スーツのベストをおしゃれに着こなすには？単体でも使える。ベストをオシャレに着こなすポイントをご紹介

スーツに合わせる「ベスト」のメリット

スーツにベストを合わせると、装いに奥行きが生まれ、洗練された印象が与えられます。

おしゃれ感やスタイルアップ効果に加え、防寒性やコーディネートの幅も広がるため、ビジネスにもプライベートにも活躍するアイテムです。

まずは、ベストを着るメリットを紹介します。

温度調節ができる

スーツのベストには、体温調整がしやすいという実用的なメリットがあります。気温の変化が激しい秋から冬、肌寒さが残る春先にかけては、ベストを着脱するだけで快適な温度を保てるため非常に便利です。

「シャツ一枚では心許なく、かといってジャケットを着ると暑すぎる」そんな微妙な気温のときでも、ベストがあれば無理なく調整できます。

防寒性を高めたい場合は、シャツとジャケットの間にベストを一枚加えるだけで、暖かさをしっかりキープできます。夏場は敬遠されがちですが、冷房が効いたオフィスでは冷え対策としても活躍するアイテムです。

ジャケットなしでもフォーマルな印象

現代のビジネスシーンではツーピーススーツが一般的ですが、ベストを着用することで、ジャケットを脱いだ状態でもフォーマルな印象を保てます。ベストが胴体を自然に覆い、面積の大きいシャツの露出を抑えてくれるためです。

また、Vゾーンに立体感が生まれ、ネクタイやシャツとの組み合わせが引き締まって見えます。全体が完成形に近い装いとなり、だらしない印象を与えません。商談や室内での対応時でも、信頼感ときちんと感を損なわずに着用できるのが大きなメリットです。

コーディネートの幅が広がる

スーツにベストを取り入れると、着こなしの幅が大きく広がることも魅力です。たとえば、スリーピースがふさわしくない場面では、ベストを外すだけでツーピースに切り替えられます。1着でスリーピースとツーピースの2WAYを楽しめるのです。

さらに、シャツの上にベストのみを着用したり、同素材のパンツと合わせたり、別のジャケットと組み合わせたりと、応用も自在。たった1着のベストでも、シーンに合わせた多彩なコーディネートが可能になります。

ベストの着用がおすすめなシーン

ベストは、着用するシーンによって選び方やコーディネートのポイントが変わります。同じベストでも、合わせ方を誤ると印象は大きく変わるため注意が必要です。

ここでは、結婚式やパーティーといった華やかな場面から、プレゼン・商談など信頼感が求められるシーン、日常のオフィススタイルまで、シーン別にベストの活用法を整理して解説します。

結婚式・パーティー

結婚式やパーティーでは、ベストによってフォーマル感と上品さを両立させることが着こなしのポイントです。

ジャケット・ベスト・パンツを揃えたスリーピーススタイルなら、正統派で洗練された印象に仕上がります。ベストはスーツと同素材・同色を選ぶことで統一感が生まれ、式典や披露宴にふさわしいエレガントな装いを演出できます。

色は、派手になりすぎないグレーやネイビーなどのダークトーンがおすすめ。カジュアルに見えないよう、素材感や色味、体に合ったフィット感を意識してコーディネートを組みましょう。

プレゼン・商談

プレゼンや商談といったビジネスの重要な場面では、ベストを取り入れたスーツスタイルが信頼感を高めるのに効果的です。ネイビー無地のシンプルなスーツでも、ベストを加えてスリーピースにするだけで、装い全体の完成度が高まります。

ただし、ベストのサイズ感は常にジャストが原則です。ジャケットやパンツのようにトレンド感を出すアイテムではなく、身体に沿った美しいシルエットを保つことが求められます。

適切なサイズのベストを着用すれば、商談中にジャケットを脱いだ場合でも緊張感が失われず、落ち着いた印象を演出できます。

普段のオフィス

普段のオフィスでベストを取り入れると、ジャケットを脱いだ状態でもきちんと感を維持でき、デスクワーク中心の日にも好印象です。

色はネイビーやグレーなどの落ち着いた無地を選ぶと、ビジネスシーンに自然になじみます。柄が強いものや光沢のある素材は、オフィスでは主張が強くなりすぎるため避けたほうが無難でしょう。

ベストを単体で着用する場合は、職場のドレスコードに適しているかを必ず確認することが大切です。流行を意識するよりも、身体にジャストフィットしているかを最優先に選びましょう。

