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スーツは後ろ姿も重要!着目すべきポイントや特徴について解説

スーツの後ろ姿を完璧にするポイントは何でしょうか?今回は、意外に大切なスーツスタイルの後ろ姿について解説します。多くの方が毎朝、スーツスタイルの身だしなみを鏡でチェックしていると思います。しかし、後ろ姿まで意識している方は少ないのではないでしょうか?ビジネスシーンでは些細なことが不信感につながったり、信頼感をアップさせたりします。大切な商談などは、第一印象で相手に与える信頼感が、ある一定の基準を越えて、初めてスタートラインにつけると言っても過言ではありません。視覚からの印象は非常に強く、マイナスな印象が一度付いてしまうと、その後に会話で印象を覆すのは難しいと言われています。逆に、爽やかで誠実な印象を感じる第一印象は、言葉以上の説得力を持ちます。この印象の効果は重要であるにもかかわらず、前から見たスーツスタイルの基準は、多くのメディアで解説されていますが、後ろ姿についてはそれほど注目されていません。この記事では、ビジネスシーンの別れ際の印象を左右する、後ろ姿について詳しくまとめました。好感度の高い第一印象を、別れ際まで保つことを目標に、ビジネスを成功させる後ろ姿のポイントをチェックしてみましょう。

スーツの後ろ姿にこだわるべき理由

センターベント

スーツをうまく着こなすことができれば、その姿を見ている相手に対してよい印象を与えることができます。その結果、その相手と良好な関係が築ける可能性が広がるでしょう。ビジネスなどで着用することが多いスーツは、会っている相手に対して不快な印象を与えないことはもちろん、ビジネス成功のためにも好印象を与えられるように着こなしたいものです。

例えば、商談する場合は、着ているスーツの印象が大きな影響力を持ちます。

「誠意を感じる清潔感のある服装だな。この人は信用できそうだ」と交渉がスムーズになるケースもあれば、「商談に、着こなしや服装のシワを気にしないのか。失礼だな」と不信感を持たれ、交渉自体が難航するケースもあります。

服装には仕事に対する向き合い方が現れる、そう考える人が多い傾向です。会った瞬間に感じる、視覚からの第一印象は、会話による印象よりも強く残ると言われています。ビジネスで大切な、第一印象を服装で損なうことがないように、完璧な身だしなみを身に付けましょう。

後ろ姿で信頼感をアップする方法とは?

信頼感をアップするスーツの着こなしといえば、つい服装の前面を意識してしまうことが多いのではないでしょうかシャツやネクタイなどのVゾーンは、誰もが意識します。しかし、本当にそれだけで良いのでしょうか?

会話していないときに、目に飛び込んでくる些細なことが印象に残ることもあります。

ビジネスでは取引相手との別れ際やパーティー会場、街中を歩いている姿など、後ろ姿を見られる機会は意外に多くあります。特に、取引先との別れ際に見せることになる後ろ姿は、その日の取引の最後に見せるスーツ姿です。相手に強い印象を残すことになるため、前だけでなく後ろ姿も意識することが大切です。前から見るとしっかりとしているのに、後ろから見るとだらしなく見える状態では、相手に良い印象を持ってもらうことは難しいでしょう。

