スーツの干し方と手洗い|洗濯表示が許すスーツだけ、家で洗う
スーツの干し方は、ズボンとジャケットで分けて考えます。ズボンは裾を挟んで逆さに吊るし、ジャケットは厚みのあるハンガーに掛けて、どちらも日陰で乾かします。
ただし、一般的なウールのスーツは家で洗いません。水に濡らして揉むと縮み、形が崩れるからです。家で洗えるのは、洗濯表示が家庭洗濯を許すスーツだけ。洗えるかどうかの見分け方から、手洗いの手順、干し方までを順に説明します。
家で洗っていいのは、洗濯表示が許すスーツだけ
一般的なウールのスーツは、家で洗いません。家で洗えるのは、家庭で洗えるように作られたスーツ(ウォッシャブルスーツ)のうち、洗濯表示が家庭洗濯を許しているものだけです。
ウォッシャブルスーツには、縮みにくい加工をしたウールを使ったものもあります。見た目だけでは判断できないので、洗う前に必ず洗濯表示を確かめます。よくある失敗は、表示を見ずに洗ってしまうことです。
洗濯表示の見方
桶のマークがあれば家庭で洗えます。桶に×がついていれば、家では洗いません。表示は、ジャケットやズボンの裏側(内ポケットのあたりや脇の縫い目など)についています。ジャケットとズボンで表示が違うこともあるので、両方を確かめてください。

- 桶のマーク:家庭で洗える。中の数字は、水温の上限を示す
- 桶に手を入れたマーク:手洗いに限る。洗濯機の手洗いコースが使えるかは、洗濯機の説明書で確かめる
- 桶に×がついたマーク:家庭では洗えない
- 桶の下の線:洗い方の強さを示す。線は最大2本で、多いほど弱く洗う
干し方とアイロンのかけ方も、表示の記号に従います。平干しの指示があれば吊るさず、スチームを使えない記号があれば蒸気を当てません。
2016年12月より前に表示された服は、記号の形も意味も今と違います。旧表示の服で迷ったら、家では洗わず、クリーニング店に相談してください。なお、記号は2024年8月にも一部改められています。
オーダースーツは洗える?
オーダースーツも、家で洗えるかどうかは生地と洗濯表示で決まります。オーダーのスーツはウールの生地で仕立てることが多く、その場合は家では洗わずに手入れします。
家で洗えるスーツをオーダーで作りたいときは、家庭洗濯できる生地を扱っているかを、注文する前に店に確かめてください。仕立て上がったあとも、洗う前に洗濯表示を見ます。
洗えないスーツを洗ってしまったら
まず形を整えて干します。濡れたまま放っておくと、シワと縮みがそのまま固まります。
- 脱水は短く止め、すぐに取り出す
- 厚みのあるハンガーに掛け、肩、襟、前身頃の形を手で整える
- 風通しのよい日陰で乾かす
- 乾いたら、クリーニング店に状態を見てもらう
縮んだ生地を引っ張ったり、アイロンを強く押し当てたりして戻そうとしないでください。型崩れが広がるおそれがあります。縮みや型崩れは、乾いたあとでも元に戻らないことがあります。どこまで直せるかは、クリーニング店に相談して決めてください。
家で洗えるスーツの手洗い手順
洗濯表示で家庭洗濯ができると確かめたスーツは、手で洗います。洗濯機より生地への負担が小さく、形も崩れにくいからです。
手洗いに使う洗剤と道具
- おしゃれ着用の中性洗剤
- スーツが入る大きさの洗い桶(浴槽でもよい)
- 大きめのバスタオル
- 厚みのあるジャケット用ハンガー
- ズボン用ハンガー(裾を挟めるもの)
洗剤をおしゃれ着用に限るのは、一般的な洗濯用洗剤の多くが弱アルカリ性だからです。ウォッシャブルスーツにも、ウールなどの動物繊維が使われていることがあります。弱アルカリ性の洗剤は、こうした繊維を傷めやすくなります。
押し洗いの手順