ベストの種類

ここからはベストの種類について見ていきましょう。スーツに合わせるベストは、襟の形やボタンの配置によって主に4つのタイプがあります。

それぞれの特徴を紹介していきます。

襟なしシングルベスト

スリーピーススーツで用いられる、最もポピュラーなタイプのベストが「襟なしシングルベスト」です。初めてスリーピースに挑戦する人や、スタンダードが好みの人におすすめです。

Vゾーンが深めで、ネクタイもきれいに魅せることができるので、スーツスタイルをおしゃれに楽しみたい方にはピッタリでしょう。

襟付きシングルベスト

ノーカラーベストよりもクラシカルな印象を与えてくれるのが「襟付きシングルベスト」です。

襟なしベストよりも上着感が強く、合わせる服次第で着こなしの印象が大きく変わるため、やや上級者向け。胸元にボリュームが出るため、男性らしい風格や上質なムードを演出したい方におすすめです。

襟なしダブルベスト

ベストにもスーツ同様シングルとダブルがあり、ダブルの場合はより個性を引き立てます。ジャケットのボタンを開けて、ベストのデザインを強調するような着こなしもおすすめです。

「襟なしダブルベスト」は、シングルに比べると着こなしの難易度はやや高め。すでにスリーピーススーツを持っていて、新しいアクセントを加えたい人の買い足しアイテムとして適しています。

襟付きダブルベスト

数あるベストの中でも、最も存在感があるのが「襟付きダブルベスト」です。男性らしさや大人の貫禄を引き立て、着る人に堂々とした印象を与えます。

スリーピーススーツに慣れた頃、年齢や経験を重ねたタイミングで挑戦するのがおすすめ。特に体格の良い方は、そのシルエットや迫力をより引き立てられるデザインです。

ベスト選びのポイント

スーツスタイルを格上げしてくれるベストですが、着こなしを失敗してしまうと、かえってだらしない印象を与えかねません。

特にサイズ選びは重要なポイントです。スマートな着こなしには適切なサイズ選びが不可欠です。

内側に着るものだからと手を抜かず、身体にフィットするベストを選び、スマートで洗練された着こなしを楽しみましょう。

ベルトが隠れる長さ

まずは着丈に注意しましょう。理想的な着丈は、ベルトが完全に隠れるくらいの長さです。ベルトが見えてしまうほど丈が短いと、子どもっぽくだらしない印象を与えてしまう可能性があります。

逆に長すぎると胴長に見え、全体のバランスが悪くなるため要注意です。

ベストの着こなしをカッコよく決めるポイントは、ベルトが見えない丈感を選ぶことです。この丈感を守ることで、全身のシルエットが整い、スマートなスーツコーデが完成します。

袖と胴回りも確認

袖ぐりと胴回りのサイズ確認も重要です。袖ぐりは腕を上下に動かして、窮屈さや余りがないかをチェックしましょう。

胴回りは体に沿ったサイズを選ぶことで、お腹まわりが引き締まって見えます。逆に、ゆるすぎると、せっかくのスタイルアップ効果が台無しに。適度なフィット感は全身のバランスを整え、大人の品格を際立たせます。

Vゾーンの見え方を意識する

Vゾーンの見え方を意識することも大切です。特にVゾーンは上半身の印象を左右し、同じベストでも体格によって見え方が変わります。

細身で胸周りにボリューム感を出したい場合は、Vゾーンが浅めで襟付き（ラペル付き）のベストがおすすめ。襟が加わることで胸周りに立体感が生まれ、体格をたくましく見せる効果があります。

大柄な体型の方には、Vゾーンが深めの襟無しベストが適しています。装飾を抑えたVゾーンが縦のラインを強調し、胴回りのボリューム感を抑えてシャープなシルエットが演出できます。

ベストの着用がNGなシーン

ベストは便利で上品なアイテムですが、「この場面では避けたほうが良い」というシーンも存在します。目上の方と初めて会う場面や、就職・転職活動、葬儀などでは特に注意が必要です。

ここでは、なぜこれらの場面でベストの着用を控えたほうがよいのか、シーン別に理由を解説します。

目上の人と初めて会うとき

目上の人と初めて会う場面では、ベストの着用は控えるのが無難です。良かれと思って選んだスリーピーススタイルが、「偉そう」「気負っている」と受け取られてしまう可能性があります。