逆に、後ろ姿まで完璧で爽やかな印象である場合は、表裏の無い人格を感じさせるため、大きく信頼度が上がるといえます。

スーツの後ろ姿の印象を決める、主な要素は4つあります。

シャツの見え方、サイズ感や普段の着こなしによるシワの有無、着丈、ベントの4つは、印象を左右するため、事前にチェックしておくと安心です

後ろ姿のシャツの見え方

男性のスーツスタイルは、後ろ姿もシャツがアクセントになります。

「後ろ姿のシャツ?」と思われるかもしれませんが、ポイントは首回りと袖口です。

シャツ襟が見える後ろ姿

スーツのシャツは写真のように襟を約2㎝出して着用します。

シャツの袖口を出して着用することは良く知られていますが、シャツ襟が後ろ姿のポイントになる事は、あまり知られていません。

後ろ姿は、スーツの襟から約2㎝、両袖口から約1.5㎝シャツが出ていると、スーツスタイルにメリハリがつきバランスも良く見えます。

ビジネススーツは基本的にダークカラーが多いため、襟と袖口にシャツが出ていないと、後姿は全体的に暗く沈んだ印象になります。

また、襟の部分にバランス良くシャツが見えるのは、仕立てが良いスーツの特徴でもあります。

着用時にシャツの襟とスーツの襟が密着して、襟の高さに差がでるスーツは、縫製や型紙が優れています。スーツが首回りから肩にかけて体にフィットしているため、後ろ姿のシルエットも美しく、洗練された印象になります。

後ろ姿のシワの原因とは

スーツスタイルは、後ろ姿に余分なシワがない状態が正しい着こなしです。体型に合った型紙で縫製されたスーツは、後ろ姿が美しく、大きなシワがありません。体を動かす際に必要な余裕があるだけです。

スーツ着用時、後ろ姿に大きなシワがある場合は、その原因を知り対策をしましょう。

スーツの背面に出るシワは、大半が体型とスーツの型紙が合っていないことに由来します。体型とスーツの形状が合っていれば、シワのないシルエットになります。

シワのない体型に合ったスーツは、体型を採寸して型紙からつくる必要があるため、フルオーダーがおすすめです。フルオーダーであれば、体のカーブに合わせた型紙と、ストレッチ性を考慮した生地でシワのないスーツを仕立てられます。後ろ姿のシワのお悩みがある場合は、フルオーダーを検討してみましょう。

ツキジワ

ツキジワとは、背中の肩甲骨の高さに横向きに出るシワです。背中の高い位置に出るため、比較的目立ちやすいといえます。

標準体型よりも肩幅が広い、肩幅とウエストの落差が大きい、筋トレなどをしていて肩回りに厚みがあると出やすいシワです。

このケースではウエストが細い方が多いため、体型を考慮しつつ肩幅、胸回り、ウエストなどを採寸します。その後、採寸値でフィットする縫製ラインに型紙を調整します。フルオーダーであれば、同様に様々な体型補正をすることが可能です。

怒り肩(いかりがた)

首の付け根と肩の先の角度が急なため、肩先が上がっている状態を怒り肩といいます。怒り肩の人が、スーツを着ると肩先で服が持ち上がってしまいます。首の付け根から肩の先が水平に近いので余った生地がツキジワとなります。

オーダースーツの場合は、肩パットを薄くして怒り肩の体形を補正することでツキジワを解消します。肩の先の角度を水平に上げることで怒り肩の体型を補正します。同時に余った生地をつまみとる「ツキ取り」という補正を入れて直します。

反身(はんしん)

反身体とは、胸を張るように腰が反った体形のことをいいます。反身や反り身の体型の人は、横から見ると、背中の線が直線的もしくは反り気味の状態になります。そのため、スーツの上着を着ると背中の生地が余りツキジワが出ることもあります。

反身や反り身の体型のスーツに出るツキジワを解消する方法は体型補正を入れます。上着の前丈と後丈のバランスを調整します。調整後、背中で余る生地の分量を削ります。

後首(うしろくび)

後首とは、首が後ろに位置する体型のことをいいます。後首の人はスーツの上着の襟下に生地が重なるようなシワが出ます。

ツキジワの解消方法は衿部分の首の位置を後ろへずらす補正を入れます。

前肩(まえかた)

前肩とは、横から見たときに肩が前に位置している体型のことをいいます。前肩の人は方が胸側に巻き込むので、背中が左右に引っ張られてしまいます。洋服は上にずり上がるように引きあがるのでツキジワが出ます。

