フォーマルスーツは葬式で着用できるのか?礼服と喪服の関係も含め詳しく解説します
冠婚葬祭の場において、礼服とも呼ばれるフォーマルスーツは欠かせない存在です。
しかし慶弔問わず対応できるかを改めて聞かれると、中にはすぐ答えられない人がいるかもしれません。
そこで今回はフォーマルスーツを葬式で着用しても構わないのか、その定義と併せ改めておさらいします。
この記事を読んで、フォーマルスーツに関する正しい知識を身につけましょう。
礼服の種類は3つある
礼服はフォーマルスーツとも呼ばれており、冠婚葬祭の儀式の場で着用する服のことを指しています。
正しい礼服の着用には、「儀礼儀式へ敬意を表する」「場にふさわしい装いをする」という目的があるのです。
礼服は着用するシーンにより、格式が高い方から正礼装・準礼装・略礼装という3種類があります。
正式な場で着用する正礼装
正礼装は最も格式の高い礼服で、モーニングコートと燕尾服の2種類が儀式の時間帯により使い分けられています。
モーニングコートは昼用の正礼装として着用されている礼服で、フロックコートの前裾が乗馬用に切り落とされ、後ろが長く斜めにカットされるというデザインが特徴です。
モーニングコートが用いられるシーンは、新郎や新郎新婦の父親など結婚式が定番のひとつです。
また公的な式典や記念パーティーの主催者、葬儀の喪主などもモーニングコートを着用します。
ジャケットの襟は拝絹(はいけん)と呼ばれており、ピークドラペルかショールラペールカラーが採用されることが一般的です。
モーニングコートのスラックスには、側章と呼ばれる両脇のある飾りのラインが1本入っています。
燕尾服は2つに割れているジャケットの裾が燕の尾に見えるという特徴があります。
燕尾服は格式の高い結婚式や披露宴など、夜に開催される式典の正礼装とされています。
最も一般的な準礼装
準礼装は正礼装に次ぐ格式の礼服で、正礼装よりも幅広い用途で使うことができるという点が特徴です。
主にタキシードとディレクタースーツの2種類があります。
タキシードは夕方以降に開催される式典の出席者が着用するもので、ブラックタイを着用するため「ブラックタイ」を指定される場面における服装です。
本来は夜の準礼装とされていますが、タキシードは近年、正礼装のひとつとしても着用されています。
ディレクタースーツは名称の「ディレクター」が示すとおり、重役クラスが着用するスーツで、より格調高いスタイルともいえます。
スラックスには正礼装や準礼装のスーツで用いるストライプのコール地パンツを使用し、上は黒ジャケットにグレーベストを合わせるというのが基本スタイルです。
ビジネススーツを略礼装として使用できることも
一般的なビジネススーツでも、生地が黒いブラックスーツやネイビー・チャコールグレーなど濃色の生地を使ったダークスーツを、礼装に準じた服装として使用できる場合があります。
これを略礼装もしくは略礼服と呼び、結婚式に友人として出席する場合や儀礼的でない式典などで着用できます。
この場合は黒いネクタイや黒い靴下を着用する必要があるので、正式なマナーとして覚えておきましょう。
礼服には昼と夜で着るべきものが違う
礼服は昼用と夜用があり、結婚式をはじめとした式典の時間帯にふさわしいものを選ぶのがマナーです。
昼の正礼装としては黒やグレーのモーニングコートを着用するのが基本です。
古くからあるモーニングコートは特別な場以外での着用シーンが少なくなっていますが、今でも披露宴での新郎新婦の父親や葬式の喪主の正式な礼服として使用されます。
またモーニングコートは、公式行事や記念式典、ホテルで行われる着席式パーティーでも着用されることがあります。
一方夜の礼装としてはタキシードが最も一般的です。
17時~18時以降に開催される式典・パーティーや結婚披露宴の主賓・主催者などに加え、出席者も着用します。
招待状に「ブラックタイ」と指定されている式典では、タキシードを着用することになります。
ブラックスーツと喪服にある違いとは
いわゆるブラックスーツと喪服は黒いスーツという点以外全くの別物です。
一番の違いは素材で、礼服が主にウール100%など光沢を抑えた生地を用いるのに対し、ブラックスーツの生地は光沢や艶感があるものが使用されています。
そのため両者を比較すると黒の色合いも微妙に異なります。
喪服の黒は漆黒と呼ばれるもので、一般的な黒よりも深く光沢もないのが特徴です。
それに対しブラックスーツの黒は多少グレーがかっており、喪服と並べれば違いは歴然です。
ブラックスーツとフォーマルスーツに違いはあるのか?