特に、スリーピースはテレビや映画の影響もあり、役職者や立場のある人物の装いというイメージを持たれやすい点に注意が必要です。そのため、初対面の場ではツーピーススーツを選ぶほうが安心でしょう。

中でも注意したいのが、暑い時期などにジャケットを脱いだベストスタイルです。ジャケット着用時よりも存在感が強調され、威圧的に見えることもあります。初対面では、控えめで誠実な印象を与える装いを心がけましょう。

就職・転職活動

就職・転職活動では、ベストの着用（スリーピース）も避けたほうが無難です。ツーピースに比べて正装性が高いため、場合によっては「自己主張が強い」と受け取られる恐れがあります。

採用の場では、スキルや熱意と同時に、企業文化に馴染もうとする姿勢も重視されます。そのため、ベストを着用しないツーピーススーツに白シャツという基本的な装いが、最も評価を下げにくい選択といえるでしょう。

葬儀

葬儀でのベスト着用は、基本的に避けましょう。

喪主がモーニングコートを着る場合にはベストも許容されますが、遺族以外の参列者が準喪服でベストを合わせるのはカジュアルな印象になり、不適切です。

葬儀では控えめで落ち着いた装いが求められるため、一般的に遺族以外の参列者はベストを着ないスタイルが通例です。

ベストの着こなしマナー

ベストをスマートに着こなすには、知っておきたい基本マナーがあります。ボタンの留め方やシャツの襟の位置など、細部まで意識することで、スーツスタイル全体の印象がぐっと洗練されます。

ジャケットの着用が基本

ベストはジャケットを脱いでもフォーマル感を保てるのが利点ですが、結婚式をはじめとするフォーマルな場では、ドレスコードの基本はあくまでスーツ一式の着用です。会場が暑いからといってジャケットを脱いでベストだけになるのはマナー違反となります。

参列者はジャケットを着用するのが基本です。暑さ対策で上着を脱ぐ場合でも、式場内で一時的に脱ぐなどの対応にとどめ、ベスト姿での参列は避けるべきです。ベストは補助的な存在と理解しましょう。

ベストのボタンは一番下を開ける

ベストは一番下のボタンを留めないのが基本のマナーです。ダブルベストの場合は、相手から見て左下を外すのが一般的です。

最後まで留めると生地が引っ張られて裾まわりにシワが入り、全体のシルエットが崩れてしまいます。

スーツスタイルでは、このシワがだらしない印象を与え、ビジネスシーンでは失礼にあたる場合もあります。

一番下を開けることで動きやすくなり、自然なドレープが生まれて美しいラインを保てます。ジャケット同様、ベストも下ボタンは外す習慣を身につけましょう。

ベスト着用時のスーツボタン

ベストを着用する際は、ジャケットのボタンを開けて着ると、全体のシルエットがすっきり見えやすくなります。ベストを重ねることで胸元や胴回りにボリュームが出やすいため、ボタンを留めると野暮ったい印象になる場合があるためです。

ただし、ジャケットのボタンを開けることが必須のマナーというわけではありません。だらしなく見えると感じる場面や、よりフォーマルな雰囲気を求められる場合は、ボタンを留めても問題ありません。

大切なのは、TPOやその場の雰囲気に合わせて、最もスマートに見える着こなしを選ぶことです。

シャツの襟はベストの内側に

シャツの襟はベストの内側に収めることで固定され、着崩れを防げます。

スリーピースはアイテム数が多いため、1つでも乱れると全体がだらしなく見えてしまいがちです。襟先がしっかり隠れるよう、襟の長いタイプや開きの広いシャツを選ぶとバランス良く収まります。

細部まで整えることで、スリーピースの美しいシルエットがより引き立ちます。

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ベストの背中だけ生地が違うのはなぜ？

ベストをよく見ると、前面と背面で使われている生地が異なることに気づくはずです。これは、スリーピースでの着用を前提に設計されているためです。

背面にはポリエステルやキュプラなど、ジャケットの裏地にも使われる滑りのよい素材を採用するのが一般的。これにより、着用時の摩擦や引っ掛かりを減らし、生地の傷みを防ぎます。また、軽量化にもつながり、快適な着心地を保っています。

オーダースーツの場合は、この裏地を自由に選べるのも魅力のひとつ。ペイズリー柄やドット柄、小紋柄など、多彩なデザインから選べば、ジャケットを脱いだ瞬間に“後ろ姿のおしゃれ”が引き立ちます。