解消方法は肩の前側部分で洋服が引っ張られないように背巾を出します。また、肩が前で当たらないように袖の幅を広げます。

スーツのサイズが原因によるシワ

スーツはサイズが合っていない場合、背面のシルエットが歪みシワが出ます。逆にサイズが合っているとハリのある美しいシルエットになります。

スーツのサイズが小さい

普通体型なのにツキジワが出てしまうことがあります。その場合は着ているスーツが適正サイズよりも小さい可能性があります。小さいサイズのスーツを着ると、胸回りがきつくなり上着が上に持ち上がります。その結果、背中側のゆとりがなくなり服が左右に引っ張られてツキジワが出ます。

スーツの胸回りが大きい

スーツの胸回りのサイズが実寸に対して大きい場合、背中の脇の下あたりに縦にシワが出ます。うっすらと見える程度のシワは腕を前に動かす際に必要な余裕です。しかし、離れて見ても見える深いシワや、脇付近だけでなく背中の中心まで波打つような縦ジワがある場合は、生地が余っているサインのためサイズを小さくする必要があります。

スーツのウエストが大きい

スーツのジャケットのウエストや腰回りが大きい場合、腕を下げると余分な生地が腕に押されて背面に浮きます。横から見ると、ペンギンの尾のようにジャケットの裾が背中から斜めに浮いているのが分かります。

肩幅や胸回りと比較してウエストや腰回りが細い(標準体型よりも落差が大きい)場合、生地が余って体から浮くため、実寸に合わせてフルオーダーで仕立てることで解消します。

スーツの腰回りが小さい

スーツの腰回りのサイズが体型に対して小さい場合、ジャケットの前ボタンを留めると、ベントが開いてしまうケースがあります。多くの場合、ベントの隙間からヒップが見えるようなことはありません。しかし、ベントの生地の重なりが、通常の立ち姿の状態でズレているのは避けたいサイズです。

数㎝腰回りのサイズを大きく調整して解消することが可能です。


スーツはジャストサイズがスタイリッシュなシルエットを実現します。信頼できるお店で専門のスタッフに採寸を依頼しましょう。自分のサイズを正確に把握しておくことが、着こなしのポイントです。

スーツは着丈も重要!

ネイビースーツ

スーツの後ろ姿の決め手としては、着丈が重要な要素になります。着丈とは、後ろ側の襟中央の縫い目から上着の裾先端までの直線の長さのことです。着丈には流行もあります。時代によっては、長いものが流行ったり、短めのものが好まれたりします。流行に左右されない標準的な着丈を知っておくことは大切です。標準的な着丈としては、(身長-23cm)÷2になる長さだといわれています。

例えば、身長170cmの場合、(170-23)÷2=73.5cmです。

しかし、これはあくまでも目安です。体型は千差万別のため、数字で正確に割り切れるものではないので注意しましょう。既製服などをネット購入する場合に、参考にする程度が無難です。

着丈は上半身の長さに合わせるため、標準値よりも実際は少し長い、少し短いという方が大半です。このわずかな誤差が印象を左右するため、専門店で採寸しましょう。スーツは適正な着丈で着用すると、足が長く見える効果が発揮されます。

スーツの着丈のおすすめは?

スーツの着丈の標準的な長さは、ヒップがギリギリすべて隠れる長さです。

この長さで着用した場合、足の付け根ギリギリの位置で着丈が終わるため、ジャケットの内側にまだ足があるように見える足長効果を発揮します。スーツのジャケットは肩幅を強調し、背中が広く見える形で縫製されています。広い背中はウエストへ向かってシェイプされてヒップまでをカバーし、シャープなパンツラインへ切り替わります。

このようなスーツの特徴があるため、2㎝や3㎝のわずかな違いで後ろ姿の見栄えも変わります。シルエットにこだわる場合は、ベストな着丈の調整が欠かせません。

トレンドである短めの着丈が好みの場合は、ヒップの下側3分の1程度が見える着丈に抑えます。しかし、現在トレンドの着丈はカジュアル寄りの着丈でもあります。比較的自由度が高いオフィスカジュアルなどに適した服装のため、フォーマルなシーンやビジネスマナーが重要視される場面では避けましょう。