黒い素材のスーツは略礼装としてちょっとした場であれば礼服代わりに着用することも可能ですが、本来の礼服であるフォーマルスーツとは襟のステッチやジャケットのベント、パンツの裾などが異なります。
襟をスタイリッシュに彩るステッチはビジネススーツのおしゃれポイントですが、そのうち手縫いステッチは手間暇がかかるため一部の高級スーツ以外あまり採用されていません。
ステッチが入るスーツの多くには、ピックステッチとも呼ばれるAMFステッチが用いられています。
一方略礼服として用いられるフォーマルスーツにはステッチが付かないことが一般的で、ブラックスーツと見分けるポイントのひとつです。
スーツの裾にはベントと呼ばれる切れ込みが入っているものがあります。
真ん中にひとつ付いているセンターベントや左右2箇所に付いているサイドベンツに加え、ベントがないものをノーベントと呼んでいます。
ベントは動きやすさや着脱のしやすさなど実用性を意識して付けられているため、正式な服装であるフォーマルスーツにベントは付いていません。
襟をよく見なければわからないステッチよりは、ベントの有無の方がわかりやすいかもしれません。
ブラックスーツとフォーマルスーツはパンツ裾の仕上げも違い、フォーマルスーツは基本的にシングル裾になっています。
ブラックスーツのパンツ裾の中にはダブル仕上げをしているものがありますが、野外活動などで裾の汚れを防ぐという目的があるためフォーマルスーツには使用しません。
またモーニングコートの場合は、裾の前側を少しだけ上げてカットするモーニングカットが採用されており、この点もビジネス用途に用いるブラックスーツとは異なります。
フォーマルスーツで葬式に出るのはあり?なし?
フォーマルスーツは冠婚葬祭などの改まった場所で着るスーツとして、黒いものだけでなく別色のフォーマルスーツもあります。
慶事に着用しているフォーマルスーツでも、黒いものであれば喪服として着用することが可能です。
故人を偲んで成仏を祈願する葬式は、告別式や火葬など日程が決まっているものと、急な対応となる通夜に分けられます。
通夜はとりあえず駆けつけて弔意を示すものなので、地味な服装であれば問題ありません。
喪服着用で通夜に行くと、あらかじめ準備していたようでかえって失礼なこともあります。
一方告別式や火葬の際は喪服を着て出席するのがマナーです。
この際はスーツ本体だけでなく、シャツや靴下など他の部分にも気を付けましょう。
ワイシャツは白無地のものを選び、リラックス感のある開襟シャツやカラーシャツを規定はいけません。
ネクタイは弔意を示す無地の黒ネクタイとし、派手なネクタイやタイピンを避けましょう。
靴下も黒いものを着用し、光沢のない黒の革靴と合わせるのがマナーとされます。
スーツ回りと同様、金具などの飾りが目立たないものを選びたいところです。
弔事の際は飾り穴のないストレートチップが適している靴といわれています。
喪服と礼服は兼用可能か?
結論から言うと喪服は礼服と兼ねることができます。
喪服は葬式や法事などの弔事で着るものですが、礼服は冠婚葬祭で着用するものです。
葬儀は冠婚葬祭のひとつになるため、葬式で使用する喪服は礼服に含まれます。
したがって喪服を礼服として着用することは、マナー違反とはなりません。
礼服が正礼装・準礼装・略礼装の3種類あるように、喪服も格式によって正喪服・準喪服・略礼服に分けられます。
正喪服
最も格式の高い男性用の喪服としてはモーニングがあり、葬式では喪主のみが着用します。
墨黒のジャケットやベストに黒やグレー地のパンツを合わせ、パンツにはコール縞と呼ばれる黒の細いストライプが入ります。
また白無地のワイシャツに黒無地のネクタイという組み合わせは、他の喪服と共通です。
準喪服
礼服であるフォーマルスーツを喪服として着用する場合は準喪服という扱いになり、弔事では最も一般的に着用されています。
深く光沢もない漆黒の生地で作られており、艶のある一般的なブラックスーツとは異なるので、ビジネス用のブラックスーツを準喪服として着るのはマナー違反です。
略喪服
略喪服と呼ばれる簡易的な喪服は、喪主から平服を指定された場合のみ着用が認められます。
男性の場合は黒や濃紺、チャコールグレーなどのダークスーツが基本になりますが、対や以外で略礼服を着用する場面はあまりないと考えておくべきでしょう。
フォーマルスーツはメンズ・レディースともにどこで買うべきか?