- 洗濯表示を確かめる。ジャケットとズボンの両方を見る
- ポケットを空にする。名刺やペンが残っていると、破れやインク汚れの原因になる
- 色落ちを確かめる。裾の裏など目立たない場所に洗剤の原液を少しつけ、しばらく置いてから白い布で押さえる。色が移ったら、家では洗わない
- たたむ。ファスナーを閉じ、ジャケットは袖を内側に入れて、桶に入る大きさにたたむ。ズボンは折り目に沿って半分に折る
- 押し洗いする。表示の温度以下の水に洗剤を溶かし、スーツを沈めて、手のひらで押しては離す動きを繰り返す。こすったり揉んだりしない
- すすぐ。水を入れ替えて、同じように押してすすぐ。泡が出なくなるまで繰り返す
- 脱水する。洗濯機で、ごく短く脱水する。洗濯機を使わないなら、バスタオルで包んで上から押し、水を吸わせる。どちらの場合も絞らない
ジャケットとズボンは、一緒に洗います。片方だけ洗うと、色の落ち方に差が出て、上下で色が揃わなくなることがあるからです。
洗濯機を使うなら、手洗いコースで
表示で洗濯機洗いができるスーツなら、洗濯機を使ってもかまいません。その場合も、手洗いに近い洗い方を選びます。
- たたんで洗濯ネットに入れる。ネットは、たたんだスーツが収まる大きさのものを使う
- 「手洗い」「ドライ」「おしゃれ着」など、水流が弱いコースを選ぶ
- 洗剤は、おしゃれ着用の中性洗剤を使う
- 脱水は、ごく短く止める。長く回すと、深いシワが残り、形も崩れる
- 乾燥機は使わない。熱で縮み、深いシワがつく
スーツのズボンの干し方
ズボンは、裾を挟んで逆さに吊るします。自重でシワが下に引かれ、前後の折り目(センタープレス)もきれいに残ります。

逆さ干し(裾を挟んで吊るす)
- 脱水したら、すぐに取り出す
- 前後の折り目を合わせ、手でたたいてシワを伸ばす
- ズボン用ハンガーで裾を挟み、ウエストを下にして吊るす
- 風通しのよい日陰で乾かす
濡れているあいだに形を整えておくと、乾いたあとのアイロンがけが軽く済みます。
早く乾かしたいときは、筒状に干す
ポケットの袋布やウエストまわりが乾きにくいときは、筒状に干します。ボタンを外してファスナーを開け、ポケットを外に出し、ウエストを上にして、ピンチハンガーで輪になるように数か所留めます。中に風が通るので、早く乾きます。
折り目をはっきり残したいなら、逆さ干しを選んでください。
スーツのジャケットの干し方
ジャケットは、肩幅に合った厚みのあるハンガーに掛けて干します。細いハンガーでは、濡れて重くなった生地を肩で支えきれず、形が崩れる原因になります。
- 脱水したら、すぐにハンガーに掛ける
- ボタンは外したままにして、風が通るようにする
- 肩、襟、ポケットのまわりを手で整え、縫い目に沿って軽く引いてシワを伸ばす
- 風通しのよい日陰で乾かす
形が崩れるのが気になるときは、肩の内側にたたんだタオルを当てて、厚みを足してください。
スーツは天日干ししていい?
スーツは天日干ししません。直射日光は、色あせや変色の原因になるからです。干すのは、風通しのよい日陰です。
細いハンガーも避けます。肩に跡がつき、形が崩れます。
乾いたら、残ったシワにアイロンをかけて仕上げます。表示の温度を守り、当て布をして、アイロンを生地から少し浮かせて使ってください。手順はスーツのアイロンのかけ方で説明しています。
洗えないスーツは、どう手入れするか
洗濯表示に×がついたスーツや、一般的なウールのスーツは、家で洗わずに手入れします。手入れは、脱いだら吊るして休ませることと、ブラッシングの2つで足ります。着たあとは風通しのよい場所に吊るし、こもった湿気を抜いてください。汗汚れが気になるときは、クリーニングに出します。
毎日の手入れはスーツの手入れ方法で、クリーニングに出す目安とかかる日数はスーツのクリーニングは何日かかる?で説明しています。
よくある質問
家で洗えるスーツは、どのくらいの頻度で洗えばいいですか?
家で洗えるスーツでも、クリーニングに出したほうがいいのはどんなときですか?
部屋干しでも乾きますか?
洗濯表示が読めない、または見当たらないときはどうすればいいですか?
スーツを家で洗えるのは、洗濯表示が家庭洗濯を許しているものだけ。一般的なウールのスーツは洗わず、吊るして休ませ、払って整えます。洗えるスーツは、おしゃれ着用の中性洗剤で押し洗いし、脱水はごく短く。干すときは、ズボンは裾を挟んで逆さに、ジャケットは厚みのあるハンガーに掛けて、どちらも日陰で。直射日光と乾燥機は避けます。迷ったら表示に戻り、それでも迷うならクリーニング店へ。洗う前に表示を確かめることが、スーツを長く着るための最初の手入れです。