スーツの扱い方でシルエットは変わる

スーツは着用時の姿勢や取り扱い方も重要です。普段の扱い方は着用した時に分かります。

ジャケットは丁寧に扱う

ジャケットはビジネスシーンで大切なアイテムです。毎日の扱い方次第で、型くずれや劣化、シワの付き方が変わります。普段乱暴な扱いをしていると、大切な場面で普段の使用感が出てしまいます。

ジャケットを着たまま、長時間着席する場合は姿勢を意識します。

移動時などで、リラックスしすぎて、椅子の背もたれに身を預けてしまうと、ジャケットの腰やヒップ周りに取れにくいシワが付いてしまいます。移動時のシワは自分では気づきにくいため注意しましょう。訪問先で後ろ姿にシワ目立つと、移動時の姿勢やジャケットの扱い方が分かります。

そのため、スーツスタイルでは移動や休憩などの着席時は極力ジャケットを脱ぎます。シワにならないように軽く畳んで、スーツを潰さないように場所を選んで置きます。

また、再度着用する場合は、目立つシワがないか、襟が立っていないかをチェックしましょう。

パンツのポケットは使用しない

つい物を入れたくなるパンツポケットですが、スーツスタイルでは避けます。

特に、財布やスマートフォンをヒップポケットに入れると、ポケット口が変形したり、ポケットの端が破れたりします。当日のビジネスの業務によって使い分けるケースもあるかもしれませんが、使っているポケットはポケット口が浮き、シャープ感が失われるため、普段の使用感が漂うスーツになってしまいます。

後ろ姿のヒップポケットの歪みやほつれ、サイドのポケットの浮きなどを避けるため、持ち物はビジネスバッグを活用しましょう。

ベントは何のためについている?

後ろから見たスーツ姿の印象に大きな影響を与えるものの1つがベントです。ベントは、「穴」や「通気孔」と訳すのが一般的ですが、スーツに関する用語としてのベントとは、スーツの後ろ身頃に縦に入っている切り込みのことです。布の切れ目の種類としては、スリットと呼ばれるものもあります。スリットは、同じ切り込みでも布の重なりがないことが特徴です。一方、ベントと呼ばれる切り込みは、布の重なりがあります。そのため、動くことによって切り込みが開いても、内側がすぐに見えてしまう状態にはなりません。

スーツにベントが入れられるようになった主な理由は2つあります。

1つは、動きやすくするためです。ベントが入っていないスーツを着て動こうとすると窮屈に感じますが、ベントが入ることで動きやすい状態を確保できます。「馬乗り」のこともベントといいますが、馬乗りを行う際、馬にまたがるときにスーツに切り込みがあった方が動きやすいということで生まれたため、ベントと呼ばれるようになったといわれています。

もう1つは、スーツのシルエットを守るためです。ベントが入ることによって、椅子に座ったときについてしまうシワやツッパリを抑えられます。きれいなシルエットを保つ効果がベントの役割です。

仕付け糸とは

仕付け糸とは、スーツや洋服を出荷する際、スーツの形崩れを防止するために付けられた仮止めの糸です。よく仕付け糸を目にするのがベント、肩、ポケットです。これらはお客様が袖を通すまでに洋服が綺麗な形を保つために施されている大切な糸です。仕付け糸の縫い方は様々なあり、クロスに縫ったり、一直線に塗ったりなど、お店やディテールによって異なります。

仕付け糸はスーツを購入後、必ず取るようにしましょう。仕付け糸をそのままにしておくと、見た目も損なわれ機能性が失われます。

また、ベントは動きやすくするために、あえて切り込みを入れています。そのため、仕付け糸を切らないと動きにくいだけでなく、スーツ生地を傷めることもあります。着用前に必ずしつけ糸がついていないかチェックしましょう。

