススーツはジャケットとパンツに加えてベストを着用するスタイルです。スリーピーススーツの最大の特徴ともいえるベストの種類は主に4種類。スタンダードな「シングル襟なし」フォーマル感のある「シングル襟付き」クラシカルな印象の「ダブル襟なし」力強さを演出できる「ダブル襟付き」です。スリーピーススーツ初心者の方はまず、シングル襟なしから挑戦してみると良いかもしれません。

スリーピーススーツを着用するメリットはジャケットを脱いでもおしゃれに着こなせることです。ツーピースの場合、ジャケットを脱いだらワイシャツのみの状態ですが、スリーピースの場合はベストを着用しているので、きちんと感やスマートさを演出できます。

スリーピーススーツは防寒対策にもなります。寒い冬だけでなく、シャツだけでは冷房の風が冷たい場合にもベストを着用することで対策可能です。ベストの着用でVゾーンの範囲が狭いため、ネクタイの色柄を選ばずコーディネートできるのもメリット。

スリーピーススーツの着こなし術として、ジャストサイズを選ぶ、シャツの襟先を隠す、ベストの長さを調整することが挙げられます。また、サスペンダーを用いればさらにスマートな印象になるのでぜひ試してみてくださいね。くれぐれもベストの一番下のボタンを外しておくことをお忘れなく!

記事で紹介したコーディネートのポイントも参考にしてスリーピーススーツでおしゃれな着こなしを楽しんで下さい。

構成・湯浦孝恵