ここまでメンズ用のフォーマルスーツについて説明しましたが、女性はレディースのフォーマルスーツを着用するという以外、着用する場面はメンズと同様です。
どちらも購入先によって品質はピンキリですが、最近は様々な店舗で購入できるようになりました。
いくつか例示してそれぞれの特徴を比較してみましょう。
大手チェーンや個人店
大手チェーンや個人店などの紳士服店はメンズ・レディースを問わず、フォーマルスーツの購入先として従来から最も一般的な選択肢です。
スーツの種類やサイズを豊富に取りそろえており、フォーマルスーツに関する専門的知識を持つスタッフがいるため、はじめてフォーマルスーツを選ぶ際も安心して購入することができます。
近年では全国チェーンを展開する店舗もあり、近所で気軽に購入できるようになったことから敷居が低くなりました。
また紳士服店では靴やシャツ、ネクタイも一式店頭に揃っているので、1回の買い物で喪服を全てコーディネートできるというメリットもあります。
スーパーマーケットの衣料品売り場
食料品を販売するスーパーマーケットの中には生活用品を豊富に取りそろえている店舗があり、中にはフォーマルスーツが店頭に並んでいることもあります。
品揃えはレディースのスーツが中心で、メンズのフォーマルスーツを取り扱っている店舗はあまり多くありません。
また専門店より廉価なことからさほど高品質とはいえないのが残念なポイントです。
ネット通販
価格面のメリットという点ではネット通販の魅力も捨てがたいところです。
一口にネット通販といっても、紳士服店や日用雑貨を扱う店など、様々な選択肢があります。
総合通販サイトを利用すれば製品ごとの価格を比較する際も便利です。
しかしネット通販は、事前の現物確認ができないという最大のデメリットがあります。
品質の粗悪なものが届くかもしれないというリスクや、注文生産などでは示される目安以上に納期が延びる場合があり、すぐ購入したい人には不向きです。
オーダースーツ専門店
オーダースーツの専門店であれば自分に合うサイズを探す必要がなく、全体的なフォルムや素材など細かい要望に対応することができます。
オーダースーツは大きく分けてフルオーダー・パターンオーダー・イージーオーダーの3つがあり、予算に応じ最適なスーツを製作してもらえます。
喪服にも使えるフォーマルスーツなど対応できるスーツの種類も豊富です。
またスーツと一緒にシャツのオーダーもできるため、トータルでのコーディネートも可能です。
もちろん豊富な専門知識によるアドバイスも受けられるので、TPOに合ったフォーマルスーツが仕上がります。
店舗によっては細部のこだわりにも対応してくれるところがあるので、オンリーワンのフォーマルスーツの選択肢としてはオーダースーツの専門店が最もおすすめです。
オーダースーツ専門店「オーダースーツSADA」とは?
個人を偲ぶ場である葬式では普段以上の気遣いが求められ、基本的にはフォーマルスーツの着用がマナーとされます。
葬式以外の公式な場でも使えるフォーマルスーツをせっかく購入するのであれば、長く使えるようぴったり合ったサイズを選びましょう。
そのためには専門的な知識やわかりやすい説明のある店舗を選びたいところですが、オーダースーツ専門店なら自分だけのフォーマルスーツを製作することができます。
特におすすめなのが「オーダースーツSADA」で、一般的なフォーマルスーツだけでなくモーニングやタキシードもマシーンメイドのフルオーダーで対応可能です。
500万着という豊富な仕立て実績も特徴で、下取りサービスや初回お試し特典、全額返金保証サービスなども充実しているため安心して製作を依頼できます。
(利用条件がありますので、詳しくはホームページをご覧ください)
実際に製作を依頼する人に加えとりあえず生地を実際に見てみたいという人も、一度「オーダースーツSADA」に相談してはいかがでしょうか。