ジャケットの腰ポケットは、見えない内側に仕付け糸が付けられているケースがあります。この場合はしつけは取らずにそのままスーツを着用する方もいます。スーツの腰ポケットは本来物を入れるためのポケットではないためです。腰ポケットには、何も入れずに着こなす方がスーツのシルエットはシャープになります。

腰ポケットの表に仕付け糸がある場合は、取り除きます。しつけを取ったとしても、極力ポケットは使用しないようにします。スーツの腰ポケットに重い物を入れると、ポケット形状が下に向かって歪み、横にも広がります。結果として後ろ姿のウエストから腰のラインも乱れるため注意しましょう。

仕付け糸を安全に取るためには、「リッパー」と呼ばれる仕付け糸を取る道具を利用しましょう。リッパーは手芸屋さんに売っています。小さいハサミでも代用できます。

スーツのベントの種類

センターベント

スーツのベントにはさまざまな種類があります。1つ目は、センターベントです。センターベントは、上着の裾の中央に切り込みが入ったデザインになっています。スーツはイギリスで生まれたものですが、誕生した当初はベントは入っていませんでした。

しかし、切り込みが入っていないと乗馬をするときにきっちりしたスーツの形が邪魔になって馬に乗りにくいという弊害がありました。また、馬にまたがるときにスーツが引っかかって落ちるなどの事故につながることも見受けられたため、改善する方法が検討されたのです。その結果、裾に切り込みを入れるようになったのがセンターベントの誕生経緯だといわれています。

センターベントが入っているスーツは最も標準的なスーツの形です。販売されているスーツの多くにセンターベントが入っています。動きやすいというメリットがあるだけでなく、後ろ姿の見た目の印象も良くなるという特徴もあります。さらに、長時間座っていても、切り込み部分が開くことによって、スーツに可動部分が生まれてしわがつきにくい点もメリットです。

動きやすさを追求しながら、後ろ姿の印象も良いスタンダードなスーツを選びたいという場合は、センターベントが施されたスーツを選ぶことをおすすめします。

センターベントが入ったスーツの選択肢は多いですので、自分に合ったものを選ぶのは難しくないでしょう。

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センターベントとは?サイドベンツとの違いや歴史、特徴などを解説!?

スーツのジャケットにはベントと呼ばれる切れ込みがしつらえられています。ベントは大きく分けるとセンターベントとサイドベンツの2種類あり、それぞれ印象が大きく異なるため、スーツ選びの大切な要素といえるでしょう。この記事では、ベントの種類や歴史、特徴などを解説しています。

サイドベンツ

ベントの2つ目の種類はサイドベンツです。裾の両サイドにベンツが入っています。2つの切り込みがあるため、「サイドベント」ではなく複数形の「サイドベンツ」と呼ぶのが正しい呼び方です。切り込みが入ることによって動きやすくなるという点では、センターベントと同じ効果が期待できます。しかし、誕生の経緯はセンターベントとは異なります。

誕生は、剣を身に着けていた時代にさかのぼります。剣は腰に吊るして携帯するのが一般的でした。ただ、腰にある剣はスーツの裾をめくりあげてしまうため、スーツの美しいシルエットが出せないことがデメリットです。

そこで、両サイドに切込みを入れてデメリットを解消したというのが誕生の経緯です。サイドベンツは、別名「剣吊り」ともいわれており、イギリスでは多くのスーツに採用されています。

剣を携帯しない現代におけるサイドベンツのメリットは、ポケットに手を入れやすいことです。両サイドの切り込みがちょうどポケットに手を入れるときにぴったりの位置になっています。

ノーベント

スーツには、後ろ身頃にベントが入っていないものもあります。ベントがないということで、ノーベントといいます。切り込みを入れる目的は、動きやすさにあります。ノーベントは、動きやすさよりも見た目を強く意識したデザインです。

また、切り込みを入れないことで、お尻を見せなくなりますので、上品さを保つことが可能です。そのため、動きやすさという機能性を排除したノーベントのスーツは、スマートな印象を与えることができ、最もフォーマルなデザインのスーツだといわれています。