背面を異素材にすることで、無地の表地とのコントラストが生まれ、立体感や遊び心を演出できます。オーダーならではの自由度で、自分らしさを表現する一着に仕上げましょう。

ベストだけ後から購入することはできる？

ベストだけを後から購入することは可能です。ただし、上下と同じ生地・色で揃えることは基本的に難しいため、別生地・別色の「オッドベスト」として着用する形になります。

オッドベストは、着こなしに奥行きや個性を加えられる一方で、選び方を誤るとちぐはぐな印象になりやすい点には注意が必要です。

まず意識したいのが色の合わせ方。ビジネスシーンでも使いやすくしたい場合は、手持ちのスーツと同系色、もしくは濃淡でまとめるのが無難です。コントラストをつけすぎると、カジュアル色が強くなってしまいます。

次に重要なのが素材の統一感です。色を変える場合でも、季節感や質感を揃えることで全体にまとまりが生まれます。

また、サイズ感は特に重要なポイント。ベストはトレンド感を出すためにゆったり着るアイテムではなく、体に沿ったフィット感が基本です。サイズが合っていないと、だらしなく見えてしまいます。

可能であれば、オーダーや専門店で相談するのも有効な方法です。スーツを持参して色や素材の相談をすれば、既存のスーツに自然になじむベストを選びやすくなります。

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ベストの着こなし術

ベストはスーツスタイルを格上げする万能アイテムです。色合わせを工夫することで印象が大きく変わります。

初心者は同系色で統一し、上級者はあえて色を変えて個性を演出すると、より洗練された着こなしになるでしょう。ポイントを詳しく解説します。

【初級】同系色で揃える

同系色で揃えるベストコーデは、初心者でも取り入れやすくスーツ全体の統一感を高めます。特にネイビーの3ピースは定番で、同じ生地ならベストだけ浮かず上品にまとまります。

次に人気なのがグレーの3ピースで、他色を引き立てやすく柄物タイとも好相性です。ネイビースーツ×グレーベストのオッドベストは上級寄りで、素材や質感の統一が必要です。

グレースーツ×グレーベストは濃淡の差を活かせば簡単におしゃれ感を演出できます。

同系色でまとめることで、ベストだけが浮くことなく、全体のバランスが整った着こなしが完成します。

【上級】色違いや柄ありベストを合わせる

スーツと異なる色のベストを合わせるコーディネートは、上級者らしい洒落感を演出できる方法です。ベスト着用に慣れたら、色を変えて個性を加えるとスタイルが一段と引き立ちます。

色選びではトーンの差を意識すると合わせやすく、濃紺ジャケットにはライトグレー、淡いベージュにはダークブラウンが好相性です。

さらに、グレー・ネイビー・ブラウンなどのベーシックカラーは汎用性が高く、組み合わせ次第で多彩な印象に仕上がります。

色を変えることで、同じスーツでも全く違う印象の着こなしが楽しめます。

柄で変化をつけるのも有効です。柄入りベストは無地スーツと相性が良く、チェックやストライプなら英国調の上品なアクセントとして映えます。

またグレーの折柄は着回し力が良く、ペイズリー柄や花柄は結婚式などのパーティーシーンでさりげない華やかさを添えられます。

おしゃれなベストコーデはオーダーで仕立てるスリーピーススーツ

ベストの魅力を最大限に引き出し、おしゃれな着こなしを実現するなら、オーダースーツが最もおすすめです。体型に合わせて生地や仕様を細かく選ぶことができ、完璧にフィットしたベストが仕立てられます。

ジャケットを脱いでも前身頃が美しく収まり、ウエスト位置も自然に見せられます。ジャケット・パンツ・ベストを同一生地で設計できるため、フォーマル度の高いスリーピースでも統一感が崩れません。

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ベストを味方につけて、スーツの品格とおしゃれをワンランク上へ

ベストは単なるおしゃれアイテムではなく、着る人の印象に風格を与え、体温調節を可能にし、コーディネートの幅を広げてくれる実用性の高いアイテムです。

ただし、ベストだけを後から取り入れる場合は、事前に押さえておくべきポイントがあります。着用するシーンや相手によって、守るべきマナーや選ぶべきデザインは大きく変わるためです。

ベストの魅力を最大限に引き出したいのであれば、体型にしっかりフィットするオーダースーツでスリーピースとして仕立てるのが理想的といえるでしょう。

経験豊富なプロのアドバイスを取り入れながら、自分に最も似合う一着を見つけ、ワンランク上のベストスタイルを完成させてください。