歴史が古く、クラシックでドレッシーというのがノーベントスーツの特徴です。社交パーティーなど公式の場ではノーベントが適しているといえます。タキシードなどではノーベントが採用されることが多いです。

ただし、ベントがないため、後ろ姿が少し寂しく目立たない印象になると感じる人もいるでしょう。ダブル仕立てのスーツの場合は、ノーベントが映えます。そのため、ダブル仕立てを好んで着用するという人は、ノーベントのスーツを選ぶことをおすすめします。

スーツに施されているベント1つで印象は大きく変わります。フォーマルな場に出席する場合は、ノーベントのスーツを着用すると、その場にふさわしい着こなしができるでしょう。

フックベント

ベントのタイプには、フックベントと呼ばれるものもあります。フックベントとは、スーツの上着の裾の中央部分に切り込みが入っており、その切り込みの始まり部分がカギ状になっているベントのことです。カギ状になっているものを英語で「フック」といいますので、フックベントという名称になっています。裾の中央部分からベントが入っているという点ではセンターベントと同じですが、切り込みの始まり部分が違います。ビジネススーツなどにはあまり見られませんが、アイビースタイルなどに多く見られるベントです。

フックベントが施されているスーツは、センターベントが持っている機能性を損なうことなく、おしゃれな印象を出すことができます。また、オーダー感が増しますので、よりハイセンスなイメージになる点がフックベントの魅力です。さらに、フックベントは遊び心を感じさせるともいわれています。ほかの人とは少し違う印象を相手に与えたいという場合には、フックベントのスーツを着用するとよいでしょう。ビジネススーツにあえてオーダーでフックベントを入れるというのも選択肢の1つだといえます。

ボックスベンツ

ベントのタイプとしては、ボックスベンツと呼ばれるタイプもあります。裾の中央に切れ込みが入っているという点ではセンターベントやフックベントと似ています。しかし、完全に切り込みが入っているのではなく、センターから生地が開くようなイメージのベントで、開いた状態がボックス状にも見えるため、ボックスベンツと呼ばれています。

センターベントなどが持つ歩きやすい、座りやすいという機能性を活かしつつ、お尻を見せることがないエレガントなイメージを出すことができるという特徴があります。立ち姿を後ろから見ると、ノーベントのように見えるため、スマートなシルエットを維持することが可能です。

ボックスベンツが施されているスーツは、ノーベントのように公式な場所で着用するほどフォーマルではありません。しかし、フォーマルな印象を残しつつ、機能性は維持したいという人には適したベントです。アメリカントラディショナルスタイルに採用されていることが多いほか、カジュアルデザインのスーツに採用されています。しかし、あまり多くは見かけません。既製品で見つからない場合は、さまざまなベントに対応しているところを探してオーダーしてみるとよいでしょう。

ベントの選び方とポイント

センターベントとサイドベンツは、どちらもビジネスシーンで着用可能な仕様となっています。しかし、見え方、印象などは異なります。それぞれの特徴を知った上で自分に合ったベントを選びましょう。まず、センターベントは後身頃の真ん中に一本の切り込みが入っており、スタイリッシュですっきりとした印象があります。体の動きに合わせて、ジャケットの裾が広がってしまうのを抑えてくれるため、シンプルな着こなしに適しています。近年のビジネススーツの人気である細身のスラックスや丈が短めのスーツは、ほとんどの場合、センターベントが取り入られています。

シンプルでスタイリッシュな形が好みの方は、センターベントがおすすめです。サイドベンツは後見頃の両側に切り込みが入っています。サイドベンツは優雅で威厳のある印象になります。

風の流れに合わせて裾がなびくジャケットはエレガントで、英国調の丈が長めのクラシックなスーツとの好相性とされています。また、パンツやスラックスのポケットに手を入れた時、センターベントだとウエストから裾にかけてシワが入ります。

しかし、サイドベンツならシルエットにほとんど変化が見られません。そのため、クラシカルな雰囲気が好きな方、お尻回りや腰回りが大きめの方にもおすすめです。その他のノーベントとフックベントについてもご紹介いたします。まず、礼服に利用されるノーベントは、その名の通りベントが入っていないものをいいます。

サイドベンツやセンターベントが動きやすさに配慮して切り込みが入っているのに対して、ノーベントはフォーマルさに重点を置いています。そのため、冠婚葬祭などの礼服などに用いられることが多いです。ノーベントはビジネススーツではあまり見られない仕様となっています。フックベントはセンターベントの一種です。フックベントはベントの上部分がカギ型になっています。

フックベントも基本的なビジネススーツではあまり見かけることはありません。しかし、オーダースーツでさりげないおしゃれとして取り入れることもできます。以上の事を参考にして、ベントの選んでみましょう。

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オフィスカジュアルが進み、スーツを着る場面は、日常よりも、重要な勝負どころのみになってきました。実は、スーツの第一印象は、着丈で左右されてしまいます。今回は、いざという場面で失敗しないための、スーツの着丈について、選び方、オーダーの仕方を紹介していきます。

スーツは後ろ姿にもこだわりを!

サイドベンツ

スーツを購入する場合、前から見た姿は鏡を使えば簡単に確認できます。しかし、後ろ姿を見られる機会も意外と多いことを忘れてはいけないでしょう。後ろ姿1つで、相手に与える印象は大きく変わる場合があります。特に、スーツを着用して商談をする場合などは、相手に与える影響がビジネスの成否にかかわることも珍しくありません。スーツを選ぶ場合は、後ろ姿がどうみえるかまで気を配るようにしましょう。

背面側のデザインのポイントは、ベントの入り方と着丈です。ベントには真ん中から割れているセンターベントや両サイドに切り込みが入っているサイドベンツ、センターベントの切り込み開始部分がカギ状になっているフックベント、完全な切り込みになっていないボックスベンツ、さらには切り込みがないノーベントなどさまざまな種類があります。

それぞれの特徴を把握したうえで、ふさわしいベントが入っているスーツを選ぶことが重要です。また、着丈も後ろ姿の印象に大きな影響を与えます。まずは標準的な着丈の長さがどれぐらいなのかを理解することが大切になります。スーツの選び方によって相手に与える印象が変わるということを強く意識して、スーツ選びを行うようにしましょう。

オーダースーツSADAとは

オーダースーツSADAは、マシーンメイドフルオーダーです。
型紙から作るフルオーダースーツを、現代的な技術で効率化し、手頃な価格を実現しました。
専門のスタッフが複数個所を採寸し、個人の型紙を作成、体型補正にも対応します。

後ろ姿まで好印象のフルオーダースーツを、ぜひ体感してください。

今回は、ビジネスのスーツスタイルの後ろ姿について解説しました。基本となるスーツの着こなしは、体型に合った型紙のスーツを、適正なサイズ感で着用することです。まずは、体型に合わせた着用時にシワが出ないスーツを選ぶことから始めましょう。肩幅が広い、筋トレをしているなど、既製服の標準体型よりも、胸や肩などが大きいサイズになる方は特に、フルオーダーでサイズを合わせることがおすすめです。着丈、袖丈、裾丈は必ずバランスに注意して調整しましょう。スーツが用意できたら、シャツとのバランスを見ます。スーツと一緒にシャツをオーダーするのも方法の一つです。シャツは襟と袖口をルール通りに出して着用するだけでも、後ろ姿のメリハリが変わります。また、スーツの生地はデリケートな素材です。普段の取り扱い方や、着用状況がスーツの劣化に直結します。日頃から紳士的に着こなし、丁寧に扱う事で着用時にシャープな印象を保つことが可能になるため意識しましょう。このような点に注意することで、後ろ姿も正面から見たときと同様に、好印象のスーツスタイルになります。ビジネスシーンで辞去の挨拶の後、爽やかな後ろ姿で、仕事に対する責任感を伝えましょう。

三好 星良